<前回までのあらすじ>
コノスルのシングルヴィンヤード全8種類を買ったのでどれが最強かを決める「コノスル甲子園」を開催することにした。
リースリングvs 8グレープス、勝つのはどっち?
コノスルのシングルヴィンヤード甲子園も第3試合に突入した。対戦するのはリースリングVS8グレープス。
このブログでは過去にコノスルの下位レンジであるビシクレタならびにレゼルバ エスペシャルを全部飲み、ランキング化する企画を実施しているが、リースリングはビシクレタで7位、レゼルバ エスペシャルで3位と非常に好成績を残しているワイン。
ビシクレタ、レゼルバ エスペシャルの順位を合計した総合ランキングではカベルネ・ソーヴィニヨン(2位・2位)、ピノ・ノワール(1位・4位)に次ぐ3位にランクインしている超優等生だ。
一方の8グレープスはコノスルの全レンジを通じてシングルヴィンヤードにしか登場しない謎中の謎ワイン。8品種をブレンドしたというワインなのだが、どんな味なのかさっぱり検討もつかない。
スポーツ漫画などでは、決勝で戦うことを互いに誓った主人公チームのライバル校(強豪)が初出場の謎の高校に負ける、みたいな展開がよくあるがまさにその図式だ。8グレープスだけラベルの色も黒でなんか違うし。謎の高校のユニフォーム、黒多めの法則である。あやうし、リースリング。
コノスル シングルヴィンヤード8グレープスはどんなワインか?
気になるので先に8グレープスについて調べてみよう。産地は「黒葡萄品種の栽培には理想的」だという地中海性気候のアコンカグアヴァレーのエル・エンカント葡萄園。エンカントは魅惑とか魅了みたいな意味とのこと。
魅惑の農園で育った8選手、もとい8品種は以下のような野郎どもだ。
カべルネ・ソーヴィニヨン
マルベック
グルナッシュ・ノワール
カリニャン
カルメネール
プティ・ヴェルド
プティ・シラー
ムールヴェードル
これはなんていうんでしょうかボルドーmeets南仏、みたいな趣がある品種群だ。グルナッシュ・ノワール、プティ・ヴェルド、プティ・シラー、ムールヴェードルとか栽培してたんですねコノスル。単一品種でのリリースはないが、ブレンド材として地道に活躍してたりするんだろう。
なんというか、主役になれない男たちの連合軍っていう感じ、いわばワイン界のエクスペンダブルズ、あるいはキン肉マンでいうところのソルジャーチーム的立ち位置だ。こういうの好きなんですよ我々男の子(小学38年生)は。野球でいえば名門! 第三野球部ね。大変なつかしいのだがワインの話だった。
購入したのは2017ヴィンテージ。8種類のブドウがどんな割合でブレンドされているのか、日本語テックシートから引用してみよう。以下だ。
カべルネ・ソーヴィニヨン 100%
マルベック 19%
グルナッシュ・ノワール 16%
カリニャン 16%
カルメネール 6%
プティ・ヴェルド 6%
プティ・シラー 5%
ムールヴェードル 4%
合計は172%。すさまじいブドウエネルギーだといいたいところだがこれはまあさすがに誤植と思われるので、実際はカベルネ・ソーヴィニヨンが28%だろうか。
使われている品種から想像するのはかなりパワフルな味わいだが、エル・エンカント農園は標高800〜1000メートルと高標高。そのあたりが味わいにどう反映されるかが楽しみ。熟成はフレンチオーク樽で16カ月、ステンレスタンクで1カ月。アルコール度数は14.0度、残糖3.7g/l、PH3.48、総酸5.85g/lというスペックだ。
コノスル シングルヴィンヤード リースリングはどんなワインか?
続いてはリースリングについてだが、こちらはチリ南部の冷涼産地、ビオビオ・ヴァレーのキトラルマン農園第23区画、ルロズ・デル・アルト産のブドウを使ったというワイン。ビオビオヴァレー、それは南半球のアルザス(勝手に)。
熟成はステンレスタンクで3カ月。アルコール度数は12.5度、残糖5.5g/l、PH3.1、総酸8g/l。アルコール度数低めで糖度も酸も高めと好きそうな感じがする。ヴィンテージは2019。8グレープスは3年生主体、リースリングは1年生主体のチームということですね。
コノスル シングルヴィンヤード リースリングを飲んでみた
さて、そんなこんなでいざプレイボールだ。先攻はリースリング高校なのだが、やっぱりさすがは伝統校。ビシクレタ、レゼルバ エスペシャルからこのシングルヴィンヤードへと、しっかりと進化している。
まず香りが素晴らしい。世界の富裕層が愛好する嗅いで楽しむ専用の石油、みたいな品の良い香り。味わいは岩石から滲み出してきた蜂蜜レモンといったところ。1500円くらいで買えるリースリングとして納得感しかない完成度だ。うまいなあ。リースリング大好き。
ビシクレタも、レゼルバも、このシングルヴィンヤードも産地はすべてビオビオ・ヴァレー。コノスルはどうやらリースリングの生産をビオビオヴァレーに絞っているようで、それだけに適地適品種が徹底されている感じがする。万全の仕上がりだ。
コノスル シングルヴィンヤード 8グレープスを飲んでみた
とはいえ不気味なのが謎のワイン、8グレープスだ。なにか一発やってくれそうな気配が十分にある。
というわけでグラスに注いでみたのだが、なんとびっくりことのほかおだやか。カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に南仏感のある品種を混ぜこぜにしているだけにもっと果実味どっかんかつスパイシーな感じを予感していたが、渋みとすっぱみの強いボルドーブレンドみたいな味わい。あれ、香りも味わいも弱めだな。普通に三者凡退だ。
このワインが真価を発揮するのは2日目以降。酸味選手に代わり果実味選手が代打に送られ、先発の渋み投手がまろやか投手に継投するとグッと飲みやすくなってくる。最初からこのスタメンでいってくれればなぁ……。
3日目の最終盤まで進化を続け、最終的においしい血液、みたいなスムーズなのに芯のある味わいへと昇華していったが、ここまで飲んできた赤品種のカリニャン、シラー、カルメネールと比べても味わいのパンチの弱さは否めない。一方のリースリングが2日目、3日目と味わいが落ちるどころか蜜感が高まって大変おいしかったのでこれはリースリングの完勝だった。
コノスルはシングルヴィンヤードの上位レンジとして20バレルがあるが、20バレルにリースリングは存在しない。つまりシングルヴィンヤード リースリングはコノスルのリースリングの最高峰なのだ。負けられねえ。
コノスルシングルヴィンヤード甲子園 途中経過
ここまで3試合を消化して結果は以下のようになった。
第一試合:◯シャルドネ ×カリニャン
第二試合:◯カルメネール ×シラー
第三試合:◯リースリング ×8グレープス
そして第四試合はともに優勝候補のカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノワールの運命の直接対決だ。一体どちらが勝つのか。どんな戦いになるのか、想像もできない。乞うご期待だ!