ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

「ドミニク・マサン キュベ・スペシャル ブリュット」キンメリジャン土壌とそれが生み出す味わいについて。 【Dominique Massin Cuvee Special Brut】

ドミニク・マサン キュベ・スペシャル ブリュットとキンメリジャン土壌

昨夜はドミニク・マサンの「キュベ・スペシャル ブリュット」を飲んだ。CAVE de L NAOTAKAで購入した「魅惑の辛口シャンパーニュ4本セット」税込9999円のうちの1本だ。

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ドミニク・マサン キュベ・スペシャル ブリュットを飲みました。



どんなワインか、調べてみると、造り手のドミニク・マサンの本拠地はフランス中北部オーブ県のヴィル・シュル・アルス。人口は219人というからかなり小ぢんまりとした集落っぽい。で、ここの土壌がワインの説明でよく聞くキンメリジャンなんだとか。

キンメリジャン、なんかこう、いい感じの土壌でしょくらいしか知識がなかったので調べてみると、ジュラ紀後期の地層とある。ジュラ紀といえば映画『ジュラシック・パーク』でジュラシック・パークは中国語だと『侏羅紀公園』とかいう直訳すぎるタイトルで、劇中に登場する恐竜のほとんどが白亜紀のものだそうです以上脱線を終えます。

さて、1億9960万年前にはじまりその後5000数百万年続いたジュラ紀は、前期、中期、後期にわかれ、後期はさらにオクスフォーディアン、キンメリッジアン、チトニアンの3つに分かれるんだそうな。キンメリジャンはジュラ紀の後期の中期ってことですね。

キンメリジャン土壌で有名なのはシャブリ。なんだけど、高知県に分布する七良谷層、福島県中ノ沢層もキンメリジャンなんだそう。高知県もシャブリも同じ地球の上にある。誰かワイン造ってください。

でもって、キンメリジャン土壌の石灰層は「有孔虫、ウミユリ、サンゴ、貝類、円石藻、石灰藻などの生物の殻(主成分は炭酸カルシウム)が堆積してできたもの。」なんだそうで、その土壌がワインにどう作用するのかが気になるところだが、「イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門」によれば、「実は土壌のタイプの違いがもたらすブドウの影響はいまだによくわかっていない」のだそうだ。げっ、マジかよ。

ただ、「水はけのよさがブドウの品質に直結していることは広く知られている」ともある。シャンパーニュ委員会日本事務局のサイトは石灰質の地下層について「この種の地層は水はけがよく、シャンパーニュの味に特殊なミネラル性を与えます」と説明しているから、要するに水はけがいいってことなんすかね。ちなみに「ミネラルってなんだよ」とか言い出すと本当にキリがないようなのでこのへんでやめます。

ドミニク・マサン キュベ・スペシャル ブリュットはどんな風に造られているのか

とにもかくにもそんな土壌で育ったブドウで作られているのがドミニク・マサン キュベ・スペシャルだ。ブドウはピノ・ノワール100%。
購入したCAVE de L NAOTAKAのサイトによれば
・4ヴィンテージをアッサンブラージュ
・ドサージュは9g/Lで繊細かつエレガントなピノ・ノワールリキュールを使用
マロラクティック発酵あり。最低3年瓶内熟成。デゴルジュマン後6カ月休ませ出荷
と、通常価格6380円税込の高価格ワインだけに手間もかかっている模様。もうこの段階でおいしい。高級ワインは情報がおいしい。ワインって安ければ「このワイン、安いのにおいしい!」という正のバイアスがかかり、高ければ「このワイン、高いだけあっておいしい!」という正のバイアスがかかるのホント素晴らしいと思う。

ドミニク・マサン キュベ・スペシャル ブリュットを飲んでみた。

さて、そんなワインを土曜日の夕暮れを待って抜栓。グラスに注いでみるとシュワシュワと素晴らしい泡立ち。色は濃いめ。飲んでみるとこれうまいですね最高に。

なんつっても泡。バブ的な入浴剤を10個くらい一挙に投入した直後の風呂、みたいな湧き上がり絡みつく泡。でですね、なんですかね、泡の土俵際の粘りがすごいっていうか、なかなか泡が口のなかで消えない。徳俵に足がかかってからの粘りがすごい。口から喉、食堂を通って胃に至るまで弾け続けてる感じがする。泡のクオリティが高い。泡リティが高い。

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vivinoの点数は納得の4.0点。どんな味かと問われれば「激うま味」ですと答える。

味わいももちろん素晴らしい。なにか気の利いたことが言いたいけれども今の私の味覚レベル(大好物はハンバーグと唐揚げ)では表現のしようがない。何年か後に、もしも味覚レベルを高めることができたならば書き換えることを期して、仮にいまは「激うま味」としておこう。激うま味がします。

世の中には何万円もするシャンパーニュがいくつもあると思うけれども、いったいどんな味がするのだろうか。そして、現時点で税込6380円、4本セットで9999円のワインでほぼマックスレベルの満足感を味わっている自分は、そういったワインを飲んだ場合にどんな感想を持つのか。

ワインの世界は奥が深すぎて、いまだその入り口にいることがむしろラッキーだなあと感じた、週末シャンパーニュでした。ちなみに飲み残した2日目(これを書いている今)も余裕でおいしかった。すげえ。