ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

シャトー・ソシアンド・マレ。「難しい年」2013年はおいしいのか!?

シャトー・ソシアンド・マレと2013年のボルドー

シャトー・ソシアンド・マレ2013を買った。

2013ヴィンテージはボルドーの「難しい年」とされ、他のヴィンテージに比べて価格が安い。楽天で価格を調べると、2013はアラウンド4000円で買えるが、隣接する2014は5000円台半ば。同じ生産者の同じ名前のワインでありながら、1500円前後、下手すると3割近く価格が安いのだ。ヴィンテージによってはセカンドより安いまである。

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シャトー・ソシアンド・マレ2013を飲みました。

安物買いの銭失いという言葉もある通り、安いからと手を出して、結局安さにつられず良いものを選べば良かったと思った経験は誰しもにもあるはずだ。買う理由が値段なら買うな、買わない理由が値段なら買え、といった、なんかわかるっぽく聞こえる言葉も世にはある。

みたいなことは重々承知なのだが私はワインブロガー。仮に結果がアレでもそれもまたネタになるという浅ましい心でもって、2013ヴィンテージを購入した。難しい年ほど生産者の技量がワインには表れるって言いますからね。本音と建前の言う順番を間違えてる気がするけど。

 

シャトー・ソシアンド・マレはどんな生産者か

ともあれソシアンド・マレだ。飲みたかったんですよソシアンド・マレ。

シャトー・ソシアンド・マレがあるのはボルドーオー・メドック地区、ポイヤックの北10キロの土地。この地に1633年、バスク出身の貴族・ソシオンドさんという人が住んでいたそうで、それが「長年のスペルミスにより」、ソシオンド→ソシアンドになったのだそうだ。スペルミス……!(衝撃)

ちなみに某評価サイトで「シャトー・ソシ・アンド・マレ」と書いている方もいた。ソシアンドのアンドは&じゃないんですよ。言葉って難しいですね。

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裏ラベルに品種書いてあるのなんかいいな。輸入元はファインズ。

さて、その後1831年にこの地を所有者していた女性がマレさんという軍人と結婚したことでシャトーはソシアンド=マレと呼ばれるようになったのだが、長い月日を経てシャトーは忘れ去られ、wikiの表現を借りれば20世紀半ばには「広大な土地を持つ廃墟」となっていたのだそうだ。

状況が変わるのは1969年。ベルギーやオランダへのボルドーワイン取引で財を成したネゴシアン、ジャン・ゴートローが25万フランでこの土地を取得したのを機に再生を開始。現在は83ヘクタールのブドウ畑から45万本近いワインを生産するに至ったのだそうだ。やり手だな、ゴートローさん。

 

シャトー・ソシアンド・マレ2013の評価

さて、ではその2013ヴィンテージはどのようなものなのだろうか。公式サイトにはヴィンテージごとに、「専門誌にどう評価されたか、ポイントが何点だったか」が記載されている。2013とグレートヴィンテージだったという2015で得点はどう違うか、調べてみた。

まず2015はどうだろうか。フランスで多い20点満点評価の平均は「16.25」。100点満点評価の平均は「91.1」だった。おおむね高得点。では2013はどうか。いいヴィンテージだったという2015と比べてみよう。

2015=16.25/91.1
2013=15.84/88.8

うーんなるほど。やっぱり全体的に2015に比べて2013ヴィンテージの評価が低いことがわかった。ヴィンテージチャートを見てみると、ワインアドヴォケイトでは2015年のポムロールは「94」に対して、2013年は「81」と悲惨なまでに落差があるので、それを思えばマシ……?

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vivinoの評価は3.8。ネットのクチコミ評価はおおむね良さそうだが…?

なんだか不安になってきたのだが、ともかく飲んでみよう。ちなみに造りは自然発酵で、ステンレスタンクでマロ発酵後、新樽率100%で12カ月熟成させるとのこと。購入ショップによれば、ブドウはメルロ53%、カベルネ・ソーヴィニヨン47%。2013ヴィンテージのレビューのなかに、生産本数を減らした的なことが書いてあったので、そこに一縷の希望を託し、レッツ開栓だ。

 

シャトー・ソシアンド・マレ2013を飲んでみた

グラスに注いでみると色はかなり濃いめ。皮とかインクとかの「私は気難しいタイプのボルドーです」と言わんばかりの香り。で、飲んでみるとこれはもうわかりやすく渋すっぱ。渋すっぱかー! そして果実はかなり控えめ。でも抜栓直後だからということで、ゆっくり飲むことにしましょう。

 

ーー2時間後ーー

 

一旦ほかのワインを飲みつつだらだら飲んでいると、果実味が徐々に現れてきた。このタイミングで生ハム選手を投入した結果一気に甘味が感じられるようにもなってきた。でも、まだポテンシャルを完全発揮している感じではない。ここで栓を戻し、残りは翌日に飲んでみることにしよう。どうなるかなー。

 

ーー翌日ーー

 

さて24時間が経過して再び飲んでみると、おし、香りは豊かになっている。昨日あけたての「墨・革製品・鉄」みたいな、ジャレド・ダイヤモンドの著書かよみたいな印象は薄れ、ベリー感、フルーツ感が漂ってくる。

飲んだ印象もかなりマイルドになり、とくにスパイスを思い切り効かせた肉料理との相性はとても良くなった。3000円台課金してわざわざこれを選ぶかと言われれば微妙だが、一方で、全然おいしくなかった、やっぱりバッドヴィンテージはバッドヴィンテージだな! みたいにもまったく言い切れないんですよこれホントに。ワインブロガーとして致命的な発言な気もするが、正直おいしいのかおいしくないのかわからない。時間が経過するごとにおいしくなってくるし、明日以降にピークがきそうな感じもするし、なんかすごい手間がかかるんだけどそれが魅力になってるフシもある。メンタルが弱いタイプの彼女かなにかか。

ワインは奥が深い。ワインを飲むたびに言ってるようなことを今回も言って、ひとまず本稿を締めたい。ともかくいずれグッドヴィンテージも飲んでみようと思います、シャトー・ソシアンド・マレ。

3000円台で買えるので興味ある方はぜひ。飲んだ感想教えていただきたい…!↓