ブラインドテイスティングWEEK20に臨んで
今週のワインマーケット・パーティのブラインドテイスティングに挑戦してきた。
ここ最近の結果を振り返ると、先々週は6問正解と自己ベストタイ。かと思ったら先週は1問正解で自己ワーストを更新と成績が乱高下しており、個人的には絶不調期に突入している。正直今はなにを飲んでもそれがなんの品種だかさっぱりわからない。
ただ、45年の馬齢を重ねてきた身として、私は知っている。これは「趣味あるある」だ。
映画『ミステリと言う勿れ』のなかで、主人公である久能整(くのう・ととのう)は、自分が絵を描くのが下手であることを認識したことから美術を諦めたという登場人物に対してこう言う。
「下手に見えたということは、それだけ目が肥えたということです。下手に見えるときが伸びしろです」
つまり私は今伸びているのだ。それだけ舌が肥えたのだ。わからないと思う今が伸びしろなのだとうんうんそうだそうだと思っていたら、ワインマーケット・パーティ沼田店長は言った。
「だいたいヒマさんはさ、いかに品種を当てるかじゃなくていかに面白いことを言うかしか考えてないでしょ? 余計なことばっかり考えてないで、ちゃんと目の前のグラスに向き合わないと」
なんですかこの耳が痛いっていうか耳に五寸釘をマグナムボトルの底で打ち込むみたいな意見は。
ともあれこういう苦言を(ニヤニヤしながら)呈してくれる友人がいるのは幸せなことだ。伸びしろしかない男・ヒマワイン、今週も白2、赤1のラインナップに挑んでいきたい。
ブラインドテイスティングWEEK20/グラス1
さてまずは1番のグラス。
色は薄め。香りはハーブ系だ。思い浮かぶ選択肢は甲州かソーヴィニヨン・ブランか。いや、先週も同じような感じでアルバリーニョに足元をすくわれたから予断は禁物だ。
飲むとレモンかグレープフルーツかでいえばレモン。酸味がしっかりとあり、後味に少しの苦味もある。
そこに和柑橘っぽさがあれば甲州を予想するが、どちらかというとオレンジ色の感じはなく、黄色と緑の色彩が想起される。となればピノ・ブランとかも一瞬思わないでもないけどソーヴィニヨン・ブランでいくしかないでしょうこれは。
続いては産地だ。ソーヴィニヨン・ブランといえばニュージーランド。ロワール。カリフォルニアのソーヴィニヨン・ブランも最近飲んでおいしかったなぁ。ただ、色が非常に薄いのが特徴的なので、ここはニュージーランドで勝負してみよう。
NZ(マールボロ)/ソーヴィニヨン・ブラン/2021/12.5%
と予想した。
ブラインドテイスティングWEEK20/グラス2
続いて2番のグラスにいってみよう。香りは草やレモンを思わせるさわやかな香り。蜜蜜しさは感じられず、ちょっとハーブ感もある気がする。あれ、ちょっとソーヴィニヨン・ブランっぽくない?
ここで唐突だが謎かけだ。ブラインドテイスティングで2杯続けてソーヴィニヨン・ブランに感じられたときの私の気持ちとかけてリトルマーメイドの主人公と夜道で出くわしたときの私の気持ちととく。そのココロはどちらも「ありえる?」である。いや、ありえないでしょ。
飲んでみると高いアルコール感を感じる。色も1杯目に比べると濃く、メロンのような青さ、パイナップルみたいなトロピカル感もあり、それでいて酸もある。
非常に多彩な印象がある。この多面体感はシャルドネかなあ、やっぱり。シュナン・ブランな気もするんだよな。産地はオーストラリアか、カリフォルニアか、フランスか。なんかちょっと若干マコンみがあるような。
でもやっぱりアルコール度数の高さは感じる。なので、アメリカ(カリフォルニア)/シャルドネ/2020/14% と予想した。
ブラインドテイスティングWEEK20/グラス3
さて最後は3杯目の赤のグラス。
香りは赤から黒のベリー系、ケモノっぽさはなくて、オーソドックスな造りのように思える。煙や土、金持ちの家の書斎みたいな落ち着いた雰囲気はあるけど、それが前面には出てきていない感じ。
おいしいワインだ。果実がしっかりとあって、タンニンもしっかり。酸はほどほど。後味にしっかりとスパイシーさがある。
この日の3杯のワインのなかでは、私はこのワインが一番好き。第一候補はシラーズあるいはシラーだ。
貴族の書斎は自分のなかでは北ローヌ要素。ただ、豊かな果実味とタンニン、控えめな酸、たっぷりしたスパイシーさからはなんともいえないバロッサ感がある。
つまり候補はオーストラリア、そうでなければ南アフリカのステレンボッシュの暖かいエリアとかか。
日本の可能性もゼロではないと思うけど、果実とタンニンの強さ、色の濃さから除外しちゃっていいと思う。
ただ、いまさらだけどほんのわずかに緑っぽさもあるように思えるので、カベルネ・ソーヴィニヨンの可能性もないことない気がしなくもない。
でもシラーズでいこう。今回のテーマはシンプルだ。余計なことばっかり考えてないで、ちゃんと目の前のグラスに向き合わないと向き合わないと向き合わないと……(リフレイン)
というわけで、オーストラリア/シラーズ/2020/14.5%
と予想した。
前回1問しか正解できなかったので、今週は3問くらいは当てて体勢を立て直したいところだが、さてどうか。24日火曜日夜に結果が発表されたら、またご報告します。
追記
今週多忙でずいぶん時間が経ってしまったが、正解を振り返っていくことにしよう。明日からまたブラインドはじまっちゃいますからね…!
ブラインドテイスティングWEEK20 / 正解発表:1杯目
予想:NZ(マールボロ)/ソーヴィニヨン・ブラン/2021/12.5%
正解:チリ(アコンカグア)/ソーヴィニヨン・ブラン/2022/13.5%
ソーヴィニヨン・ブランだけはわかる男として知られる私、ソーヴィニヨン・ブランは正解だったが、産地はNZではなくチリ、それに伴ってヴィンテージもアルコール度数も外してしまった。
ブラインドテイスティングWEEK20 / 正解発表:2杯目
予想:アメリカ(カリフォルニア)/シャルドネ/2020/14%
正解:オーストラリア(南オーストラリア)/リースリング/2021/12.5%
かろうじて「白ワイン品種」という点だけが正解という大外れ。オーストラリアのリースリングか! 今回、1杯目のソーヴィニヨン・ブランもそうだが、品種と典型的な産地がズレていることで難易度が高い印象だ。うーん、難しい。
ブラインドテイスティングWEEK20 / 正解発表:3杯目
予想:オーストラリア(バロッサ)/シラーズ/2020/14.5%
正解:フランス(コート・デュ・ローヌ)/グルナッシュ/2021/14%
オーストラリアではなくフランス、シラーズではなくグルナッシュという、ガンダムじゃなくてコレジャナイロボ的不正解となった。
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ローヌは一瞬脳裏をよぎったが、「グルナッシュ単体(あるいは主体)」という発想が出てこなかった。ヴィンテージが2021と若く果実たっぷりなスタイルであることから、フランスと予想できなかったなあ、無念。でもこれは本当においしいワインだった。
さて、すでにお気づきあるいはご存じの方も多いかと思うが、今回のブラインドテイスティングは、「ワインエキスパートの二次試験にでた3品種トレース」というギミックが施された回だったのだった。まさかのコンテクストテイスティング(ワインの味ではなく出題者側の意図を読む回答法)が正解かよ!
私の正解は1問。ワインに関するなんの資格も持たない私が言うのもおこがましいが、私がもしもワインエキスパート試験に臨んでいたとしたならば、箸にも棒にもかからない堂々の不合格だったのは間違いがない、という結果となった。今年合格された方々は本当にすごい。自信を持ってください!(惨敗した立場から)
というわけで今週も12問中1問正解、100点満点で8.3点という驚異的ロースコアとなった。しかも2週連続だ。まっ、そういうこともあるっしょ(前向き)! 来週も元気に挑んでいきたいと思う次第だ。来週はやりますよぼくは!
モンテス買ってチリワインの勉強するしかないかな↓
カルディでおいしいワインは数あれど、なんだかんだで最強筆頭候補は「モンテス アルファ」なんだよな。普段は2000円以上するけど今ならセール中かつ2本で10%引きになるのでおすすめ。週末のプチ贅沢としてゆっくり楽しみたいハーゲンダッツ的存在のワインです。 pic.twitter.com/d5qUUnPxic
— ヒマワイン|ワインブロガー (@hima_wine) 2023年10月27日