ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ルイ・ロデレール クリスタルはどんな味!? ボトル1本4万1800円のシャンパーニュをエノテカの有料試飲で40ml1本勝負してきた。

銀座のエノテカシャンパーニュの試飲イベントに参加した

以前、ツイッターで有料試飲イベントへの参加を勧めていただいたことを受けて仕事帰りに銀座六丁目にあるエノテカ・ミレに向かった。目的は「イタリア VS アメリカ パーカーポイント100点ワイン」なるイベント。PP100点ワインなんて飲んだことないし楽しみすぎるなウヒョーッと小走りで到着し、メニューを開いて真顔になった。「【期間限定】プレステージシャンパーニュ・チョイス」なる選択肢が新たに提示されたからだ。ごめんちょっと待って情報量多い。

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エノテカでお高いシャンパーニュを飲んできました。各40mlだけど。

入店後15秒で名作ゲーム「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」における結婚すべきはビアンカかフローラか的な究極の選択を突きつけられることになるとは思ってもみなかったが私は決めた。前言を翻してシャンパーニュでレッツゴーである。だって暑いんだもん。とりあえず生ならぬとりあえずシャンパーニュ。ああ楽しみだ来てよかったとハンカチを汗で拭っているとスタッフの方が言った。「では、5種類の中から3種をお選びください」と。ごめんちょっと待って情報量アゲイン。

5種類の高級シャンパーニュ、なにを選べばいいんだ問題

選べるのは、以下の5種類だ。※( )内はボトル価格

2012 ルイ・ロデレール クリスタル (4万1800円)

2010 ザ・ロスチャイルド・レア・ヴィンテージ・ブラン・ド・ブラン (4万2900円)

2006 ビルカール・サルモン・キュヴェ・ニコラ・フランソワ・ビルカール(3万800円)

2008 ボランジェ・ラ・グラン・ダネ(2万4200円)

NV アンリ・ジロー・コード・ノワール(1万9800円)

はい選べない。もちろんすべて飲んだことがないワイン。クリスタルは飲みたいとして、後の2つをどうしよう。お店の方に相談すると、ビルカール・サルモンはコクがあって面白いですよと進言いただいたのでこれを是とし、残るは1本。

これは答えが出ないので、選択肢で悩んだ場合に毎度採用するフレームワークを今回も採用することとする。すなわち「ラーメン屋で迷ったら左上のボタンを押せ」である。ラーメン屋の券売機の左上には大抵その店の定番メニュー、一押しメニューが置いてある。迷ったらそれを選べば外れがない。この場合、リストの上のほうから選ぶのがそれにあたるので最後の1本はロスチャイルドで決定である。

プレステージシャンパーニュ40ml3杯で5000円のお得感

待っている間に、品もなければロマンもない話で恐縮なのだがお得感を考えてみる。あのさあプレステージシャンパーニュ飲むのにコスパがどうとか言うの野暮の極み乙女なんですけどと思われるかもしれないが、しばしお付き合いください。

さて、「【期間限定】プレステージシャンパーニュ・チョイス」は、5つの選択肢のうち3種のワインが各40ml飲めて、お値段は5000円(税抜き)という商品。飲める量は計120mlとなり、一般的な750ml入りボトルの16%に相当する。1mlあたりの単価は41.6円となり、750mlに換算すると3万1200円だ。つまり、ボトル価格3万1200円を超えるワインを選んだ場合“お得”ということになり、4万1800円、4万2900円といった金額のワインを選べる「【期間限定】プレステージシャンパーニュ・チョイス」はお得だ、ということができる。エノテカ先輩あざす。お得はおいしさの調味料。

ルイ・ロデレール クリスタルを飲んでみた

といった皮算用をしていると、まず1杯目、「2012 ルイ・ロデレール クリスタル」が到着。書籍「高いワイン」によれば、ヒップホップ界隈で気に入られ、MVでラッパ飲みしたりしてたら公式から「不本意」とか「ドンペリやクリュグは喜ぶだろう」呼ばわりされたことで人種差別として物議を醸し、ラッパー・ジェイZの呼びかけでヒップホップ業界から姿を消したというクリスタル。いつか飲んでみたいものだと思っていたが、今日飲めるとはラッキーだ。

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ルイ・ロデレール クリスタル。2012は最新ヴィンテージとのこと。

2012はその最新ヴィンテージだそうで、その味わいはいかがかと飲んでみると、お店の方いわく「酸が強めなので、熟成したらすごいことになりそう」との言葉通り、おいしい酸味が細かい泡の間から弾けて突き抜ける。

これが熟成するとどうなるか、私には想像することもできないが、シャンパーニュは熟成させると酸が丸みを帯びてブリオッシュ香がしてギュンギュンになると聞いたことはある。現時点で超おいしいけどこれさらに育つわけですか。すげえなクリスタル。ドラフトで将来性に期待して高卒野手を1位指名したら1年目から活躍した、みたいな感じだろうか。

ビルカール・サルモン・キュヴェ・ニコラ・フランソワ・ビルカールも飲んでみた

2杯目、「2006 ビルカール・サルモン・キュヴェ・ニコラ・フランソワ・ビルカール」が到着。創業者の名前を冠したプレステージキュヴェ、みたいなワイン。バンド名をアルバムタイトルに冠した初のベスト盤、みたいな印象だ。

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ビルカール・サルモンの創業者の名前キュヴェ。これが一番好きでした。

でもってこれが一部樽で発酵しているということもあってかすごく複雑な香りがする。なんなんですかねこれは。世界一の美女が手から外した直後の手袋、みたいな香りがする。それを合法的に今、俺は嗅いでる……! 背徳感が液体になってる。クリスタル対比酸は強くなく、じゃあ果実味が強いのかといえばそんなこともまったくなく、なんなら葡萄感はまるでないのに異様においしいという印象で、もはやなんだか知らんがうまい液、としか言えないです私レベルには。これはすごく気に入った。

ザ・ロスチャイルド・レア・ヴィンテージ・ブラン・ド・ブランも飲んでみた

そして最後に到着したのが「2010 ザ・ロスチャイルド・レア・ヴィンテージ・ブラン・ド・ブラン」。ムートンを所有するロスチャイルドと、ラフィットを所有するロスチャイルド、金融業を営むロスチャイルドロスチャイルドの3社がロスチャイルドの名にかけて作るというシャンパーニュ。強そう。

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ロスチャイルド家がつくるシャンパーニュ

前の2杯はピノ・ノワール60%、シャルドネ40%という同じ比率。今回唯一のシャルドネ100%でさてどうかと飲んでみるともうですね、「ドサージュ(補糖)は控えめで、果実の純粋さをしっかり味わえ、爽やかな後味に魅了されます」とエノテカ公式サイトにあるように、飲んだ瞬間に口内環境が清浄化されるようなフレッシュな味わい。なんですかねこれは。言語化できないのでお店の方に聞くと「酸がエレガントで、とてもバランスの良い味わいです」とのこと。それです。

3種類飲み比べるとそれぞれに味わいが異なり、そのどれも実に美味しい。すいませんおかわりください、同じの! と言いたい気持ちをグッとこらえて家路に着いたわけだが満足度は非常に高かった。なにしろ帰り道に体内がシャンパーニュ環境になるのが最高。いい映画を観た帰り道はいつもの街が違ったように見えるが良いシャンパーニュにも同じ効用があることがわかった。毎日シャンパーニュ飲んだら死なないんじゃないですかねってレベル。始皇帝に教えてあげたい。

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左からクリスタル、ビルカール・サルモン、ロスチャイルド

ただ、3種それぞれ非常においしかったのだが、なにしろ高級シャンパーニュは初体験で、語るべき言葉が私にはない。とてもおいしかったですおわり。という小学1年生の夏の絵日記レベル。ただ、少なくとも体験をしたことでスタートラインには立った。ボトルは到底買えない価格だが、試飲ならイケる。今後とも、折に触れて試してレベル1からスタートしたいと思った次第だ。