成城石井で「トレジャーズ シラーズ」を買ってみた
成城石井で売っているワインで複数回買っているワインに「30マイル シラーズ」がある。生産者はオーストラリアのクアリサワイン図。価格が1000円台前半ながら濃いうま果実味スパイシーでめちゃくちゃわかりやすくおいしいので大変重宝していたのだが、気がつけば成城石井のオンラインストアに記載がなくなっていた。
2021年前半にセールをしていたから、もしかしたら終売なのかヴィンテージ の切り替え時期なのか、なんなのか、ともかく現時点では手に入らないようだ。悲しい。
ただ、クアリサワインズのシラーズは他にも選択肢があり、ひとつ上のレンジの「ジョニー・Q シラーズ」1749円と、そのさらに上のレンジの「トレジャーズ シラーズ」1969円が引き続き売られている。
私はいま安くておいしいシラーズをたくさん飲んで【安うまシラーMAP】をつくるという企画を進めており、これらの価格帯のシラーズはまさにど真ん中。というわけで、「トレジャーズ」のほうを買ってみることにした。
クアリサ・ワインズとジョン・クアリサという男
「トレジャーズ」は、ラベルに生産者ジョン・クアリサの3人の子どもたちがビーチで遊んでいる姿がデザインされている、自らの孫の可愛さを歌い上げて90年代にまさかの100万枚を売り上げた演歌「孫」的なワイン。
私はかねて、生産者の公式サイトのトップ画像には生産者がもっとも大切にしているものが表れる、と提唱しているが、みなさんぜひquarisa.co.auをご覧いただきたい。トップに表示される画像、それはジョン・クアリサ本人が土かなんかをぶちまけている写真である。クアリサワインズとはジョン・クアリサという人物そのものなのだろう。
なんでもジョニーと妻のジョセフィーヌ、付き合い始めたの高校生の頃だそうですよ。高校生のころの恋人とそのまま結婚し、3人の子どもに恵まれ、家族で力を合わせてワインを造る。リリースするワインは、妻をイメージした「ミセスQ」に子どもたちをイメージした「トレジャーズ」、そして自身の名を冠した「ジョニー・Q」。現代においては、「10兆円持ってます」っていうよりもジョニーの人生のほうを羨ましく思う人が多いかもしれない。いいなあ、ジョニー。夢のような人生だな。
さて、このジョニー、ただの家族思いのオッサンではなくてワインメーカーとしても腕利きで、国際的なワインショーで審査員も務めるという人物。「トレジャース」はその経験を活かして海外で受けることを意識して造られたレンジで、そのシラーズはマクラーレンヴェイル産のブドウを使い、樽で16カ月の熟成後リリースされるとのこと。いざ、飲んでみよう。
「トレジャーズ シラーズ」を飲んでみた。
セラーが一杯なので冷蔵庫で雑に冷やしてスクリューキャップをくるくる回してグラスに注いで飲んでみたのだが、キンキンに冷えた状態でもしっかりと香りが出てくる。なんすかねこれ。アメリカンチェリーのパイ的な香り。
そして飲むと、Yeah めっちゃパワフルだなこれ。渋みが強く、酸味も強く、果実味も強いストロングスタイル。それでいて、とりあえず生ならぬとりあえず赤、が可能なほど冷やしてもイケる。冷やしておいしい赤の条件ってなんなんなんスかね。
温度が上がってくると渋みの輪郭が溶けていっていい具合に甘酸っぱ系になってきて、それまた非常においしい。チェリーとかバニラとか、ドライフルーツやスパイスが入った甘くないチョコとか、そういう印象で甘やかなのに甘くなくて飲みやすい。これ非常にいいな。2000円切る値段でこれはいい。
というわけで、安うまシラーMAP的にも当たりといえるワインであるのはもちろん、1000円台のおいしいワインという文脈でも高く評価できるワインと言えそう。成城石井に行かれた際は手に取って損はないと思います。