ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ドイツワインのブラインドテイスティングに挑戦! 正解できた!?

銀座ワイナックスでドイツワインのブラインドテイスティングに挑戦してきた

ドイツワイン専門店の銀座ワイナックスでドイツワインのブラインドテイスティングが開催されているとTwitterで目にしたので行ってきた。事前情報なしでテイスティングし、品種や生産年、もっといえば生産地域や生産者まで当てるってやつ。

私はブラインドテイスティングの経験が皆無かつワインに関する専門的な勉強もしていない。ブラインドで飲んで正確な答えが導けるわけもないのだが、せっかくなら結果はブログで発表したい。あまり飲んできていないドイツ品種なら全部外しても恥ずかしくないだろうという邪悪な考えを抱いていたことを最初に告白しておきます。

 

白3種、赤2種のグラスの中身は?

というわけで仕事終わりにJRの新橋駅からほど近いワイナックスへと足を踏み入れた。こぢんまりとした店内は、30余年前の創業以来一貫して蔵出しワインを自社倉庫で保管し続けたからこそという多彩のヴィンテージが並んでいて、ドイツワインの博物館のよう。

お店の方にブラインドテイスティングをお願いしますとお伝えすると、さっそく5つのグラスを用意していただけた。内訳は白が3種、赤が2種だ。

白3種、赤2種の中身は…?

さて、実際にテイスティングを始める前に、今回のブラインドテイスティングにおける私の基本ドクトリンを開陳しておきたい。ブラインドで品種を射抜ける味覚も知識もないない私に勝ち筋があるとすれば、それは盤外戦術をもってするしかない。具体的には「なにが出るか」をあらかじめ予想し、複雑な問題を選択肢問題化していく。

 

ドイツ品種か? 国際品種か?

まず、ドイツワイン専門店なわけだから、絶対に外せない品種がある。リースリングだ。ドイツワインのブラインドテイスティングリースリングが出なかったら、瑛太のライブで『香水』を演奏しないようなものだろう一般的に考えて。99%入る。白3種のうちの1種はリースリングのはずだ。

白のうちの1本はリースリングと予想

赤のうちの1種は、確度は下がるがピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)だろう。ドイツの赤といえば感があるし、難易度調整の観点からもわかりやすい品種がもう1種類は必要なはず。赤のうちのひとつは80%の確率でピノ・ノワールと予想した。

赤のうち1本はピノ・ノワールと予想

すると残りは白2種、赤1種。残り3種のうち、おそらく国際品種が0.5〜1種、ドイツ品種が2〜2.5種の配分くらいだろうか。赤2種が2種とも国際品種なのは考えにくいし、そもそもドイツのカベルネメルロー、シラーみたいになると変化球過ぎる。赤のもう1種はドイツ品種だろう。白の残りは国際品種1ドイツ品種1が本線だ。

こんな感じでは? と予想(テイスティングとは…?)

白はなにが出るかわからないので、こう感じたらこれだと判断しようリストを脳内で組んだ。(下記の特徴は私個人の感じ方であり教科書的では一切ないので注意)
バラの香り→ゲヴュルツトラミネール
甲州みたいな感じ→ピノ・ブラン
中庸→ミュラートゥルガウ
スッキリ&親しみやすさ→シルヴァーナー
果実を感じる飲みやすさ→ピノ・グリ
その他の品種は飲んだことがあっても1回とかなので判断不能。出たらお手上げだ。このうちの2種が出ることを願うまでである。

ちなみにこのセットを直近で飲んでたのは予想の役に立った↓

 

ブラインドテイスティングスタート。どれがリースリングなんだ問題

これだけ作戦を練り上げればハハハ、余裕でしょ。彼を知り己を知れば百戦あやうからずby孫氏。などと言いつつ5杯それぞれをくんくんしつつ飲んでみて驚いたやべえ全然わかんねえ。とくに白3種は初見だとまったくわからなくてすごく焦った。

とはいえわかるのもあった。5番のグラスはピノ・ノワールだ(たぶん)。5番がピノ・ノワールだし、それ以上に4番が明らかにピノ・ノワールではない。赤ワイン2種のうち1種はピノ・ノワールと予想しているため、消去法で5番がピノ・ノワールとなる。ただ、4番がなにかはわからない。

5番はピノ・ノワールと予想

白3種はどれもドイツワインらしい造りがキレイなスッキリタイプで、大きな差分は感じられない。事前予想によれば3杯のうち1杯はリースリング。そこで、まずは「どれがリースリングか」を考えてみた。

リースリングといえば石油みたいな香り(ペトロール香)が特徴だと言われるが、醸造家のNagiさんによれば健全なブドウで造ればペトロール香は出ないのだそうで、実際この日の3つのグラスからもペトロールが香るグラスはない。困った。

NagiさんとやってるYouTubeチャンネル。ぜひチャンネル登録を↓

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花粉症(ブタクサ)で鼻がな〜利かないんだよな〜とおいさっきの威勢はどうしたとしか言いようのない言い訳を脳内で展開する始末だ。敗北の予感しかしない。ただ、2と3に比べて1はスッキリに感じられ、リースリング的な蜜感がない気がする。そこで、ひとまず「リースリングは2か3(仮)」とした。

 

リースリング以外」はなんなのか問題

とはいえこの時点では全然答えが確定できない。いっやー、わっかんないっすねえ〜、うーん、全然わからない…! みたいなことをペラペラ喋りながら手がかりを探していると、お店の方が哀れに思ってくれたのか、「ドイツ品種はドイツワインを普段から飲んでいる方でないと難しいですよね。もしかしたらアルザスワインなどがお好きな方はわかるかもしれませんが…」とおっしゃった。これを私は「3種のうち1種はアルザス品種だよ」の意を示す天の声だと解釈した。

himawine.hatenablog.comアルザス品種でドイツでも栽培されていそうな品種というとゲヴュルツトラミネール、ピノ・グリ、ピノ・ブランあたりだろう私の知識レベルでいうと。そしてゲヴュルツのようなバラの香りがするグラスはない。ピノ・グリのような黄色っぽい果実の厚みを感じるグラスもない気がする。となると残るは消去法でピノ・ブランだ。というわけで、1か2か3がピノ・ブラン。そして2か3がリースリング、という予想が立った。

そうこうしているうちに、少しずつグラスの温度が上がってきて、白3種の個性がだんだん際立ってくる。とくに3番のグラスからは後味に蜜蜜しい感じが漂ってきた。3番よ、おまえさんがリースリングなんだね……? と生き別れた娘と再会したみたいに心中でささやき、これをリースリングと決めることにした。

3番をリースリングと予想。

残り2種のうち1種はピノ・ブランとすでに予想した。そして、もう1種はピノ・ブランとリースリングの中間的な印象を受けた。私がかろうじて予想可能なドイツ白品種は5種。そこからすでに予想したリースリングとすでに除外したゲヴュルツトラミネールとピノ・グリを引くと、残る候補はミュラートゥルガウとシルヴァーナー。悩んだが、ミュラー・トゥルガウを選択した。理由は最近飲んだからです(テイスティングとは)。

では1番と2番のどちらがピノ・ブランでどちらがミュラー・トゥルガウかだが、非常に悩んだ末にリースリングと迷ったほうがよりドイツ品種感のある品種だろうとミュラートゥルガウを2番、ピノ・ブランを1番と予想。これで白3種が決まった。

1がピノ・ブラン、2はミュラー・トゥルガウと予想。

 

赤の「もう一種類」はなにか?

最後は赤の4番だが、飲んだ印象としてツヴァイゲルトレーベっぽいと感じた。完全に甘酸っぱ。ここがドイツワイン専門店でなければ「北海道は余市のツヴァイゲルトッ‼︎」といい顔で答えそうな感じ。なんだけど、ツヴァイといえばオーストリアで、ドイツのイメージがあまりない。ツヴァイじゃなくてドイツ品種で甘酸っぱってなんだろう……?

と店内を見回すと、「レンベルガー」の文字を見つけた。しかも説明によればオーストリア原産の品種のようだ。つまり完全にカンニングだが、4番はレンベルガーに決めた。ブラウフレンキッシュとも呼ばれる品種ですね。てなことでまとめよう。以下が予想だ。

4をレンベルガーと予想。正直(カンニングなので)自信はゼロ。

 

果たしていくつ当たった? 正解発表

では、正解はどうだったのだろうか。発表しよう。こんな感じだった。



うーん、残念! 当てられたのは「3」と「5」で5つのうちふたつ。しかも、もっとも当てやすい(であろう)リースリングピノ・ノワールだけだった。

途中お店の方から大ヒントを頂戴し、カンニングも駆使してなお正答率40%だったが、与えられた情報から消去法で論理的に品種を絞り込んでいく作業は脳に汗をかいてとても楽しい時間だった。

正解ワインのみなさん。どれもおいしいワインだった

いやあよかった楽しかったと思っていると、「惜しかったですね。1番のリヴァーナーはミュラー・トゥルガウ、2番のヴァイスブルグンダーはピノ・ブランですから。そこが逆でした」とお店の方が衝撃的なことをおっしゃった。私の予想は1番がピノ・ブラン、2番がミュラー・トゥルガウ。これが逆だったら4問正解だったのかちっきしょおおおおおお!!!

とはいえ正解に迫れただけで自分としては100点だ。ヒントあり、カンニングありの参考記録だがビギナーズラック全開でなんとなくカタチになってよかった。なにより楽しかったし。ブラインドテイスティング、正直あまり興味がなかったのだが、ぜひまた挑戦してみたいと感じた。

個別のワインの味わいを云々すると、私の好みは抜けてラッベンホーフのドルンフェルダー、つまり「4番」の赤ワインが今日イチおいしいと感じた。ベリー系のチャーミング全開の香りにハルプトロッケン表記のほんのちょい残糖があるタイプで、とにかくイージー・トゥ・ドリンク全振りという味わい。これを買って帰れば良かった。今度お邪魔したとき買います。

himawine.hatenablog.com