ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

Amazonで激安のドイツワイン「ハンズ・ベア」はどんなワイン? 調べてみた!

ハンズ・ベア(HANS BAER)はどんなワインか?

Amazonで「HANS BAER(ハンズ・ベア)」というドイツの白ワインがセットで異様に安く売られている。その価格、時期にもよるが概ね3000円以下。定期おトク便を利用すると2500円前後で買えてしまうお得度。激安ワイン領域なので味は期待できない……かと思いきや、ワイン評価アプリのvivinoで調べると、その結果も悪くない。

ハンズ・ベアとはどんなワインなのか。

一体どういうことなのか試しに買ってみたのでハンズ・ベアというワインについて調べてみることにした。

 

ハンズ・ベアとベルリン・ベア

まず「HANS BAER」で検索すると、公式サイトが検索トップに表示される。ちゃんとサーチエンジン最適化がされてることがわかり、きちんとしたマーケティングが行われている気配が漂ってくる。ブルゴーニュのドメーヌとかシャンパーニュのRMとか下手すると公式サイトが存在しなかったりする…!

サイトのつくりは生産者サイトではなく、典型的なブランドサイト。そこにはこんな文言が踊っている。

ハンス・ベア、世界を旅する
ドイツの首都ベルリンの国旗に描かれていた熊は、ドイツで最も有名なシンボルの一つです。ハンス・ベアーは、故郷ベルリンを起点に、ラインヘッセンの秘蔵ワインを新しい世代の熱心なワイン愛好家に届けるため、流行の自転車に乗り世界中を旅しているのです。

ポエム的要素を排除して要約すれば、「ドイツのラインヘッセンで造る若年層向け輸出用ワインブランドである」と言ってるんだと思う。ワインにおける若年層向けは、ほぼイコールで低価格で飲みやすさ重視のタイプ。

ベルリン・ベア。(写真はwikipediaより)

ベルリンのシンボルはベルリン・ベアと呼ばれる熊。ハンスは日本でいえば「太郎」的なよくある名前だそうで、身も蓋もない言い方をすれば「熊の太郎」みたいな感じの親しみやすいブランドネームであるようだ。外国資本が日本でお酒つくって「富士山太郎」みたいな名前で輸出市場で売るみたいなイメージだろうか絶対違うと信じたいけど。

(ちなみにハンスは洗礼者ヨハネに由来する名前。もともとヘブライ語でヨハナンだったのがギリシア語でイオーアンネースとなり、それがラテン語で『loannes/lohannes』と綴られ、ドイツではヨハネスになり、それがさらに愛称化して『ハンス』となったようです。おもしろ〜)

 

ハンズ・ベアとCGFグループ

公式サイトに話を戻すと、そこにはふたつの住所が記載されている。ひとつめがドイツ・ラインヘッセンマインツのヘクトハイムワイナリー(Weinkellerei Hechtsheim )の住所。そしてもうひとつがフランスのGCFグループの住所だ。

CGFグループ本社。でかっ。

GCFグループは変な形のボトルでお馴染み「JPシェネ」で会社を大きくしたフランス最大の家族経営のワイン会社で、公式サイトによれば「フランスNO.1のワイン・スピリッツ輸出企業」でもあり、年間1700億円超の売り上げを誇る世界第5位のプレーヤー、なんだそうだ。いかにもAmazonが組みそう。巨大資本のCGFグループがドイツで造るドイツワインブランド、それがハンズ・ベアであるようだ。

じゃあ実際にワインを造るヘクトハイムワイナリーはどんな人たちなのかと名前を入力してもたいした検索結果が出てこない。写真を見る限り巨大な工場で、5〜7ユーロくらいの安リースリングを作っているらしいことが確認できた。巨大資本×巨大工場×巨大流通(Amazon)の大三元。是非はともかく典型的な高品質低価格のレシピと言えそうだ。

 

ハンズ・ベアのラインナップ

さて、ハンズ・ベアには9種類の品種がラインナップされている。すなわちシャルドネソーヴィニヨン・ブランピノ・ブラン、ゲヴュルツトラミネール、リースリングピノ・グリージョ、メルローロゼ、ピノ・ノワールドルンフェルダーの9種類で、若干ドイツっぽくない品種が混ざってるところに輸出市場向け&気候変動対応感がある。

ドイツで醸造家として活躍している盟友・NagiさんとやってるYouTubeはこちら↓

www.youtube.com

ではAmazonの5本セットにはそのうちのなにが入っていたのだろうか。セット紹介にはソーヴィニヨン・ブランピノ・ブラン、ゲヴュルツトラミネール、リースリングピノ・グリージョとあったが、実際に届いたセットにはピノ・グリージョがなく、代わりにリヴァーナー/グラウブルグンダーというワインが入っていた。セット内容違うのすげえ。

問題のリヴァーナー/グラウブルグンダーがこちら

ちなみにリヴァーナーはミュラー・トゥルガウ、グラウブルグンダーはピノ・グリのこと。ピノ・グリ使ってるからセーフ、みたいなことなのだろうか。まあいいか。

ともかくそんな感じの5本セット、私はそのリヴァーナー/グラウブルグンダーとピノ・ブランをすでに飲んだのだが、とくにリヴァーナー/グラウブルグンダーがすごく良かった。

ドイツの白ワインらしいスッキリ感と蜜の感じ。天然水のようなキレイで透明な感じ。安ワインなので「それ以上」はなにもないんだけれども、あえてあげつらうようなネガティブさがなくとても飲みやすい。スクリューキャップなのもいい(開けやすいのもいいし、なにより『閉めやすい』のがスクリューキャップのメリットだ)。

販売元はAmazon。輸入元はキリングループのワインキュレーション株式会社。

この感じだとゲヴュルツトラミネール、リースリングあたりはほぼ確実においしいと思われるし、ワインサーチャーで調べるとリースリングの平均価格は9ユーロとあるから、本来日本では1500円とかで売られていてもおかしくないワイン。それが1本500円で買えるのは破格といっていいと思う。

評価も高いんですよこれ。

というわけでこのセットはおすすめ。ちょっといいワイン1本分の価格で5本買えちゃうわけだし。

定期おトク便で買うとさらにお得なのでハウツー置いときます↓

himawine.hatenablog.com