Amazon限定の南アフリカワイン「フォルスベイ」を買ってみた
Amazonで「フォルスベイ」という南アフリカワインがAmazon限定商品として売られていたので買ってみた。1000円を大きく下回る価格ながらそこは汲めども尽きぬ安うまワインの泉・南アフリカ。この値段でもそこそこおいしいのではなかろうかという期待が持てる。
買ったのは赤のピノタージュ「フォルスベイ ブッシュヴァイン ピノタージュ」と白のシュナンブラン「フォルスベイ スロー シュナンブラン」という南アを代表する品種のワインふたつ。
結論を先に書いておくとどちらも全然余裕でおいしかったんですよこれがまた。いい意味で価格にまったく見合わない、そのへんのレストランで「グラスワイン(赤)」を頼んでこれが出てきたらおっとラッキーうまいじゃないのってなる感じのワインだった。
セール時の600円とか800円とかっていうエクストリームな価格を考えればコノスル ビシクレタレベルの性能を発揮しているといっても過言ではないと思うレベル。ありがとうアマゾンジャパン合同会社。すごいぞ南アフリカ共和国。
フォルスベイはどんなワインなのか
さてこのワイン、一体どういうワインなのかを調べてみると、フォルスベイヴィンヤードの公式サイトには「南アフリカのワイン業界を支配していた大規模な協同組合によるブレンドの中で失われる運命にあった」西ケープ州の宝石のようなブドウ畑をポール・ブティノという人物が1994年に見つけ出し、野生酵母による発酵、酸の無添加といったナチュラルなアプローチでのワイン造りを実施したとある。自社のヒストリーを紹介しつつちゃっかりライバルをディスってるのすごい。
じゃあそのポール・ブティノって誰なんだと調べると、イギリスのワイン商・ブティノ社の代表を務める人物で、もともとはレストランビジネスをしていたがレストランで提供されるワインの品質がマチマチなのに業を煮やして自らワイン造りをはじめたという方。
イギリス、フランス、イタリア、南アフリカなどなどでワインを造っているのだそうで、南アにおいてはスケールメリットを活かした高品質・低価格路線で勝負しているみたい。世に言う安ワイン金持ちしか造れないの法則(Amazonそういう生産者としか付き合わないの法則)だ。
栽培はバイオダイナミック、醸造においては野生酵母発酵、酸無添加、ヴィーガン対応などと書いてあり、いかにもナチュラルな雰囲気。30年前に南アで自然派的なワイン造り始めてるのけっこうほんとすごいビジネスセンスだと思う。すごいぞ、ポールさん。
フォルスベイとオーガニックとヴィーガンとワイン
ただ、私が購入したボトルはそうでなかったが、無濾過ゆえなのか無清澄ゆえなのか両方なのかなんなのか、瓶内に澱が残ってるケースもあるようで、Amazonの商品ページにはおそらくはその澱に関して直球どストライクなレビューが書き込まれていた。」
ワイン沼にかれこれ3年くらい半身浴し続けていると感覚が麻痺してくるが、ボトルの底に謎の沈殿物が溜まってたら嫌ですよね普通。「安心してください、これは酵母の死骸です」って言われても余計に気持ち悪ってなるのが普通の感覚であろう(私は飲んじゃいますが)。
話は逸れるが、ヨーロッパのワイン生産者のウェブサイトを見ていると、「オーガニック(サスティナブル)」と「ヴィーガン」を謳うものが非常に多い。オーガニックはまだしもヴィーガンは日本では謳い文句としてほとんど機能していない印象だが、欧州だとこの2点を謳わないと市場に入っていけない感じが伝わってきて興味深い。このフォルスベイのワインも、ヴィーガンでオーガニックでサスティナブルだ(ちなみにSO2は添加あり)。
このあたりの事情は醸造家のNagiさんと私でやっているYouTubeに詳しいので、ご興味ある方はぜひご視聴ください↓
フォルスベイはどんな味?
グラスに注いで飲んでみると、その味わいは赤白甲乙つけがたく両方おいしいのだが、強いて言えば個人的には白のシュナン・ブランのほうがより好みだったかもしれない。
公式サイトの資料には発酵に6カ月かけた……みたいに書いてある(ゆえに“スロー”シュナンブランというキュヴェ名なんだそうな)のだが、だからといって液体が濁っているわけでもなくクリアで果実味たっぷり。樽の感じに酸もしっかりピシッとあって、なにこれ普通においしいやつじゃないの。あなたなんで800円とかで売ってるわけなんだよ、となる。
じゃあ赤のピノタージュのほうは一枚落ちるのかといえば全然そんなことなく、私がピノタージュに求めるちょっぴり濃いめの甘酸っぱさ、みたいなのがあるミディアムボディならぬフルボディならぬセミぽっちゃり(私基準)系ワインで大変良い。2本買って1500円ちょっとで買えていいのかよこれ。
というわけでフォルスベイのワイン2本、どちらも安くてうまくて驚いたというだけの話なのだが、造りがいかにもコストのかかりそうな自然派感じだったため、じゃあなんでこの値段で買えるのか? と逆に気になるみたいな気持ちになってしまったのだった。デイリーワイン探してる方、選択肢にしていいと思います。