アマゾンワインの実力は?
Amazon.co.jpを運営するアマゾンジャパン合同会社が自社輸入する“Amazon限定”ワインが以前から気になっていた。Amazonのネットワークおよび流通網はそりゃまあ世界最強レベル。その規模と調達力を活かしたワイン(以下、アマゾンワイン)の中に、もしかしたら知られざる安うまワインが眠っているのでは……? と思ったのがその理由。
折よくAmazonでブラックフライデーセールが開催中だったので、安くなっていたワインを4本ほど買ってみた。
購入したのは、
ファンティネル ボルゴ テシス"カベルネ・フラン" 675円
パレダ 715円
カルサーダ クイネア クリアンサ 634円
フィオーレ バルベーラ・ダルバ 795円
の4本。
すべて赤ワインで、イタリア3本、スペイン1本という構成。どれも元値は1000円台だが、セールで1000円を切る価格となっており、4本の合計金額が2819円。お財布にやさしいぜアマゾンジャパン合同会社。
アマゾンワイン、4本合計50ユーロのワインが2819円!?
飲む前にまずはお得度をチェックしていきたい。ワインサーチャーにワイン名を入力し、ユーロでの販売価格を調べてみた。以下だ。
ファンティネル ボルゴ テシス"カベルネ・フラン" (€11.64)
パレダ (€12)
カルサーダ クイネア クリアンサ(€10.45)
フィオーレ バルベーラ ダルバ(€16)
まさかの合計50.09ユーロ。日本円でざっくり6500円くらいだ。購入価格は2819円なので、ヨーロッパでの販売価格から57%オフとかいうわけのわからないことになっている。
とはいえ、お得ならいいってもんではなくてワインは飲み物。本当においしいのか、実際に飲んでたしかめてみた。
アマゾンワイン1本目ファンティネル「ボルゴ テシス カベルネ・フラン」
まず最初に飲んだのはファンティネルの「ボルゴ テシス カベルネ・フラン」。産地はイタリアはフリウリ・ヴェネツィア ジュリア。購入価格は675円なのだがこれはちょっと私には難しいワインだった。
カベルネ・フラン単一のワインを飲んだことがなかったので、よく言われるピーマン香とやらを嗅いでみようじゃないか、ひとつ、と選んだのだが「バスクリンの香り」だと私は感じたピーマンどこいった。バスクリンの名誉のために言いたいが、バスクリンはいい香りだ。しかし、それはあくまで「風呂として」であって、ワイングラスから漂ってきてほしくはない。
というわけでこれは大概のワインをうまいうまいと飲む私としては珍しく「なんとか頑張って飲み切った」というワインとなった。すべてのワインを私はリスペクトするが好みの合わないものもありますよそりゃあ。
Vivinoの評価は3.2と低めながらAmazonのレビューは賛否両論。もしかしたらこのような香りが大好物、という方もおられるのかもしれない。どなたかチャレンジしてください。
アマゾンワイン2本目フィンカ・ラ・エスタカーダ「カルサーダ クイネア クリアンサ」
次に飲んだのが、スペイン中央部に278ヘクタールもの畑を所有するというスペインの生産者フィンカ・ラ・エスタカーダのカルサーダ クイネア クリアンサ。品種はテンプラニーリョだ。
テンプラニーリョって甘酸っぱい系の軽いものもあれば、ボルドーブレンドっぽい重厚なのもあるじゃないスか。これはその中間という印象だ。しすてヴィンテージは2017ながらなんだかちょっと熟成感があり、なんなら今がピークなんじゃないのこれ、という印象を受ける。
ベリー系の果実の香り、濃く淹れたコーヒーのような渋みに少しこなれた感じも加わって、お肉に合わせてソツなく旨い。1000円を切る価格で買えたらラッキー! という味わいだ。
おいしいワインなのだが、1本目のハズレ感がなかなかのものだったため、気分的には2アウトランナー1塁みたいな気分。すわ、企画倒れか!? とも思われたがここからの2本が素晴らしかった。
アマゾンワイン3本目フィオーレ「バルベーラ・ダルバ」
次に飲んだフィオーレ バルベーラ・ダルバ、これが今回飲んだ中の白眉となった。北イタリア・ピエモンテの生産者がつくるこのワイン、購入価格は795円ながらワインサーチャー調べ価格は16€というだけに、ブドウの収穫はすべて手摘み、新樽のフレンチオーク樽で12カ月熟成という贅沢な造り。
味わいはもう795円は絶対になにかの間違いでしょうというクオリティ。ブラインドで飲んだら「メルロー単一」とたぶん答えるふっかふかの絨毯みたいな柔らかさ。時間が経つとあれ誰かカルピス入れました? みたいな乳酸菌感のある甘酸っぱさも加わって単体で飲んで良し料理と合わせて良しモードに突入していく。vivino評価は3.9と高いが、納得だ。
このワイン、残念ながら現在(2021年12月17日)品切れになっているようで購入できないのだが、在庫が復活したらすぐに買いたいワインとなった。フィオーレシリーズ、ほかのも買ってみよ。
アマゾンワイン4本目メアーナ「パレダ」
最後に飲んだのが「パレダ」というイタリアはサルディーニャ島のワイン。品種は「数タイプの土着品種」だそうで、手摘みしたブドウをステンレスタンクで発酵させ、4カ月の瓶熟成を経てリリースされるとある。これも大変おいしいワインで、715円という感じは(現地12ユーロなので)当然ながらまったくない。サルディーニャのワインを私は飲んだことがなかったが、なんかこうシチリアとかに通じるような果実味全開のアゲアゲな感じかといえばさにあらず。
調べると生産者が畑を所有するのは標高600〜700メートルのシスト土壌なんだそうで、日差しは強いが山風も吹くといった土地のよう。それもあってかキッチリ酸味もあって、たしかに標高の高さを感じるのだった完全に言われてみればだけど。
アマゾンワイン4本まとめ
というわけで4本を飲んだのだが、好きな順に並べるならば、
フィオーレ>>パレダ>クイネア クリアンサ>>>>>>>ボルゴ テシス カベフラ
ということになる。フィオーレ バルベーラ・ダルバがホントに良くて、パレダがそれに続き、クイネアも全然悪くなかった。ボルゴ テシス、キミはあとで職員室に来るように。
というわけでアマゾンワイン4本、好きなのもそうでないのもあったが、2819円という投資に対して非常に楽しめたのだった。密林の奥地に眠るお宝ワインを探るべく、今後も調査を継続していく所存だ。
【追記】大事なことを書き忘れていた。本記事で取り上げたアマゾンワインは、prime会員であればすべて1本から送料無料であっという間に届く。アマゾンすごい……(いまさら)!