ワインピクニックに行ってきた
早いものでもう2週間以上前のことだが、ワインショップ・プルール代表のゆかりさんにお誘いいただき、横浜までワインピクニックに出かけた。
詳しいことは同席いただいた安ワイン道場師範の稽古日誌を参照いただくとして、私も備忘録として記事を残しておきたい。というわけで今回のブログはただの日記です。
ワインピクニックと私
ワインピクニックの会場は横浜・みなとみらい駅から歩いて15分くらいの場所にある臨港パークという目の前に海が広がる公園。5月の終わりの晴天の日で、気温は30度に近かったかわずかに超えたくらいだっただろうか、日陰を選んで安ワイン道場師範持参の巨大レジャーシートを敷いて飲んだのだが、これが実にいい具合だった。3月末の花見は寒すぎるし8月のバーベキューは暑すぎるが5月末の日陰飲みは最高だ。
気心の知れたメンバーということもあり、持ち寄りの縛りは一切なし。価格もいくらでもいいし、産地もどこでもいい。なんならワインじゃなくても大丈夫だったと思うたぶん。安いワインでも誰も文句は言わないし、高いワインでも誰も遠慮はしない。
ナバロ・コレアス「ブリュット マルベック ロゼNV」
さて、1時間ほど遅れて参加してみると、みなさんすでにいい感じにエンジンがかった飲み会プレニチュード1状態。遅れてすみませんと腰を下ろすと、どなたかが私の(ゆかりさんが用意してくれた)グラスにワインを注いでくれる。
ゆかりさんが持ってきてくれたワイン、ナバロ・コレアスの「ブリュット マルベック ロゼNV」はマルベックのロゼ泡なのだそうだ。なにそれ珍しい。
ゆかりさんはエンパナーダなる肉詰め巨大餃子パイ的なアルゼンチンの家庭料理を作ってきてくださったのだが、それに合わせてのチョイス。マルベックのロゼスパークリングはもちろん初めてだ。
色合いに昨今流行りのニュー居酒屋的ネオン感があって味わいはさくらんぼソーダみたいなわかりやすいおいしさ。コロナ禍が猖獗を極めた2020-2021とかのタイミングでワイン業界も売上を落とすなか、唯一売上を伸ばしたのがロゼだみたいな話を聞いたことがあるが、映えドリンクとしてのロゼの機能を体現するようなワインだった。
A・ベルジェール「オリジーヌ ブリュット」
さて、続いてはMOMOさんが持ってきてくれたA・ベルジェールのオリジーヌ ブリュット。野外で贅沢にもシャンパーニュだ。
シャンパーニュのすごいところはお店で飲んでも自宅で飲んでもこうして野外で飲んでもつねにシャンパーニュの味がするところ。豊かな果実とたっぷりの酸、酵母が織りなす複雑さ、みたいなシャンパーニュにおける攻走守がしっかり揃ったおいしいワインだった。
私にとってのMOMOさんは酒名言メーカーであり、この日も会の終盤に「今日はゆっくり飲んでいたから、飲みながら冷めてきちゃっていま酔ってないと思う」(ワイン6本が空になってる)というお言葉を採取できた。私の知る限りもっとも気持ち良く飲む人類、それがMOMOさんだ。
アウレウム「グラン・レセルバ 2016」
まだまだ泡が続き、続いては安ワイン道場師範が持ち込まれたアウレウム グラン・レセルバ 2016という高級カバ。価格は3658円だそうで、高級カバだすげえ。
私はこのワインがとても気に入って、この日飲んだうちのベストまであると感じた。カバは安いのばっかり飲んでいるのだが、高級カバはちょっとやっぱりすごい。
シャンパーニュともフランチャコルタとも違うけれども両者と共通する鋭い酸があり、同時にスペイン的な明るいわかりやすさもあるという二律背反的良さ。師範が用意してくれたスーパー・OKストアで買ったサバ寿司と合う・オブ・ザ・合うである。OKのサバ寿司うまいなしかし。
と、こんな感じでスパークリングワインを飲みつつみんなで持ち寄ったつまみなど食べていると正しく時が溶けていく感覚がある。なんかこう、すごいラクだなあ、全体的に。
空気と光と
そして友だちの愛
これだけ残っていたら、
弱りきってしまうな。
といったのはゲーテだが、空気と光とスパークリングワインが残っていたら弱りきってしまうのが私だ。あ、あとサバ寿司もお願いします(友だちの愛もだった)。
レ・ヴァン・ヴィヴァン「巨峰2022」
続いて飲んだのはゆかりさんの夫君である裏プルールさんが持ち込まれたレ・ヴァン・ヴィヴァンの巨峰2022。
これがラブルスカ感がありつつもドライでおいしいワインで、自然派感も前に出過ぎず良いバランスのワインだったのだった。
後日公開された安ワイン道場師範の稽古日誌でこの日もっとも低得点だったのだがこのワイン(76点)だったのだが、師範がもっとも手酌でおかわりされていたのがこのワインだったことも付記しておきたい。ツンデレかな?
ちなみにこの記事を書くまで私は巨峰をラブルスカ(アメリカブドウ)だと思っていたのだが、調べたところヴィニフェラ(ヨーロッパブドウ)が3/4、ラブルスカ1/4のクォーターなのだそうだ。むしろヨーロッパ品種に近いんだそうで、ちょっと意外だった。ワインについては知らないことばっかりだ。
さて、このあたりからちょうど折よくドイツから帰国していた醸造家・Nagiさんも加わって、私が持ち込んだワインの出番となった。
元気ワイン「ピノ・ブラン2021」
私が持ってきたのは、フランスでワイン造りを学ばれているゲンキさんが造った「元気ワイン」のピノ・ブラン、そして正体を隠してブラインドでみんなに飲んでもらおうと持ち込んだ赤ワインの計2本。
まず元気ワインのピノ・ブランだが、この日もっとも自然派感のあるワインという印象だった。ややクセのある香りがグラスからは漂い、オレンジワインっぽいねとか、辛口のジンジャーエールみたい、といった声が挙がっていた。
溌剌とした液体はレストランに鎮座させるというよりも、この日のように野外でワイワイ飲むのに適した印象で、いいチョイスができた。ゲンキさんはこの先フランスで学業を修めた後、帰国されて日本でワインを造る予定のはず。数年後に飲めるそのワインが今から楽しみになったのだった。
シャトー・カンボン「ボジョレー・ヌーヴォー2017」
続いてはブラインドだ。正解を先に書くと、これはフランス自然派ワインの重鎮、故マルセル・ラピエールの妻がやっているシャトー・カンボンのボジョレー・ヌーヴォー2017。
以前、ある方にボジョレー・ヌーヴォーは数年寝かせると面白いと言う話を聞き、ためしにAmazonでバックヴィンテージを買ってみたという1本。
「このワインがヌーヴォーだったころ」を知らないのでなんとも言えないが、ボジョレー・ヌーヴォーと聞いて想像するあの香り・あの味から6年の時を経てどう変化しているのか。そしてみなさんはどう回答するかが楽しみで、アルミホイルでぐるぐる巻きにして持ち込んだ次第。
以下、みなさんの予想を記しておきたい。
師範「北海道余市町のピノ・ノワール。涼しい土地のワインだね。ヴィンテージは2021、アルコール度数は12.5度。ツヴァイゲルトかもしれないけど、ガメイではないね」
ゆかり「ピノかガメイか…キレイな造りのベーリーAかも。カリフォルニアのピノ? イタリアのピノ・ネロ?」
MOMO「キレイな薄い膜に包まれているような香りがする。ガメイ? ピノ・ノワールかなぁ…?」
裏プル「ピノ・ノワールだと思います。産地は……長野かな」
Nagi「品種はともかく、少なくともSO2は添加していないでしょうね。あとノンフィルターです。樽は新樽ではありません。少し醸造設備が古いかもしれませんね」
というわけで一人シャーロック・ホームズみたいな人物が紛れ込んでいるが基本的にはピノ・ノワールと答える人が多かった。そんななか、ゆかりさんとMOMOさんはガメイと言及されていたからすごい。
このワイン、開けたてはまだ少し閉じている感じがあったのだがボトルに1/5くらい残ったのを持ち帰って翌日に飲んだらどジューシーでもっとおいしくなっていた。ボジョレー・ヌーヴォーのバックヴィンテージ、また買ってみたい。
これとか良さそう
ローガン・ワインズ「ウィーマラ ピノ・ノワール2021」
最後に飲んだのはNagiさんが持ってきてくれたワインで、ローガン・ワインズのウィーマラ ピノ・ノワール。
ローガン・ワインズはオーストラリアの冷涼な産地の生産者。いただいてみるとなるほど涼しい土地らしい酸がありながらもオーストラリア感のある親しみやすさもあって非常にバランス良くおいしい1本だった。
そういえばNagiさんが選んだNagiさんが造ったワイン以外のワインを飲むのは初めて。「当日に飲むので、振動に強そうなワインを選んだ」という理由がNagiさんらしすぎる。みんな、ローガン・ワインズのウィーマラ ピノ・ノワール2021は振動に強いぞっ…!
こうして何時間くらいいたんだろう。私は3時間くらいの滞在だっただろうか。ワインピクニックは体感時間45分くらいの速度で過ぎ去っていき、みなさんは二次会へと向かって行った(私は予定があって中抜けさせていただいた)。
いやー楽しかった。みなさん、またやりましょう。
最近の推しセット。シャブリ一級畑4本全部おいしかった↓