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コノスルシングルヴィンヤード甲子園【第2試合】シラーvsカルメネール

<前回までのあらすじ>

コノスルのシングルヴィンヤード全8種類を買ったのでどれが最強かを決める「コノスル甲子園」を開催することにした

 

コノスルシングルヴィンヤード甲子園【第2試合】シラーVSカルメネール

コノスル甲子園、一回戦はシャルドネとカリニャンが戦い、カリニャン高校の健闘も及ばずシャルドネ高校が勝利した。今回は一回戦第二試合、シラー高校VSカルメネール高校の死闘の模様をお伝えする。

シラーとカルメネールはコノスルのボトムレンジであるビシクレタ、その上のレンジであるレゼルバエスペシャル ヴァレーセレクションにも単一品種表記のワインが存在する、いわばコノスルの定番品種。そこで、シングルヴィンヤードの戦いをはじめるまえに下位レンジのパフォーマンスを振り返ってみよう。

この中から「ベスト」を選んでいきます。

まずビシクレタだが、全14品種を飲んだうち、シラーは10位、カルメネールは6位だった。そしてレゼルバエスペシャルでシラーとカルメネールが何位だったかといえばシラーが8品種中7位、カルメネールが8位だったわけなんですよ。まさかの最下位争い。甲子園でいうところの島根VS新潟(甲子園通算勝率47位と46位)的対決となった。

とくにシラーは私の好きな品種であるにも関わらずコノスルにおいては酸味が弱くて渋みが強いという印象で、正直イマイチ。カルメネールはビシクレタでは名作ゲヴュルツトラミネールに次ぐ順位と健闘したものの、ビシクレタでは他品種と比べたときにわざわざ選ぶ理由がない、という印象を受けた。

果たしてシラー、カルメネールの逆襲はあるのか。島根は石見智翠館、新潟は日本文理とか強い高校があるわけなんですよ。ワンチャンあるんですよ。コノスルランキングでは苦戦が続くシラーとカルメネールだが、狙うは下克上だ。

 

コノスルシングルヴィンヤード甲子園【第2試合】シラーはどんなワインか

というわけで、それぞれがどんなワインかをサクッと調べてみよう。

まずはシラー。産地はチリ中央部で太平洋に近いサン・アントニオヴァレーのカンポ・リンド葡萄園第25区画。サン・アントニオ・ヴァレーはおなじみフンボルト海流がもたらす冷たい風が吹く冷涼な土地。このシラーも“コールド・クライメイト・シラー”だと説明されている。

シラー

収穫後70%はフレンチオークの小樽、30%は大樽で14カ月熟成。その後1カ月ステンレスタンクで熟成させる。アルコール度数は14.5度。残糖3.1g/l、PH3.50、総酸6.03g/l。ボトルにはジェームズ・サックリング94点のシールが光る。1500円を切る価格で94点はけっこうすごくないすかね。

サックリング94点のシールが光る

 

コノスルシングルヴィンヤード甲子園【第2試合】カルメネールはどんなワインか

続いてはカルメネールだが、こちらはカチャポワル・ヴァレーのペウモ葡萄園第28区画からやってきたワイン。カチャポワル・ヴァレーはチリ中央部に位置するカルメネールの一大産地で、シラーのサン・アントニオヴァレーとは対照的に内陸に位置することからフンボルト海流の影響を受けず、地中海性の温暖な気候が特徴だ。

チリといえばの品種、カルメネール

こちらはフレンチオーク樽で14カ月熟成後、1カ月ステンレスタンクで熟成。アルコール度数は14度。残糖4.5g/l、PH3.49、総酸5.6g/l。

勝つのは冷涼シラーか温暖な気候で育ったカルメネールか。事前にツイッターで募集したアンケートによれば、勝利の予想はシラー70%、カルメネール30%とシラー優勢。

果たして結果はどうなるか、いざプレイボールだ。

 

コノスルシングルヴィンヤード甲子園【第2試合】シラーを飲んでみた

まずはシラーなのだがグラスに注いだ瞬間から香りがすごい。色濃いめの花を詰め込んだタライを象が踏んだみたいな強い香りがして、これは香りの先頭打者ホームラン。

シラーの特徴といわれるコショウの感じも思いっきりする。南アフリカでは白胡椒のニュアンスのあるものをシラー、黒胡椒のニュアンスのあるものをシラーズと呼ぶんだよとかつて現地の生産者の方が話しているのを聞いたことがあるが、このワインは完全に黒胡椒系の刺すようなスパイシーさがある。香りの長打力がすごい。

vivinoによる戦力評価は3.6。飲んだのは2019ヴィンテージでした

果実味も強く、必要最低限の酸味もあるため非常にわかりやすくおいしい。1番から9番バッターまで、全員三振かホームランかみたいに振ってくるチームみたいなド派手な味わいだ。チリっていうか印象的にはブラジル。サンバのリズムで初回から5点先制。

 

コノスルシングルヴィンヤード甲子園【第2試合】カルメネールを飲んでみた

一方のカルメネールだが、香りも味もシラーとは全然違う。香りはチョコレートとかコーヒーとかの香りにすみれみたいな花の感じ。ホテルの地下で売ってる高いケーキ屋さんのエディブルフラワーがあしらわれたチョコケーキ、みたいな印象だ1000円ちょっとで買えるワインだってのに。

カルメネールは今回飲んだ2018ヴィンテージがvivino最高点でした

シラーに比べれば印象は地味。なんだけど、味わいに出っ張りもへこみもなく非常にまろやか。果実味渋み酸味のバランスも非常に良く、肉料理ならなんでもこいといったフードフレンドリーさもある。

四球で出たランナーがすかさず盗塁、バントで送って犠牲フライで1点もぎとるみたいな、点差があるにも関わらず自分たちの野球をつらぬく老練なプレーで気づけば点差をつめてくる。

 

コノスルシングルヴィンヤード甲子園【第2試合】勝ったのは!?

いやこれ難しいな。ド派手なシラーと、地味だがしみじみおいしいカルメネールを2本同時に飲み進めていって結論出ず。これは延長戦(2日目以降)突入である。

結局3日くらいに分けて飲んだのだが、2日目、3日目と進むほど違いが明確になっていった。シラーは要素がちょっとバラバラになっていき、逆にカルメネールは統合が進んでどんどんおいしくなっていった。延長12回の死闘の末、最後の最後で競り勝ったのはカルメネール高校だった。

ヴィンテージがシラー2019、カルメネール2018とカルメネールが1年余計に熟成してるのも影響したような気がする。ワインという飲み物としての完成度でほんとうに皮一枚カルメネールが上回ったような印象だ。

一杯目の印象ではシラーの圧勝だと思ったが、野球は、じゃなかったワインはわからないものである。シラー高校はホームランが3本出たがすべてソロホームランだったみたいな感じです伝わらないとは思うけれども。

というわけでコノスルシングルヴィンヤード甲子園は第2試合が終了した。ここまでの試合結果を見てみよう。

第一試合:◯シャルドネ ×カリニャン
第二試合:◯カルメネール ×シラー

そして第三試合はリースリングVS8グレープス。コノスルの隠れたエース格・リースリングと8品種のブレンドだという謎のワイン・8グレープス。勝敗の行方は正直まったくわからない。

次の試合も乞うご期待である。