ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ボジョレー・ヌーヴォー2021解禁! ワインショップ4軒をはしごしていろいろ飲んでみた【boujolay nouveau】

ボジョレー・ヌーヴォー2021を探して。

本日2021年11月18日はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だ。昨年同様、今年もボジョレー飲むべきが論争、ボジョレーをビギナーに勧めるべきか論争、ボジョレーそもそもうまいのか論争、ボジョレーって毎年今世紀最高の出来とか言ってますよね発言、等々がSNS上を賑わせている。

私の立場は「すべてのワインをリスペクト」、ブドウの糖分が発酵してアルコールに変わった醸造酒はそのすべてが尊いという立場なので、どの議論とも噛み合わない。ただ、初詣に初雪、初鰹と初物を尊び、新米、新蕎麦、新酒とその年の収穫を祝いつつ味わう文化がある我ら日本人にとって、ボジョレー・ヌーヴォーを初物・新物として喜んで受け入れるのは自然なことだと考えている。
ましてや私はパリピ属性。乗らんとてせむなり、このビッグウェーブをや、ということで解禁日の今日は午後はオフにして東京の街へと繰り出していった。

というわけでまず向かったのは江戸時代から続く酒屋・愛宕小西。去年も寄らせてもらったのだが2年連続2回目の訪問だ。

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愛宕小西ではボジョレー・ヌーヴォーがグラスでいろいろ飲めます。

 

こちらの創業は明治に入った頃。1641年に「小西」という酒屋が江戸にでき、そこが大繁盛したことで江戸中に小西という屋号が暖簾分けで増えていった、そのうちのひとつだったようだ。

そんな愛宕小西ではボジョレー・ヌーヴォーがグラスで飲める。選んだのは、ルロワのボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー1杯1000円。

濃いめの色にチェリーの香り、味はカシスみたいな感じの甘めの味でおいしい。

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とってもおいしい。

いいなあ、フランスでは霜の害が深刻だったようだが、そんな今年もブドウが実ってありがとう。それをワインにしてくれたことに感謝。ボジョレー・ヌーヴォーは飲む感謝。

 

ボジョレー・ヌーヴォー2021を求めてカーヴ・ド・リラックスへ

次にお邪魔したのがカーヴ・ド・リラックス虎ノ門本店。ここでの目的はボジョレー・ヌーヴォーの量り売りだ。

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名店、カーヴ・ド・リラックスでは量り売りを実施

ルー・デュモン ボジョレー・ヌーヴォー 2021 
ジョルジュ・デコンブ ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2021 
マルセル・ラピエール ボジョレー・ヌーヴォー  2021 
フィリップ・パカレ ボジョレー・ヴァン・ド・プリムール  2021 

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こんなワインが量り売りされてました

購入したのは以上の4種類各65ml。私にとってボジョレー・ヌーヴォーをボトルで2本、3本と買うのはややハードル高めなのだが、量り売りならいろいろ楽しめていい。今年の私・ヒマワインの戦略は「量り売り+角打ちでいろいろ飲もうよ、ボジョレー・ヌーヴォー!」である。

ちなみに愛宕小西からカーヴ・ド・リラックスまでは徒歩5分くらい。ここからさらに徒歩で銀座方面へとボジョレー・ヌーヴォーさんぽは続いていく。

 

ボジョレー・ヌーヴォー2021を探しに、IMADEYA GINZAへ

首都高速の土橋出口を(徒歩で)通過し、次に向かったのは銀座6丁目、GINZA SIX地下2階のIMADEYA GINZAだ。IMADEYA GINZAの角打ちは毎度ラインナップが良いのだが、今日はボジョレー・ヌーヴォーが飲めることを確認済みである。

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ボジョレー2種類、ラングドック2種類のヌーヴォーが飲めます

ここで飲んだのは、ドメーヌ・デュ・ペール・ギヨのボジョレー・ヌーヴォー。「最高樹齢100年以上の葡萄を持つモルゴンのトップ生産者」だとのことでこれが非常においしかった。色は濃いめで、香りは果実というよりも花の印象。それも小さな花ではなく大輪の花。秋に収穫され秋にボトリングされたお酒なのに、グラスのなかの印象は圧倒的に春の盛りだ。

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ドメーヌ・デュ・ペール・ギヨのボジョレー・ヌーヴォー。これおいしいぞ!

ルロワのボジョレー・ヴィラージュもとってもおしかったのだが、そちらはいかにも私がイメージするボジョレー・ヌーヴォー味だった。言語化するなら少しすっぱく、甘やかで、果実感があってキャンディみたいな香りがする感じ。

ギヨのほうはそのようなニュアンスがありながらパワフルで、複雑で、厚みのある味わいだったのだった。

IMADEYA GINZAではもう一種、“南仏ヌーヴォー”だというラングドックのドメーヌ・ラ・グラーヴのラングドック・ヌーヴォー・ルージュも飲んだ。

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こちらが“南仏ヌーヴォー”

メルローとシラーからつくるヌーヴォーだそうでへー珍しいなと飲んでみたところなんかこう、いわゆるひとつのヌーヴォー味、みたいな味がした。ボジョレー・ヌーヴォーはマセラシオン・カルボニック法で造るみたいな中途半端な知識が私にはあるが、その製法の特性は品種の個性より強く出るのかなあみたいなことをボンヤリ考えたりした。

 

ボジョレー・ヌーヴォー巡りのシメに、ヴィノスやまざき銀座店へ

続いて向かったのは解禁日の2021年11月18日の午前0時、まさにボジョレー・ヌーヴォー解禁の瞬間に合わせてオープンしたというヴィノスやまざき銀座店。

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さすがオープン初日。お花がいっぱい。

あとから聞いた話だが、ヴィノスやまざきボジョレー・ヌーヴォーに非常に力を入れているのだそうだ。

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ヌーヴォーがたくさん試飲できます。

ボジョレー・ヌーヴォー解禁日は、普段はビールを飲む人がワインを飲む絶好のチャンス。この機にワインに触れてもらうのは酒屋の使命であり、だからこそ薄くてすっぱいものではなく、ボジョレー・ヌーヴォーってこんなにおいしいんだ!」と思ってもらえるようなワインを現地に出向き、アッサンブラージュにまで関わってこだわり抜いて用意するのだそうだ。

開店日ということで現場に顔を出していたしかるべき立場の方にお話を伺う幸運に恵まれたのだが、ヌーヴォーにかける意気込みは消費者の想像を超えるものだったのだった。これは心して飲まねばならぬ。

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イチ押しワインを飲んでみた結果…!?

というわけでお店のイチ押しのものを飲んでみた。色は濃いめで香りは大輪の花系。飲んでみるとパワフルさのなかにエレガントさが……ってあれこの味なにかに似てるな。最近飲んだな。最近っていうかさっき飲んだなと思ってワインのラベルを調べると、生産者はドメーヌ・デュ・ペール・ギヨ! まさかのIMADEYAと同じ! 

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ギヨさんに関しては面白い話をいろいろうかがったので、飲んだとき話します!

なんでも同じ生産者の別キュヴェなんだそうで、ジェンダーフリーのご時世にアレだが、同じ親から生まれた姉(ヴィノスやまざきのキュヴェ)と弟(IMADEYAのキュヴェ)という印象がで図らずもすっごく興味深い飲み比べとなったのだった。

ギヨさんはものすごい職人気質の生産者なのだそうで、現地に行くとびっくりするほど収量を下げているのだそうだ。ボジョレー・ヌーヴォーには大体の“相場”があり、ギヨさんのワインも3000円前後とかそれくらいの値札がついている。収量を落とせば、普通に儲けが減るようなのだが、でもやるんだよの精神で、ギヨさんはそのような栽培をしている。

「世界で日本だけが騒いでる(空虚な)お祭り」みたいな文脈で語られることもあるボジョレー・ヌーヴォーだが、ドメーヌ・デュ・ペール・ギヨのヌーヴォーは、そういうの抜きにして覚えておきたい味のワインだなーと思った次第だ。過去にはいろいろあったのかもだけど、ガチで造ってる人もいるのだ。

最後に、これまたドメーヌ・デュ・ペール・ギヨの別キュヴェを樽に入れたという樽酒ならぬ樽ワイン的なものを飲んでこの日は仕上げ。様々なボジョレー・ヌーヴォーと出会い、思いがけない人との出会いもあった。

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これ楽しかった。

というわけで結論。ボジョレー・ヌーヴォー解禁日に港区から中央区に向けてさんぽするのが最高に楽しい。来年はどなたかご一緒しましょう!