ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK33】

ブラインドテイスティングWEEK33に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。今週は白2、赤1の構成だ。

 

 ブラインドテイスティングWEEK33/1杯目

まずは1杯目。色は非常に薄めで、甲州以上、ピノ・グリ未満的なレンジが予想される。

香りはかなり特徴的というか、すごくいい香りがする。森のなかのリゾートホテルのいい感じの部屋に入ったらフルーツの入ったカゴがテーブルに置かれていました、みたいな清涼感&果実のニュアンスが漂う。

飲んでみても印象はそのままで非常に非常にフルーティで、飲みやすい。「フルーティで飲みやすいワインください」と店員さんにオーダーしてこれが出てきたらガッツポーズという味だ。初心者のころはまさにこういう味の白ワインが好きだった。

ただ、グラスの奥にはしっかりとアルコールの核みたいなものがあって、決してすごく軽いわけではない。果実がピアノ、酸がウッドベースでアルコールがドラムみたいな雰囲気。

候補のみなさんに集まっていただくと、
本命 ヴィオニエ
対抗 トロンテス
穴 ゲヴュルツトラミネールとかミュスカとか

みたいな感じ。で、ヴィオニエに非常に後ろ髪を引かれるけれども、今回はミュスカでいきたい。理由ですか? 勘ですね…!

フランス (アルザス)/ミュスカ/2022/12%


ブラインドテイスティングWEEK33/2杯目

続く2杯目も色はどちらかといえば薄め。アロマティック系なんでしょどうせ、みたいな色合いだが香りは1杯目とはまったく異なり、甘やか系列ではなくハーブ系だ。アルコールもしっかり感じられ、味わいの主体は酸。え、なにこれ。全然わかんない。

後味に少しの甘さがあってわずかにペトロール的な香りがするようなしないような。リースリングと答えたくなるけど先週出たしなリースリング。冷静に考えるとリースリングにしては粘性が弱い感じがする。

すっきりした酸がありつつ、あとあじには残り香程度の甘みもあって、印象はとても明るい。というわけでこれはヨーロッパの南のほうのワインなんじゃないすかね。スペインとかポルトガルとか。

となるとなんだろう。アルバリーニョはあるかもしれない。言われてみるとほんのわずかな塩味もある気がするし。海が見えるような気がしなくもない味だ。

ただ怖いのはソーヴィニヨン・ブランの可能性も普通にあること。ソーヴィニヨン・ブランは絶対に外してはダメなのでソーヴィニヨン・ブランと書きたい、という、テイスティングとは一切関係のない自分の弱い心との戦い、みたいになる。

あ、あとシャブリって言われても納得する。どうしようシャブリだったら。アリゴテ……いや、アリゴテのことは忘れる。アリゴテなんていない。

というわけで、
スペイン(リアス・バイシャス)/アルバリーニョ/2022/12.5% と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK33/3杯目

今日唯一の赤のグラスはやや濃いめの赤紫色。グラスのふちはわずかにレンガ色に変化していて、ほんのちょっと、目元の小じわレベルで熟成してる感じがする。

でもって香りはうーんこれはかなり特徴的だ。もちろん果実があって、石とか下草みたいな感じがあってと赤ワインの基本的な香りがしつつなのだが、私の鼻には海苔の佃煮と感じる香りが届く。

なんでも、ジメチルスルフィドなる物質はワインに含まれる場合があり、それは海苔の香りを放つのだそうだ。そのジネチルナントカの仕業なのだろうか…?

一旦海苔のことは忘れて考えると、液体は非常にやわらかく、渋み、酸味は穏やか。そして果実もちゃんといてとても飲みやすい。スパイスを効かせた牛すね肉の煮込みとか、そういう料理と合わせておいしそう。海苔とか言っといてなんだがとてもおいしいワインだ。

といった特徴から判断するとメルローなんですよこれ。メルローって海苔の香りする……? 

他の候補はマルベック(先週出題)、カルメネールなど。カルメネールと迷うという一点から、産地はチリに決めた。アルコールもしっかりとあると思う。

チリ(セントラルヴァレー)/メルロー/2018/14.5%

 

ブラインドテイスティングWEEK予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週もワインマーケット・パーティ公式SNSで正解が発表された。以下、結果を見ていこう。

 

ブラインドテイスティングWEEK33 / 正解発表:1杯目

予想:フランス (アルザス)/ミュスカ/2022/12%

正解:日本(北海道)/ケルナー/2021/12.5%
 


ケルナーーーー!!!(突っ伏して拳で地面を叩きながら)

いつか必ず出題されるであろう品種であり、そのときは必ず当てたいと思っていた品種だったが見事に外した。薄めの色、森の中の清涼感、フルーツの甘やかさ、飲みやすさ、酸、すべてがケルナーを指している言われてみればだけど。

ちなみに正解ワインはグランポレール 余市ケルナー2021。Amazonでは送料込みでタイミング次第では2000円を切るワインだが、このワインは素晴らしい。ワイン初心者が求めるケースの多い「フルーティで飲みやすいワイン」のド真ん中の味わいなので、そういうのを求める方は迷わずこれを選んでください。

 

ブラインドテイスティングWEEK33 正解発表:2杯目

予想:スペイン(リアス・バイシャス)/アルバリーニョ/2022/12.5%


正解:ニュージーランドマールボロ)/ソーヴィニヨン・ブラン/2022/12%
 

ソーーーーーーーーヴィニヨン・ブラン! また外した!

ソーヴィニヨン・ブランは「出題すると8割が正解する品種」であり、今回も65名中49名が正解されたそうだが私はこの品種を2連続で外しています。

なぜ私はソーヴィニヨン・ブランを正解できないのか。答えは簡単だ。「ソーヴィニヨン・ブランと書いて外したら恥ずかしいから」である。つまり自意識! 不惑を超えて、私はまだ自意識と戦っている!

さらに、「沼田店長がそう簡単にソーヴィニヨン・ブランとか出さないっしょ」という文脈テイスティングも調味料的にそこに加わる。まさに自縄自縛! 飛ばない豚はただの豚! 目の前のグラスに向き合わぬ者に勝利は訪れないんですよ!

 

ブラインドテイスティングWEEK33  / 正解発表:3杯目

予想:チリ(セントラルヴァレー)/メルロー/2018/14.5%

正解:フランス(ローヌ)/グルナッシュ&シラー/2015/14.5%

というわけで今回絶対に当てたかった品種を素で外し、外してはいけない品種をグラスと向き合わないことで外して私はリアス・バイシャスの海よりも深く反省している。3杯目もあれですよ。予想が旧世界、旧世界だったので最後のは新世界だろうみたいなうがった見方をした結果の不正解なんすよ。

ブラインドテイスティングとは世界にグラスと己しかいない世界でワインと向き合う擬似精神と時の部屋でありほぼ座禅なんですよ。色即葡萄酒なんですよ。思わざればソーヴィニヨン・ブランなり、思えばソーヴィニヨン・ブランならざりきってたしか世阿弥も言ってた。

今回は箸にも棒にもかからない12問中正解2問のみという惨憺たる結果となった。負けに不思議の負けなしとはまさにこのこと。大いに反省し、次回巻き返しを図りたい。