ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

コノスルの甘口ワイン「コセチャ ノーブレ」を飲んでみた。こりゃうまい! からのまさかの悲報!? の一部始終

コセチャ ノーブレ。375ccで1000円以下で買えるコノスルの甘口ワイン

先日ビックカメラ新宿西口ハルク店に行ったところ、酒販コーナーにコノスルの棚があった。一番お手頃なビシクレタ、宇宙一コスパがいいレゼルヴァ エスペシャル、シングルヴィンヤード、20バレルとシリーズが価格帯ごとに揃っている中に見慣れないボトルを見つけた。375ccのハーフサイズの甘口ワイン「コセチャ ノーブレ」がそれ。

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コノスルの甘口ワイン「コセチャ ノーブレ」を飲みました。高貴なる収穫。

実は最近私は甘口ワインが飲みたいな〜と思ってちょこちょこ調べていたのだった。なのだが、どうもどれを選べばいいのかわからない。そこでコノスルである。私はコノスルからワインの世界に入った身、ならば甘口ワインの世界にもコノスルから入るのが筋だ。ってことで買った。1000円しない値段でした。

コセチャ ノーブレとチリ最南端の産地・ビオビオヴァレー

品種はリースリング。遅摘みブドウと貴腐ブドウから作られているとのこと。産地はチリ南部のビオビオヴァレー。いい名前だなビオビオヴァレー。

ビオビオヴァレーがどこにあるかといえばビオビオ川が流れるチリのビオビオ州なんですよこれ本当に。世界でもワイン栽培の最南端に近い地域なんだそうで、北半球でいう北限、すなわち寒いエリアってことですね。このビオビオヴァレーの気候が貴腐ブドウの栽培に適しているのだとか。

と、ここで今から300ワードくらいまったく関係のない話をすると私は学生時代にイランを旅したことがある。イランとアメリカには国交がないが、かつてはあり、当時はペプシコの工場があった。ペプシコイラン革命後追放されたが、イランにコーラのレシピと製造設備は残り「ザムザムコーラ」という商品として存続。イランは暑いので旅している間はこのザムザムコーラをよく飲んだ。なつかしいなあ。ビオビオヴァレーのことを考えていたらザムザムコーラのことを思い出したのだった関係のない話を終えます。

コセチャ ノーブレを飲んでみたらわりと驚きの味がした

さて、コノスルの極甘口ワイン「コセチャ ノーブレ」のブドウは、ビオビオヴァレーのキトラルマン葡萄園産。ブドウは手摘み。ステンレスタンクで10カ月熟成。残糖は70g/lとのこと。

さて、飲んでみるとですね……大変よろしいのではないでしょうかこのお味は。思わず口調まで丁寧になってしまう大変おノーブルなおテイスト。え、甘口ワインってこんなにおいしいの。

これはまさしく甘くない蜜と言いますか、言葉が完全に矛盾してるが甘いのに甘くない。香りも味わいもすごく甘いのに、ほどよい酸味と隠し味程度のレモンの皮的な苦味によって甘ったるさがない。1000円しない価格でこれって一体どうなっているんでしょうかコノスルっていう会社は。1ペソたりとも儲けてないんじゃないかって逆に勘ぐりたくなるレベル。コノスルは慈善事業だった……!?

コセチャ ノーブレはなぜ本国ウェブサイトに載っていないのか?

と大変盛り上がったのだが最後に非常に残念な情報をお伝えしたい。このコセチャ ノーブレ、なぜか本国サイトに記載がないので、気になって輸入元の株式会社スマイルに問い合わせたところ、本国ではすでに生産終了しているんだそうだ。すなわち国内在庫が終わり次第買えなくなる俺たちのコノスル レゼルヴァ エスペシャル ゲヴュルツトラミネール状態。出会ったばかりで恋に落ちた相手が余命わずかと判明したみたいな感じのドラマか。

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ちなみにこのワインの原料は遅摘みのブドウ+貴腐ブドウだと述べたが、輸入元の方曰く、「値段から考えて『一部が貴腐ブドウ』なのだろうと考えていましたが、生産者に聞いたところ、実際は『ほとんど貴腐ブドウ』だそうです」とのこと。だからそれでなんで1000円を切る価格で買えるんだよ。コスパという概念そのものを揺さぶり、物の価値とはなんだろう、価格とは、社会とは、そして人間とは、宇宙とは、みたいになる。宇宙の中に地球があってチリがあり、ビオビオヴァレーで貴腐ブドウが収穫されてなんやかんやで日本で私が飲んでいる。そのことに感謝である。ワインは飲む奇跡。

それだけに本国生産終了は果てしなく残念だが、仕方ない。在庫にはまだまだ余裕があるそうだが、見つけたら買いである。