ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

エノテカ6月の送料無料ワインを飲んでみた。【ドメーヌ・ド・ヴィルマジュー コルビエール・ブートナック】

ラングドック=ルシヨンからやってきたエノテカ6月の送料無料ワイン

フランスのワインというと、ボルドーブルゴーニュシャンパーニュ、と指が折れていき、ローヌ、ロワール、アルザス……みたいになるような気がするが私はラングドック=ルシヨンのワインが好きだ。安くておいしい、とっつきやすいというのがその理由で、初心者目線で言うならば、フランスのワインを初心者が買う場合ラングドック=ルシヨンのワインを選ぶのが一番ハズレがないんじゃないすかね、と思っている。好きですラングドック=ルシヨン。フォーエバーラングドック=ルシヨン。

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エノテカ6月の送料無料ワイン(赤)を飲みました

でもって2020年6月のエノテカ「今月の送料無料ワイン」の「ドメーヌ・ド・ヴィルマジュー コルビエール・ブートナック」がまさしくラングドック=ルシヨンのワインだったのでこれを奇貨とし、ラングドック=ルシヨンについて調べるか、一発、とラングドック=ルシヨンと検索クエリに入力、wikipediaを開いて驚いた。行政区分としてのラングドック=ルシヨン地域圏って、もうないんですって……。2016年からラングドック=ルシヨン=ミディ=ピレネー地域圏となったんだそうだ。長いよ名前が。南阿蘇水の生まれる里白水高原駅(実在する日本で一番名前の長い駅)かよ。

ラングドック=ルシヨンとワイン

ともあれラングドック=ルシヨンはワインの産地としてはもちろんそのまま使われ続けるのだろう。wikiは、この地がワインづくりに「最適、というよりは恵まれすぎて」おり、「ぶどうを植えっぱなしにしておけばそこそこの収穫があ」るとしている。その結果、ラングドック=ルシヨンは長く「『お茶がわり』あるいは『歯磨き用』などと揶揄される安ワインの産地だった」のだそうだ。歯磨き用……。

ラングドック=ルシヨンのwikipediaの「ワイン」の項はなんだか異様に筆が走っており、短いながら非常に切れ味がいいのだが、それはこう続く。

「しかし国民の生活水準が向上し、朝から酒を飲む人も少なくなり、お茶代わりのワインの需要が減ったため、ワインの品質向上が叫ばれるようになり、1980年前後からAOCクラスのワインも多く作られるようになった。」

というわけで、ラングドック=ルシヨンのワインの品質が向上したのは、「朝から酒を飲む人が少なくなったから」だった。パック酒の需要が減って、純米吟醸の需要が増えた、みたいなイメージだろうか。つーか「お茶がわり」比喩とかじゃなかった。ガチだった。AOCの厳しい規制に縛られないワインが作りたい、とボルドーから優れた醸造家が多数移入してきたことも、品質向上に大きく寄与しているようだ。ラングドックはフランスのニューワールドであり、21世紀はラングドックの時代、だそうです。すごいぞラングドック。朝からワインを飲む人が減って本当に良かった。

ドメーヌ・ド・ヴィルマジュー コルビエール・ブートナックはどんなワインか

さて、昨夜飲んだワインはどんなワインかといえば、エノテカで累計26万本売れているとのことで超詳しく書いてあるのでそちらを読んでもらうのがベスト。
品種はカリニャン、シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルを使っているらしいけれども公式サイトを見るとひたすらカリニャンの話をしている。アットリーストハンドレッドイヤーズオールドとか書いてあったりして。AOCの規定でもカリニャンを手摘みせよとあるので、カリニャン処なんすかね。カリニャン主体のワインを飲むのは初めてなので楽しみであります。カリニャンって入力したら仮ニャンってなった。仮ニャンかわいいじゃないの。

カリニャンとシラーはカルボニック・マセラシオン方式で全房発酵を行い、グルナッシュとムールヴェードルは除梗後ふつうに発酵を行ったのちにブレンドされ、オーク樽で12カ月熟成後、リリースされるとのこと。手間かかってる。

 ドメーヌ・ド・ヴィルマジュー コルビエール・ブートナックを飲んでみた

で、飲んでみると、濃い紫色のぶどうジュース感のあるビジュアルとは裏腹に渋い味。この場合の渋いはタンニンが強いという意味ではなく、井端弘和の逆方向への打球がアウトになったけれども実にいい内容だった、さすが井端はいいバッター、みたいな意味での渋いで、必ずしも超わかりやすい! うンまーい(藤子不二雄A先生の絵で)! といった印象ではないのが意外だった。

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vivinoの点数は4.0点。評価数こそ少ないもののかなりの高評価。

地方の美術館の奥にある普段は使わなけれども掃除は行き届いた応接室にある革張りのソファにズボリと身を沈めたら目の前にいる紳士が葉巻入れをおもむろに開いてよかったらどうですか、と勧められたときの香りっていう架空の体験の記憶がよみがえる感じだった。思いがけず複雑な香りと味わいで、私はハタチになったばかりで好きなお酒は強いていえば梅酒サワーみたいな女子大生がおいしいと思うタイプのワインが好きなので必ずしも好みのど真ん中ではないけれども、ベタにスパイシーな肉料理に合わせたらすごく楽しめる予感がする。なんならちょっとエスニックまで許容してくれそうな感じがする。

現地価格17ユーロなので、2530円税込で660円の送料が1本から無料はかなりお買い得。6月のうちにエノテカで買いたいワインが出現したらもう1回買ってもいいような気がします。