5インポーター17種のワインを試飲した
東京・神宮前のワインショップ「ウィルトス」の試飲会に行ってきた。今回のテーマは「新規インポーターワイン試飲会」というもの。内容はそのものズバリでウィルトスが新たに取引を開始するインポーターのワインを試飲する会である。
用意されていたのはインポーター5社の17銘柄。結論を先にいうと、今回の試飲会は「ばかうま!」みたいになるワインが複数あった。とはいえ我が家のワインセラーはすでにパンクしており、にも関わらずこれからワインが複数届く。今日という今日こそは買うのはマジで1本に絞ると固い決意を胸に臨んだ。
というわけで、5社それぞれでもっとも印象に残ったワインをレポートしていきたい。
コンピラマル・ワインズ「マウント・ミドリヤマ トータル・ヴィクトリー」とは!?
さて、試飲会がスタートして最初に登場したのはインポーター「winy」が取り扱うオーストラリアの生産者「コンピラマル・ワインズ」のワイン3本。
コンピラマルワインズってなんだよ、となるわけだが、なんでも生産者がTBSのスポーツ番組「SASUKE」の大ファンで、その完全制覇者である漁師・長野誠氏の所有する船「第50金比羅丸」にちなんだ名前なんだそうだが本人たちは日本と縁もゆかりもないらしい。世界にはいろんな人がいる。
さて、3本のなかでもっとも印象的だったのは最初に飲んだロゼ泡「マウント・ミドリヤマ トータル・ヴィクトリー」。マウント・ミドリヤマはTBS緑山スタジオ、トータル・ヴィクトリーは完全制覇ですね。世界にはいろんな人がいる。
サグランティーノ、ヴェルメンティーノ、ドルチェットから造られたペティアンで、甘みと酸味が実にチャーミングでお花見なんかに激ハマりしそうなワイン。名前のインパクトや背景のキャッチーさも含めてワイン会に持っていくのにも良さそうワイン会に行く予定はないけど。ともかくいきなりの購入候補だ。
さわやかポルトガル白、VINHO APARTE「スーパーラヴィット」
続いては鹿児島のショップ兼インポーターだという「セラヴィー」のワイン。ポルトガルワインを専門に扱うインポーターで、今回飲むことができたワインももちろんポルトガルのもの。
3本飲んだ中でもっともいいなと思ったのはワイン醸造学校に通う3人の論文プロジェクトからスタートしたというVINHO APARTEの「スーパーラヴィット」。ポルトガルの地ブドウなんですかねこれは、アリントとフィルナンピレスを使った限定1000本という希少なワインは、レモンジュースみたいなスッキリした味わいでこれからの季節に良さそうな印象だった。
ウィルトスの方いわく「ポルトガル由来の食べ物は日本にたくさんあるし、日本と同様海の物を多く食べる。だから和食と相性がいいんです」とのこと。たしかにこれは和食にピッタリな感じがした。
若き女性醸造家ラファエル・ギュイヨの「レ・ザット」が素晴らしかった件
お次は東京・築地のインポーター「VIVIT」のワイン5種。この中で、全体の9番目に飲んだブルゴーニュの造り手ラファエル・ギュイヨの「レ・ザット」が強烈においしかった。
インポーター資料によれば、ラファエル・ギュイヨはミレニアル世代のフランスの女性。高校卒業後に様々なワイナリーで研鑽を積み、2016年にコート・ド ・ニュイのコンブランシアンにミクロネゴスを設立して買いブドウでワイン造りをスタートしたという小規模生産者。
レ・ザットはピノ・ノワール100%の全房を使って野生酵母で発酵。添加物なし、無清澄、SO2はボトリング時にトータル13mg/lっていう自然派な造りなんだけどこれはもう口の中がお花畑状態で大変においしかった。自然派かどうかは置いといて、ただのめちゃくちゃおいしいピノ・ノワール。この人の造るほかのワインも素晴らしかった。
ワインの格付けはヴァン・ド・ペイ・ド ・ヨンヌで、ヨンヌは彼女の生まれ故郷なのだとか。応援したいしおいしいし、「マウント・ミドリヤマ トータル・ヴィクトリー」とならんで購入候補の最前線に躍り出たのだった。ブルゴーニュの若き女性醸造家と「マウント・ミドリヤマ トータル・ヴィクトリー」のギャップがすごい。世界にはいろんな人が略。
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素晴らしいガメイ。ドメーヌ・ド・グロット「バルべロッソ」
残すとところはあと2インポーター。ラス前は「ぶどうモンスター」という凄まじい名前のインポーターの2本。
そのうちの1本、フランスはボジョレーのドメーヌ・デ・グロットの「バルべロッソ」が印象に残っている。ガメイ100%で果実味がめちゃくちゃピュア。ちなみに造り手はタイでヨガや瞑想に耽り、中国で武術を学んだというスピリチュアルな感じの人物。私はスピリチュアルにはほぼ一切興味がないがこのワインは最高。バラの香り。これも購入候補になってしまった……!
ワインキュレーター・ZULUの「ハドウケン」とは一体なんだ!?
そしてこの日の試飲会の最後は兵庫は芦屋のインポーター、ラ ・グリューの取り扱うワイン4種で、生産者は同じフランスの「ZULU」。生産者、というかZULUはワインのキュレーションを行う人々のようで、ルーションやラングドックの生産者とコラボし、さまざまなスタイルのワインを世に送り出しているようだ。
このなかでなんといっても気に入ったのがその名も「ハドウケン」。「スト2」ですね。↓↘︎→Pです。ラングドック地方リムー近郊の生産者とのコラボだというこのキュヴェは、リムーではスパークリングワインに主に使われるというモーザックを使った白ワイン。これがまあいきいき溌剌としたキレイすぎる栄養ドリンク、みたいな味わいで非常に良かった。
しかし、このハドウケンにしてもその前のバルべロッソにしても、自然派ワインってラベルが変ですよね(真顔)。しかしながらいずれも味はマトモ(失礼)。このハドウケンには「春の苦味のある野菜に合わせたらおいしそうですよね」とウィルトスの方。それはマジで最高だなー。フキノトウの天ぷらと合わせることを想像するだけでヤバい。ワインの苦味とフキノトウの苦味が重なり合って、油を酸味が洗い流して……うーん、たまらん。
いずれ劣らぬおいしいワインの数々……1本選んだのはこれ!
ともかくこれで17種のワインの試飲をすべて終えた。いよいよ1本に絞るタイムである。ハドウケンを次点に、候補は「マウント・ミドリヤマ トータル・ヴィクトリー」「レ・ザット」「バルべロッソ」の3つ。
このうちレ・ザットはピノ・ノワール、バルべロッソはガメイで味の方向性が近い。どちらも非常においしかったのだが、未来に羽ばたく若き女性醸造家を応援したいという気持ちが勝ち、「レ・ザット」をチョイス。「マウント・ミドリヤマ トータル・ヴィクトリー」とのまさしく最終決戦である。ちなみに価格はレ・ザットが4000円、マウント・ミドリヤマが3060円(いずれも税別)と、ミドリヤマのほうが財布にはやさしい。
外飲みの機会も増えそうだし、ロゼ泡で花見にもいいし、なにしろネタになるしミドリヤマか……と思いかけたがしかし、「花見に良さそう」と同じウィルトスの試飲会で以前買ったヤウマのロゼ泡がそういえばある、家に! という事実を思い出し、「レ・ザット」に決めた。第一印象から決めてました!
というわけで今回のウィルトスでの「新規インポーターワイン試飲会」、魅力的なワイン、生産者、インポーターを知ることができて大満足の会だったのだった。「レ・ザット」いつ飲もうかなー!
ハドウケン売ってたー!
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