関東生まれの私が大学に入学して驚いたのは関西人って本当にノリツッコミとかするんだ、ということと、すべての関西人がノリツッコミとかするわけじゃないんだ、ということであった。日本人のすべてがニンジャでないように、すべての関西人が西川のりおみたいな感じなわけではない。晩ご飯にたこ焼きが出る家庭もあれば、出ない家庭もあるのだ。
色鉛筆の「はだいろ」は、今は「うすだいだい」または「ペールオレンジ」というそうだ。すべての人の「はだいろ」がペールオレンジではないからだ。先入観や決めつけはときに多様性への理解を阻害する。イタリアにはイタリア人と聞いてイメージするような強化郷ひろみみたいな感じの人もいれば、物静かな人も多くいる。パリピがいて、隠キャがいて、あなたがいて僕がいる。地球の上で、生きている。宇宙人から見たらイタリア人も日本人もみんなまとめて地球人であるワインの話だった。
昨夜飲んだのはCA’RUGATE(カ・ルガーテ)の「サン・ミケーレ ソアーヴェ クラッシコ」。カ・ルガーテはイタリアがブーツだとした場合のブーツからはみ出した太ももの裏側部分、ヴェネツィアがあるのでおなじみの州、ヴェネト州の生産者で、小規模ながら質の高いワインを造ることで知られるのだとか。
ソアーヴェは州西部のヴェローナ周辺で造られる辛口白ワイン。DOCソアーヴェ・クラッシコは最大収量1ヘクタールあたり14トン、最低アルコール度数11度、3カ月以上の熟成が求められ、使っていいブドウはガルガーネガ、トレッビアーノ、シャルドネ。70%以上がるガーネがでなくてはならないそうです。以上wikiより。
「サン・ミケーレ」はガルガーネガ100%。公式サイトによれば醸造はステンレスタンクで16〜18度で8〜12日とのこと。ガルガーネガの特徴を調べると「酸が強い」って書いてありました。
いざ飲んでみるとこれがもう超ウルトラすっきり。飲む高原の風。「どんな味がしますか?」 と仮に問われたとしたらニヤリと笑って「高原の風の味……かな?」とか答えてうわやだキッモみたいに思われたって構わない、むしろ本望だよ! っていう覚悟が決まるほどのさわやかさ。
ここのところカリフォルニアの樽の効いたシャルドネばかりを飲んでいたこともあり、なんでしょうか、同じ白ワインでもカルビに対するロース、いや違うな、これもうサラダまであるな。カルビに対するサラダくらいの印象の違いがある。ごま油とレモンのドレッシングのやつ。サン・ミケーレにごま油要素がないのがたとえとしては残念だけど、レモン感とレタス感はある。ゴマ感も強いていえばある。ネギ感も……なきにしもあらず。サラダでお願いします。焼肉屋の。
イタリア人がみんな情熱的で享楽的でないように、ガルガーネガは手がドリルになってるロボみたいな名前なのにさわやか。イタリアの赤ワインに対して私は果実味! 濃い! 肉っ! みたいな印象を抱いていたが、その印象と(そもそも赤と白の根本的違いがあるので当然なのだが)サン・ミケーレの味の印象は大きく異なるものだった。購入価格は1518円。値段に対して超うまいとは言わないけど、値段相応にしっかりおいしい。
購入した葡萄畑ココスの商品ページのソムリエコメントには、こんなことが書かれている。「もしあなたが、イタリアワインとして有名な『ソアーヴェ』を飲んでみたくてこのワインを選ばれるなら、おすすめしません。全くをもって型破り、全然違う味わいだからです。」ならばほかのソアーヴェも飲んでみねばならぬ。
イタリアのワインは品種がなんかいろいろあってよくわかんね、みたいな先入観を私は抱いていた。しかし、品種がいろいろあるということはワインにそれだけの多様性があり、違う味わいを楽しめるということ。みんな違って、みんないい……かどうかは飲んでみるまでわからない。
ワインの魅力はそんなところにもある。ような気がするんですがどうでしょうか。