ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

北海道余市町にふるさと納税! 返礼品限定の平川ワイナリーの白ワイン「キエチュード」を飲んでみた。

余市町ふるさと納税したら平川ワイナリーからワインが来た

今まで「なんとなく面倒だから」という理由で一度も行ったことのなかったふるさと納税を、返礼品でワインがもらえると知った瞬間にやってみた。それに関しては別記事で詳しく書いたのでもしよかったらご覧いただきたい。下記だ。

himawine.hatenablog.com

私が寄付を行ったのは北海道余市町。注目の産地でありながら自治体としては財政難であり、なおかつ私の親戚が北海道に住んでる、というのが余市町に決めた理由だ。産地が重視されるワインと、いわば納税の“産地指定”ができるふるさと納税の食い合わせはめちゃくちゃいいと思う。

さて、ドキドキしつつ「楽天ふるさと納税」の寄付ボタンをクリックすると、なんならアマゾンプライム級のスピードで返礼品を贈ってくれたのが平川ワイナリーだ。平川ワイナリーとの出会いは今年の夏、新宿のビックカメラにて。ビックカメラの酒販コーナーの試飲カウンターで飲んだロゼが大変おいしく、私をしてロゼ大好き民に変えてくれた記念碑的ワインが平川ワイナリーのものだったのであった。

平川ワイナリーからの返礼品の中身

その平川ワイナリーから5万4000円の寄付の返礼品として送られてきたのは以下3種。

デュアリテ グランド・キュベ 2017年(中重口、赤ワイン)
エチュード テール・ド・ヨイチ 2016年(辛口、白ワイン)
スゴン・ヴァン・ロゼ テール・ド・ヨイチ 2019年(辛口、ロゼワイン)

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寄付額5万4000円の返礼品として届いた平川ワイナリーのワインのみなさん。

赤の「グランドキュヴェ」は最高級レンジ。白とロゼの「テール・ド・ヨイチ」はセカンド的立ち位置のようだ。この3本が化粧箱に入れられて届くこのお歳暮感。年末のふるさと納税は自分から自分に贈るお歳暮。お歳暮自作自演乙である。

同梱されていたシートによれば、平川ファームの畑の下には縄文時代の遺跡が眠り、かつてはアイヌ人の生活の場だったのだそうだ。その後1950年からの65年間は果樹園として栄えたた土地を2015年に平川ファームが引き継いだとあり、ワイナリーの建物は古い農機具庫を改築しているのだそうだ。うーん、歴史を感じる。代表の平川敦雄さんはソムリエとワイン醸造家、双方で並々ならぬキャリアを持つ人物。ハードもソフトもすごい。

寄付すると北海道余市町の地理についても知りたくなるの不思議

ここから余談だが、平川ワイナリーは東京・広尾にアンテナショップを出店していて、(行ったことがないのだが)その店名がN43°。すなわち余市町の北緯43度が屋号となっている。ほえーじゃあ世界のワイン産地の緯度ってどんな感じだろうかと地図に線を引いてみると、北緯43度は意外と南でフランスでいえばプロヴァンスとほぼ同じ。え、ヴァカンス地じゃないっすか。

プロヴァンスの平均気温は13.1度に対して余市町は年間平均気温8.1度(降水量1353mm、日照時間1523時間)なのでだいぶ違う。もうちょっと北のワイン産地と比べてみると、

ブルゴーニュ 平均気温11度、年間降水量766mm、日照時間1910時間(ディジョン
シャンパーニュ 平均気温11度、年間降水量604mm、日照時間1650時間(ランス)
と、余市シャンパーニュより寒いことがわかった。「購入」と異なり「納税」で入手したワインだけに、その土地についても自然と知りたくなるの面白い。いずれにしても、シャンパーニュよりもさらに寒くてシャンパーニュより雨の多い土地でのワイン造りはご苦労も多かろう。うーん、飲む前からありがたや。

平川ワイナリーの(道外では)ふるさと納税限定ワイン「キエチュード」を飲んでみた

さて、早速白の「キエチュード」を飲んでみた。このワインについて調べてみるとインターネット上に情報がない。なのでワイナリーに問い合わせてみたところ、キエチュードは、余市町ふるさと納税と、札幌の定山渓温泉が本拠地の第一寶亭留(ホテルと読むそうです)グループでしか飲めないということがわかった。平川ワイナリーに直接行っても販売していないのだそうで、つまり北海道に行かない限り、ふるさと納税でしか手に入らないワインのようなのだ。うーん、エクスクルーシブ。

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返礼品でもらった白ワイン「キエチュード」を飲みました。

さて、グラスに注ぐとふわんと青草のようなレモンのような香り。平川ワイナリーのワインは、先入観を持ってもらいたくないからとブドウ品種非公表。なので、嗅いでも飲んでも私には品種がなんだか1ミリもわからないが、印象としてはソーヴィニヨン・ブランみたいなさわやかさと草原感を感じる

2日に分けて飲んでみたら2日目に角がとれて、ヤクルト的乳酸菌的フレーバーが顔を覗かせてさらにいい感じになった。合わせた料理は、北海道→木彫りの熊→くわえているのは鮭→スモークサーモンというマジカルバナナ方式でスモークサーモンだったのだがこれが異様にいい組み合わせで、マリネ液の酸味とサーモンの甘味とワインが和合して大変おいしかった。一座建立だった。単独でスイスイ飲むというよりも、食事と合わせたいワインだと思う。

これはただの主観的な印象論だが、私のワイン専用のtwitterアカウント(@hima_wine)でフォローしている方々のなかで、愛好家の方がワイン単独での味わいについて論じる場合が多いのに対して、ソムリエの方はそのワインがどんな料理と合うかについて論じる場合が多いような気がする。品種を公開しないという点といい、料理と合わせて真価を発揮する感じといい、ソムリエの方が造ったワインと聞いて納得がいくような気がした。刺身にも合いそうだし、天ぷらにも良さそう。天ぷら良さそうだな!(もうない)

エチュードは「心のやすらぎ」的な意味なのだそうだ。おいしいものを食べておいしいワインを飲むと心がやすらいで疲れがとれ、前向きな気持ちになるので人生がしあわせになる。ワインは心に塗るおくすり。

実は同じく返礼品でもらったロゼのスゴンヴァンロゼもすでに開栓しており、こちらはさらに非常においしかったのだが、それはまた別の機会にまとめたい。うーん、ふるさと納税おそるべし。余市町へのふるさと納税、全力でオススメだ。

2020年内のふるさと納税は今がぎりぎり余裕を持って行えるタイミング。ぜひ。

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