スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズと安うまシラーMAP
さて私は個人的に「安うまシラーMAP」というものを作成している。3000円以下のおいしいシラー、あるいはシラーズを飲み、独自に作成したMAP上に配置、それを見てニヤニヤ楽しむという貴族の遊びである飲んでいるのは安ワインだけれども。
今回飲んだ「スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズ」は、twitterでのオススメの安シラーズを教えてくださいという問いかけに対し、とある賢者の方が推薦してくれたワインだ。楽天での最安値は924円。やすい。
スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズとプロジェクトワイン
ではどんなワインなのかとスリー・ピラーズの公式サイトを訪ねると、典型的なワイン会社のブランド公式サイトのつくり。あれこれ調べると、このワインをつくっているのは南オーストラリア州のプロジェクトワインという会社であることがわかった。
プロジェクトワインは元連邦大臣と、上海と北京に住む二人の中国人ビジネスマンが株主だという企業。もともと生産者の契約ワインメーカーとしてスタートし、現在は自社ブランドに力を入れていて、スリー・ピラーズはそのうちのひとつのようだ。
つまりは大企業で、公式サイトを訪問すると、うーん巨大タンクが壮観。そしてどうやらビジネスとしての主力商品はバルクワイン。規模を生かしてバルクワインを生産して輸出しており、そのために毎年1万5000トンのブドウを破砕するというからすごい。1万5000トンっつったら1トンの1万5000倍ですよ(そりゃそうだ)!
工業的なワインは嫌われがちだけれども安ワインにとって大量調達・大量生産こそ正義だっていうのもどうやら事実で、私みたいなものはプロジェクトワインの巨大タンク群を見ると同時にヨダレが出るパブロフの犬的症状まで出る勢い。夜にライトで照らされる工場のタンク群にどうしようもなく惹かれてしまう、そんな私は京葉工業地域出身者だ。
スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズはどんなワインか
ここらで本題のスリー・ピラーズの公式サイトに移ると、ピラーズとは柱の意で、スリーピラーズとは人生を楽しむ3本柱、食事、ワイン、音楽を示しているのだそうだ。鬼滅の刃的にいうところのワイン柱的なことですね若干今更それ言うの感あるけど。あるいは葡萄柱? ブド柱? もういいか。
公式サイトにテクニカルな部分の記載はないが、面白いのは希望小売価格で、RRP(希望小売価格)15ドルと書いてある。15豪ドルは約1240円で、繰り返しになるが楽天での最安値は924円だ(参考小売価格は1228円)。なにがどうなっているかわからないが、ふつうは輸入したら値段は現地より高くなるはずで、現地1240円なら2000円前後になるもんだと思う。それが924円で買えるのはお得だ。そしてお得はおいしさのスパイスだ。
醸造に関する情報は公式サイトにないので輸入元のファームストンのサイトに頼ると、熟成は10〜12カ月。6カ月間の「オークトリートメント」を行っていると書いてある。なんなんですかねオークトリートメントって。価格からするとオークチップと接触させることとかかな。わからないので、そろそろ飲んじゃいましょう。
スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズはどんなワインか
で、飲んでみるとこれやっぱり非常においしいんですよ。酸味、渋み、果実味どれもが突出しない正三角形に、スパイシーさというZ軸が加わるシラーズならでは三角錐的アーキテクチャ。まさに正統派の安ワインでありオーストラリアの安うまシラーズの正鵠を射たような味がする。
これ、924円なら文句なしにアリ。コノスルのビシクレタではなくレゼルヴァ、私の大好きな成城石井の「30マイルシラーズ」とかがライバルになりそうな感じ。1000円未満のワインのなかでこれは非常にいい選択肢になる。
用途としては夏のバーベキュー時に氷を張ったクーラーボックスにどぶ漬けして、焼けた肉を頬張りながらゴクゴク飲む、といったあたりが最適&最高だろう。スクリューキャップだし。アルコール度数14%とかあるから、実際にやるとひっくり返るかもしれないけれども。おいしいワインでした。