「サブミッション」の言葉の意味をご存知か
ワインは本当に多くのことをわたしに教えてくれる。
昨夜飲んだのは689セラーズの「サブミッション」なのだが、みなさんはサブミッションってどんな意味かご存知だろうか?
私は「関節」という意味だと思っていた。信じ込んでいた。理由は簡単で、格闘技で関節技のことを「サブミッション」あるいは「サブミッション・ホールド」と呼ぶからだ。
藤原喜明の脇固め、武藤敬司の足4の字、永田裕志のナガタロック……格闘技っていうかプロレスの世界には有名な関節技が多くあり、いま「藤原喜明 サブミッション」で検索したら藤原喜明のサブミッションセミナーっていうのが出てきてなにそれ行きたすぎる(もう終わってました)。
これが幼少期から刷り込まれていたため、
「サブミッション/ホールド」=「関節/技」
という図式が私の脳裏には「月極=げっきょく(つきぎめ)」とか「台風一家(台風一過)」レベルで焼き付いていたのだ。
でですね、関節は「ジョイント」です。サブミッションではなくて。で、サブミッションとはなにかといえば「服従、降伏」みたいなことらしいですよみなさん知ってました? ガチのマジで知らなかった。ワインの名前が関節技ってどういうことだよ(笑)みたいに思っていた自分が恥ずかしすぎる。(笑)とか言ってる場合じゃないレベルだよ!
689セラーズとサブミッション
というわけで、そんな恥ずかしさを抱えながら昨夜は689セラーズの「サブミッション」を飲んだ次第だ。
ワイン業界で長くマーケターとして活躍していたカーティス・マクブライドが、長年の友人であるワインメーカーのケント・ラスムーセンと組んで立ち上げたのが689セラーズ。ナパバレーを本拠地とし、提携するワイン畑からのブドウでワインを造っているっていうからフランスでいうところのネゴシアン的なことをしてるってことで合ってますかね。いずれにせよ、長くワイン業界にいる経験から、カリフォルニア全土から良質なブドウを集めることができ、それによりコストパフォーマンスに優れたワインを造るのが689セラーズの特徴なのだとか。
ではサブミッションはどんなワインか。公式サイトを見てみると……全五章にわたる謎のポエム的な文章が掲載されている。以下に(雑に)訳出してみます(誤訳はご容赦あるいはご指摘ください)。
第一章
ここに来たのは久しぶりだ……すべてが変わり、しかしすべてが同じであるように感じられる。ここが、私が彼女とはじめて出会い、秘密が生まれた場所だ。
第二章
なぜ彼女は変わらないのだろうか。私は驚くべきではないのだろう。彼女が初めて会った日のように、今も複雑で美しいことに。
第三章
10年以上、その面影は私の心に浮かんでいる。雫の記憶。それを引き離すことはできず、すべての味わいは味わうごとに増していく。
第四章
実を結ぶことを彼女は望む。彼女は強い。これはコントロール不能なラブ・アフェアなのだ。
第五章
私が見たもの、私が抱き続け、私が味わってきたものをあなたも見る時は来た。そのときあなたはサブミッション<服従>を体験する。
これ以上の説明はなし。なんでしょうかこのポエムは。要するに「構想10年超! 一度飲んだら忘れられない『サブミッション』ついにリリース」みたいなことをポエム化したということでしょうか。洒落てんな、689セラーズ。マーケターがトップの企業だけあるな。
出会ってしまったが最後男性を破滅させる魅力的な女性のことをファムファタルというが、そういったファムファタル的イメージをワインに重ねてるイメージだ。抗えない魅力に<服従=サブミッション>させられてしまう。抗えない魅力に<関節=サブミッション>を極められてしまう。あれこっちでも意外とイケるんじゃないですかね。美しい女性に関節技を極められたい。男はみんな心のどこかにサブミッション願望を抱えて生きる孤独な魂であります。
サブミッション カベルネ・ソーヴィニヨンの味わい
さて、ではその味わいはいかがなものか。カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー(比率不明)を使用し、新樽率30%のオーク樽で10カ月熟成したという2017ビンテージをグラスに注いで飲んだ印象はこれはもうブドウの風呂。お風呂。飲むというより入浴レベルで味わいが感じられる濃厚さ。五右衛門風呂にブドウを詰めて40度に熱した中に身を浸しながら飲んでるみたいな気分になる。超おいしいけど食事とかは選ぶ感じだけにアメリカのステーキ屋で巨大なTボーンステーキとかを顎の筋トレのごとくに噛み締めながら流し込むにはさぞかし合うでしょう、そりゃあという味わいだ。
濃い・甘いっていうワインだと思うので苦手な人もおられるかと思うけれども、購入価格2178円、税抜き1000円台で買える赤ワインとして、私が飲んだ中ではベストのひとつです。サブミッション(白旗を掲げながら)!