ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

リントンパーク 76 カベルネ。1000円台のオススメ南アフリカワインの名前の由来が深い

「リントンパーク 76 カベルネ」はどんなワインか

南アフリカの生産者、リントンパークの「76 カベルネ」を飲んだ。同じ銘柄の「76 シャルドネ」は5月に飲んでいて、いまだに私のベスト1000円台白ワインの座に居座り続けているのだった。そのカベルネ・ソーヴィニヨンバージョンもあると聞いたのでそちらもゲット。飲んでみることとした。定価は2000円だが、購入価格は1000円台だ。

さて「76」の正式名称は「class of 76」といい、その名は南アフリカで1976年6月16日に起こった「ソウェト蜂起」に由来する。白を取り上げた記事でも少し触れたが、今回改めてじっくり調べてみた。

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1976年6月16日の「ソウェト蜂起」とはなにか

アパルトヘイトの時代。事件のきっかけは、政府は学校でのアフリカーンス語の授業の導入を決定したことだった。アフリカーンス語オランダ語由来の言語で、白人支配の象徴と見なされていた言語だっため、反発した黒人学生が授業をボイコットする事態となる(ちなみに南アフリカ公用語は公式には11言語ありそのうち9つはアフリカの土着言語であるバントゥー諸語)。

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「リントンパーク 76 カベルネ」を飲みました。

いやこれちょっとですね、南アフリカワインっておいしいなあと思う者の一人として以下に挙げる言葉を噛みしめねばならぬと思うんだけど、時の「黒人担当教育副大臣」は、授業を白人言語で行うことに関して、こう言ったそうな。

「私は言語問題についてアフリカの人々に相談しなかったし、そうするつもりもない。アフリカ人は『ボス』がアフリカーンス語か英語しか話さないことに気付いただろう。両方の言語を知っていることはその人に有利になるだろう。」

そりゃ怒るわ。そして、怒った学生は1976年6月16日デモを決行。そこに警察出動→デモ隊応酬→暴動に発展と事態は悪化してなんと500人が死亡する惨事となる。そして暴動がヨハネスブルグ南東のソウェト地区で発生したため「ソウェト蜂起」と呼ばれるんだそうだ。

その日起こったことについて、wikipediaは「虐殺」という言葉を使っている。もともとデモは平和的なもので、なぜそのような事態になったのかは諸説があるようだが、警察に撃たれて死んだ13歳のヘクター・ピーターソンの写真は全世界の怒りを呼んだそうだ。そりゃそうだ。

 

1976年6月16日と「リントンパーク 76 カベルネ

今日、1976年6月16日は、アパルトヘイトの終わりが始まった日、と呼ばれているそうだ。そして、現在は「若者の日」として国民の祝日となっている。つまり、この名前を冠したワインを南アフリカの生産者が適当に造る可能性はゼロ。おいしいワインを安い値段で飲み、南アフリカの歴史についても知ることができる。「76カベルネ」は飲めるタイプの社会科資料集。

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ちなみに、現在はアフリカーンス語に対する逆差別が発生、公用語ではあるもののその地位は急速に低下し、国民の13.5%が話す言語でありながらこのままいくと消滅の危機にあると言われているだとか。難しすぎるなこの問題。ワインの話をすることにしましょうよもう。

輸入元のマスダによれば、畑は標高380メートルで、花崗岩土壌。平均樹齢20年。フレンチオーク樽で12カ月熟成とのこと。アルコール度数は14.0度。ヴィンテージは2017。裏ラベルの「品種」欄にはカベルネ・ソーヴィニヨンしか記載がないので、単一品種なんですかね。

そんなリントンパーク76カベルネ・ソーヴィニヨン南アフリカの1976年に思いを馳せつつ、飲んでみることとしよう。

 

リントンパーク 76 カベルネを飲んでみた。

グラスに注ぐとキレイな紫色。76シャルドネも、南アフリカのワインというよりはまるでカリフォルニアのワインのように明るくて果実味の強いワインだったけど、このカベルネ・ソーヴィニヨンも同じくで、非常に果実味が強く、酸味、渋みは控えめ。私みたいなワイン初心者が非常に喜ぶ味の構造となっている。ただ、味は濃いので、肉とか強めのチーズとか、合わせる料理は選ぶと思う。

いいな、と思うのは、これだけ重たい過去がある「76」という名前のワインに対して、これだけ明るい味をデザインしている点。これが複雑で渋み酸味の強い重厚な味だったならば、飲んでるこちらも自ずと頭を垂れてあれ? 告解かなんかしてる? みたいな態度で飲むことになるだろう多分。造り手の思いはわからないが、過去のことを忘れずに、それでも未来に向けて進んで行こうよ、みたいな意思をどこかに感じる味がする。

「リントンパーク76カベルネ」すなわちclass of 76の赤はそんなわけで未来に向かう味がした。定価は2000円(私は葡萄畑ココスで1815円で購入)。1000円台で買える赤ワインとしては、飲みやすさの点で素晴らしいもののひとつだと思う。

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