ルイ・ジャド赤5本セットの中身
Amazonのタイムセールで「ルイ・ジャド赤5本セット」を購入した。セール時の値引きがエグいセットで、通常価格1万2000 円台のワインが8000円台から下手すると7000円台で購入できて、ここ最近のAmazonのセールの目玉感がある。
Amazonのタイムセールでおなじみルイ・ジャドの5本セットがここだけ円安が進行してない世界線なのかという格安価格で売ってます。シャブリやソンジュ・ド・バッカス入りで定期おトク便なら8008円(1本1602円)はお得すぎ。 https://t.co/sQRKecYCAE
— ヒマワイン|ワインブロガー (@hima_wine) 2022年9月24日
その内訳は、以下のようなものだ。
ボジョレー ヴィラージュ
コトー・ブルギニヨン
ブルゴーニュ ルージュ
ブルゴーニュ ルージュ ソンジュ・ド・バッカス
コート・ド・ボーヌ ヴィラージュ
このうちコート・ド・ボーヌ ヴィラージュは村名格で、それ以外は地域名あぺらしおん。(ボジョレー ヴィラージュは『ヴィラージュ』という名前がついているけど村名格じゃない)
というわけで格付け上位のコート・ド・ボーヌ ヴィラージュをアンカーに配置し、なんとなく安そうな順でコトー・ブルギニヨン→ブルゴーニュ→ブルゴーニュ ソンジュ・ド・バッカス→ボジョレー・ヴィラージュの順に飲んでいくことにした。
以前同じルイ・ジャドの白5本セットを飲んでそれを順位づけしたときはキレイに値段順においしくなっていったと感じたが今回はどうか。早速行ってみよう。
ルイ・ジャド コトー・ブルギニヨン2020を飲んでみた
まずはコトー・ブルギニヨン2020。コトー・ブルギニヨンは2011年に制定された新しいアペラシオン。ブルゴーニュほぼ全域を含むアペラシオンで、使っていいブドウ品種はピノ・ノワール、ガメイ、シャルドネ、アリゴテほか。「ほか」はセザールとかメロンとか。メロンっていう名前のブドウがブルゴーニュにはあるんですよみなさん。
テクニカルシートが公開されていないのでわからないが、ルイ・ジャドのコトー・ブルギニヨンのワインの使用品種はガメイとピノ・ノワールで、ガメイの名前が先にきてるからガメイ主体なのかもしれない。日本リカーのカタログによれば、2020ヴィンテージの定価は2500円。
で、飲んでみると開けたてはけっこう硬め。2000円台のワインでこの硬さかよってレベルの人見知りっぷりなのだが時間経過とともにガンガン開いて30分くらいで開花完了。なんだよ〜、めっちゃ喋るじゃんか〜みたいになった。要はフレッシュで果実味たっぷりで渋みがもたらす厚みもあってうまい。
果実味と渋みが主体の、これはガメイが主体だねという味わいで、ピノ・ノワールの酸がそれを補っている印象の大変良いブレンド。出だし好調だ。
ルイ・ジャド ブルゴーニュ ルージュを飲んでみた
続いては無印ブルゴーニュ ルージュを飲むことにした。ブドウはコート・ドールとコート・シャロネーズの畑から。2020ヴィンテージの定価は3300円で、Amazonのセットには2018ヴィンテージが封入されていた。醸造後は樽またはステンレスタンクで8〜10カ月熟成させ、その後ブレンドしてボトリングするそうだ。
飲んでみると、おお、濃い。かなり濃い。佐藤錦っていうよりアメリカンチェリーといった感じの印象だ。2018年は太陽のヴィンテージなんてなことを言われるそうで、ときにワインに過熟感があるみたいな話を各所で耳にするけれども納得だ。私レベルだとブラインドで出されたらブルゴーニュのピノ・ノワールって当てられないと思う。
とってもおいしいのだが、ブルゴーニュのピノ・ノワールには酸が欠かせないという先入観も邪魔をして、どこか一弦のないギターの演奏を聴いているような物足りなさを感じてしまったのだったゴメン。
ルイ・ジャド ブルゴーニュ ルージュソンジュ・ド・バッカスを飲んでみた
となればちょっぴり格上のブルゴーニュ ソンジュ・ド・バッカスでリベンジするほかあるまい。ヴィンテージは無印ブルゴーニュと同じ2018ながら、定価はこちらが500円高い3800円。村名やプルミエ・クリュのワインを加えた日本限定キュヴェだ。日本限定キュヴェなんだ。
飲んでみると、こちらはなるほどちょっといいワイン感があり、バランスも整っている。果実と渋みが主体で酸はやや弱めながら、少し時間が経つと使い込まれた木製の家具のような良い香りが立ち上がってきてうん、おいしい。おいしいんだけど、やはり2018ヴィンテージの影響下、と思った次第。
美人で性格もいいんだけどなぜか自分の好みのタイプではなくていやいやお前の好みとか聞いてねえから、とツッコミ入れられる感じだ。
ルイ・ジャド ボジョレーヴィラージュ2019を飲んでみた
残るはボジョレー・ヴィラージュとコート・ド・ボーヌ ヴィラージュ。まずは今回の5本セットのなかで唯一ガメイ100%で造られるボジョレー・ヴィラージュ2019を飲んでみることとした。
ルイ・ジャドはボジョレーヴィラージュ専用の醸造施設を持っているのだそうで、このワインは100%自社醸造なんだそうだ。その他のワインは「買いワイン」も含まれるってことなのかな。わからないけれどもボジョレー・ヴィラージュには謎のこだわりがあることがわかる。クリュ・ボジョレーのワインも15%使用されているそうだ。
ちなみにこのワイン、2020VTの価格は2300円で価格的には「最安」だったのだが、個人的にはこれが今回の赤5本セットのなかで一番おいしいと感じた。ガメイ下剋上。資本主義社会においてはワインは価格が高いほどうまいという不都合な真実を乗り越えてつかんだ栄冠だ。優勝おめでとう。
まず香りがいい。他のワインと比較して、香りの量が端的に大きくまずはそれだけで満足感がある。渋酸甘のバランスも良く、ワインとしての完成度が非常に高いと感じた。ブルゴーニュ価格高騰の折、ピノ・ノワールが高いならガメイを飲めばいいじゃないと感じられる味わいだった。ピノ・ノワールとガメイの味わいが全然違うのが問題なわけだけれども。
ルイ・ジャド コート・ド・ボーヌ ヴィラージュを飲んでみた
さて、今回の赤5本セットでもっとも期待度が高かったのはいうまでもなく唯一の村名格であるコート・ド・ボーヌ ヴィラージュだ。そりゃそうだ。コート・ド・ボーヌ14の村で採れたブドウで造られるAOCコート・ド・ボーヌ ヴィラージュだが、ジャドの場合はショレイ・レ・ボーヌ村、ラドワ村のブドウをメインに造られるそうだ。
セットに入っていた2017ヴィンテージが現行品のようで、カタログに記載された価格は4500円。セットで1本1500円くらいの価格で買ったので、約66%オフの感じだ。狂ってやがる。
で、これは開けるのがほんの少し早かったかもと感じた。渋みと酸味がリングの中央で繰り広げる死闘の巻き添いをくらった果実という名のレフリーがリングの隅で失神しているような印象で、果実がリングを正しくコンダクトあるいはドミネートするのはまだちょい先感がある。
何年も寝かせる必要はたぶんなく、半年とか1年とかで十分なような気がする、羽化しかけで殻からの離脱角度が30度くらいに達してるセミみたいな本格化直前具合。実際、開けて初日はかなりの渋すっぱだったが、2日目に温度が上がってくると香りが現れてきておいしくなっていき、3日目に残した最後の1杯がベストの状態だった。この3日目の最後の1杯だったら、今回の5本のなかでベスト。
ポテンシャルは疑う余地なく最強なので、ほんの少し待てたら、あるいは飲む数時間前に抜栓したりデキャンタージュしたりしたらより楽しめると思う。いやしかしこのレベルのワインが5本で7000〜8000円のセットに入ってるのすげえな。
ルイ・ジャド5本セットランキング
というわけでルイ・ジャド5本セットを飲み終えた。あえて順位をつけるならばこんな感じだ。
1 ボジョレー ヴィラージュ2019
2 コート・ド・ボーヌ ヴィラージュ2017
3 コトー・ブルギニヨン2020
4 ブルゴーニュ ルージュ ソンジュ・ド・バッカス2018
5 ブルゴーニュ ルージュ2018
1位と3位にガメイ絡みのワインが入ってきたのが個人的には驚きだった。ただ、そうはいってもどれもおいしく、何度もいうがこの内容で1本1500円は壊れた価格。このセットは内容と価格が少しずつ変化するので、今後も注意深く見守っていきたい。
赤セットも白セットもどちらも全力でオススメ↓