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コノスル レゼルバ エスペシャルぜんぶ飲む! 【中編】カベルネ、メルロー、カルメネール編

コノスル レゼルバ エスペシャル ヴァレー コレクション赤品種を飲む

コノスル レゼルバ エスペシャル ヴァレー コレクション(以下、エスペシャル)をぜんぶ飲む企画、前回白3品種を飲んだので、今回は赤品種を飲んでいく。

前回はこちら↓

himawine.hatenablog.com

まずはどんな品種があるのかから確認してみよう。

カベルネ・ソーヴィニヨン

メルロー

カルメネール

シラー

ピノ・ノワール

以上5品種。人気の高い国際品種にチリを代表する品種であるカルメネールという並び。

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どういう順番で飲もうかなあと思ったのだが、今回は上に挙げた順、すなわち濃そうな順から飲んでいくことにしてみた。というわけでまずはカベルネ・ソーヴィニヨンから。早速いってみよう。

 

コノスル レゼルバ エスペシャル ヴァレー コレクション カベルネ・ソーヴィニヨンを飲んでみた

カベルネ・ソーヴィニヨンの産地はアコンカグアヴァレーというモンハンのキャラみたいな名前の谷アコンカグアアンデス山脈最高峰の6956メートルの山の名前だから登山が好きな人にはお馴染みの名前かもしれない。チリのプレミアムワインとして有名なエラスリスのセーニャもこの地から生まれるそうです。

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アコンカグアヴァレーはコノスルの所有する畑のなかでは最北端エリアに位置し、チリは南半球にあるので、つまり温暖な土地ということになる。コノスルの所有する畑でもっとも南はビオビオヴァレー。もっとも北はアコンカグアヴァレーだ。以上は試験に出るので覚えておこう(絶対に出ない)

本国サイトになぜかテックシートがないので日本の公式サイトで調べると、2018ヴィンテージはカべルネ・ソーヴィニヨン92 %、カルメネール4 %、マルベック3 %、シラー1 %をブレンド。11カ月の樽熟成を行うのだそうで、ビシクレタ同様カベルネ・ソーヴィニヨンは他の品種に比べて造りがリッチ。他の品種は半分ステンレスタンクで熟成だったりするんです。

飲んでみてもリッチな印象はそのままで、えっ、こんなにおいしいんスかみたいな驚きがある。上品な革製品的香りというか、野球部的にはよく磨き込まれた高品質なキャッチャーミット、みたいな香り。そして飲むと果実味がドッカンとくる。渋みしっかり、酸味もあって味わいのバランスも良い。うーん、すごいなこれ1000円ちょいですよね……?

 

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vivinoの評価は3.5。もっと高くてもいい気がするけどなー

他品種を並行して飲んでいるので3日くらいかけて飲んだのだが3日目には少し味わいに熟成感めいたものまで出てきた。カベルネ・ソーヴィニヨンピノ・ノワールに隠れたコノスルのもうひとつのフラグシップである、そう思わされる味わいだ。うまい。

 

コノスル レゼルバ エスペシャル ヴァレー コレクション メルローを飲んでみた

続いてはメルローメルローが栽培されているのはコルチャグアヴァレーで、地図で見るとコノスルの畑のなかでは北寄り。気候は年間を通じて温暖なようで、「メルローヴィオニエの天国」なのだそうだ。

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wikiによるとコルチャグア県は南緯34度41分に位置するのだそうで、「南緯34度 ワイン」で検索してみたところ、どうやら南アフリカとか南オーストラリアとかと同緯度みたい。ワインの産地はやっぱり一定の帯のなかに存在するんだなあ。

 飲んだのは2019ヴィンテージで、その年のデータシートは本国サイトにも日本サイトにもないのだが、メルローは2013年以降メルロー85%、その他15%の割合で造られている。で、面白いのは2018年で、メルロー85%、アスピラン・ブーシェ15%という比率。え、みなさん知ってましたアスピラン・ブーシェ恥ずかしながらガチの初耳だ。

wikiで調べるとフランスでの栽培面積は3ヘクタールだそうですよ少なっ。で、主に着色用に使われるブドウだとある。エスペシャルのメルローには2018年以外の年も毎年1%とか0.5%とか使われていて、着色料的にブレンドされているのがわかる。世界にはいろんな品種がありますなぁ。

で、2018年は50%を樽で8~10カ月、50%をステンレススチールタンクで12カ月熟成させたというこのワイン、飲んでみると初日はちょっと固め。冷蔵庫に放置してみたところ2日目にド開花してちょっと異様においしい。カベルネ・ソーヴィニヨンに続いて明確な二者連続ホームランで、飛距離はもしかしたら5番バッターのメルロー選手のほうが出ているかもしれない。

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vivinoの評価は3.6。もう気持ち高くてもいいと思う

鉄と革でできた中世の厚い扉みたいに酸味と渋みでガードされていた果実味が、2日目に扉をこじあけて出てきたような感じ。チリの赤ワインで果実味っていうと=甘いと思われるかもしれないがさにあらずで、しっかりと酸味と渋みを伴って主張しすぎないポジションに上手に収まっている。酸味と渋みと果実味がそれぞれ明確な役割を持って、かつ主張しすぎない飲むPerfume状態。このメルローはいいぞ。

ビシクレタを飲んだときにも感じたが、やはりコノスルのボルドー品種はおいしい。

 

コノスル レゼルバ エスペシャル ヴァレー コレクション カルメネールを飲んでみた

続いてはカベルネ・ソーヴィニヨンメルローとともにボルドーから海を渡ってチリの地に辿り着き、メルローと勘違いされたまま大規模に栽培され、その間にフランスでの栽培が廃れたことでチリが世界最大の栽培地となったというカルメネールだ。カルメネールの帰る家を失った感は異常。

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その産地はカチャポワルヴァレー。チリ中央部に位置し、気候は温暖な地中海性気候だ。

チリワインについて調べると100%登場するのがフンボルト海流というワードで、これは南極に端を発する寒流。この海流があることで海水温が低くなり、海水温が低いから雲ができにくく、雲ができにくいから降雨量が少なくなり、朝は霧が発生しやすくなったり昼夜の寒暖差が激しくなったりして要するにワイン栽培に有利な条件が整いまくるからチリはワインの一大産地なんだそうだ。エジプトはナイルの賜物だがチリワインはフンボルト海流の賜物なのだ。

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フンボルト海流。同緯度と海と比べて海水温が7〜8度も低いんですって。

なのだが、カチャポワルヴァレーの場合はそのフンボルト海流の影響を受けにくいエリアなんだそうで、だからつまり温暖な産地なのだそうだ。私はこんなにチリの地理に詳しくなって一体なにがしたいのだろうかという疑問が脳裏をよぎるが無視だ。

カルメネールもやはりカベルネ・ソーヴィニヨンメルロー、シラー、そしてふたたびアスピラン・ブーシェなどがブレンドされたワイン。2017ヴィンテージに関しては、80%が樽、20%がステンレスタンクで12カ月熟成をへている。

でですね、私はむしろこれを飲んでなぜかちょっと安心したのだが、このワイン、なんというか普通なんです。1000円ちょっとで買える安くて普通においしい赤ワイン、という感じ。炭とか革とか土を思わせる、わりと陽の当たらない大地的な味わい。

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vivinoの評価は3.7と3品種で最高。アテ
にならないのはvivinoかヒマワインか……!?(後者)

本来1000円台前半の赤ワインってこれくらいの味が普通だよという印象で、逆にいうとカベルネ・ソーヴィニヨンとかメルローのヤバさが際立つ味だった。

といったところで文字数が想定よりも増えてしまったので、今回はここまで。次回はシラーとピノ・ノワールを飲んでいき、白ワインも含めた8品種のランキングを発表する最終回としたいと思う。メルローカベルネ・ソーヴィニヨンは確実に上位ですよこりゃ!

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