ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

3000円以下のベストバリューNO.1の実力は? コレッツィオーネチンクアンタ+3を飲んで味と価格と感想をまとめてみる。【COLLEZIONE CINQUANTA】

今こそ飲むぞ、イタリアワイン「コレッツィオーネチンクアンタ+3」

イタリア人の友人がいる。仲間とシェアハウスで暮らしていた頃、友人の友人が連れてきてからかれこれ10数年。今も秋になるとカップルで来日し、我が家に数カ月滞在し、その間はともに食いかつ飲むのが習慣となっている。私が子どもの頃、街で外国人を見ると帰宅後祖母に「おばあちゃん、今日外人さん見たよ!」と報告したものである。天国のおばあちゃん、我が家には毎年イタリア人が遊びに来ます。

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コレッツィオーネ チンクアンタ+3を飲みました

さて先日、自宅でワインを飲んでいた際にふと元気かなと気になって彼らに電話してみた。時差が8時間あるイタリアはランチどき。彼らはクレープを焼いていた。傍らには大量のメランザーネ(ナス)のオイル焼き。大量のトマト。チーズにハムやらサラミやら。4月だというのに暖炉には火が入れられ、寒いのかと聞くと、あとでバーベキューをするからその準備だという。うーん、超元気。

新型コロナウイルスが猖獗を極め、イタリアは大変なことになっている。ロックアウトが続き、疲労も不安も苛立ちもあるなかでの一食に対するこの気合い。足を怪我してかつてのようにスタメンでは試合に出られないけれども代打として一振りにマックスの集中力で臨む往年のスラッガー、みたいな集中力で、イタリア人は食事に臨んでいる。

というわけで今夜はイタリアの友人たちに思いを馳せながらイタリアのワインを飲む。人生を楽しむためには食事を楽しむ必要があり、食事を楽しむための最良のガジェットがワインだ。なので今夜もワインを飲まねばならぬ。人生を豊かにするために。

コレッツィオーネチンクアンタ+3はどんなワインか?

選んだのはイタリア南部プーリア州はイタリアのかかと・サレント半島からやってきた「コレッツィオーネチンクアンタ+3」。おいしいというお噂はかねがね聞いていたけれども2020年4月場所の今日が初顔合わせである。チンクアンタは「50」の意。生産者の創業年の1962年からの50年を記念して2012年にリリースされたワイン。「+3」、なので2015年ヴィンテージとかそういうことなんすかね。

さて、生産者、サン・マルツァーノの公式サイトはなんと日本語対応していて、それによると使われているのは「ブドウ品種(複数): サレントの典型的な赤い果実。」とのこと。なるほどね。「サレントの典型的な赤い果実」ってなんだよ。私のワイン知識に「サレントの典型的な赤い果実」の項目は存在しないので輸入元のモトックスのサイトを見ると、プリミティーヴォとネグロアマーロがそれぞれ50%ずつ使われているとのこと。サレントの典型的な赤い果実、それはプリミティーヴォ。そしてネグロアマーロ。ネグロアマーロはネグロ(黒い)アマーロ(苦い)だそうだけど、それでも赤い果実。赤い彗星みたいな異名的ななにかなのか。

さて、そんな赤い果実は発酵後オーク樽で12カ月、ステンレスタンクで12カ月、そのあと瓶で6カ月熟成される。地元の野球部でエースだった少年が地元の強豪校に進学し、高校野球のレベルの高さに戸惑い、落ち込み、しかし立ち直り、恋をして失恋し、3年夏の県大会に臨むも3回戦で敗北して涙し、しかし気持ちを切り替えて苦学の果てに大学受験に合格、今年から上京して一人暮らしスタートみたいな時間をすべて熟成期間として過ごしたんだからアンタ、おいしくならないはずがない。桃だろうが栗だろうが赤ワインだろうが3年経てば食べごろそして飲みごろである。

コレッツィオーネチンクアンタ+3の味わいは「果実味」ってレベルを超えてるぞ

17度くらいがおいしいとあるので、最高気温18度の今日、室内に放置して日没とともに抜栓。ここ最近、牛丼に対する紅生姜的役割を私に与えられているレバーパテ&全粒粉クラッカーのコンビを食卓に召喚して、いざ飲んだ。うまい。なんだこりゃ、超うまい。口の中にあふれるのは果実味、なんだけど、この味わいを「果実味」の一言で片付けるのはあまりにも雑。秋の果実の滋味深さとも、春の果実のフレッシュさとも違う、夏の、否、真夏の果実味。マイナス100度の太陽みたいに体を湿らす味である。

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vivinoの点数は4.3点と超高い。今現在の3000円以下のベストバリューNO.1だそうです。

いやあ、うまい。同じ「果実味」でも、カリフォルニアのワインの果実味とはまた違う。みんな違って、みんな酒。それがワインなんですなぁ。もちろんフルーツの味だけでなく、苦み、渋み、酸味、すべてがバランス良くある。苦味、渋み、酸味の三者が果実味っていう神輿を担いでいる的状況。

コレッツィオーネチンクアンタ+3は「3000円以下ベストバリュー」

この味わいならば2000円代中盤の価格はむしろ安い(自分に言い聞かせるように)。ワインアプリのvivinoの点数は5点満点で4.3点と高く、記事執筆時点で「3000円以下のベストバリュー」でNO.1に選ばれていた。さもありなん。

秋になったらまた買ってイタリアの友人たちとともに飲む。祈りとともに飲んでも、ワインはうまい。