「いまでや銀座」で「ワイン選べる3種飲み比べ」2000円を試した
先日、JR千葉駅構内にある酒屋「いまでや」の角打ちに行ったところ気になっていた日本ワインをいくつか飲むことができて大変楽しい時間を過ごすことができた。私は東京に住んでいるので、次は銀座店に行きたいものだと思っていたところ都合よく銀座でぽっかり時間が空いた。となれば向かうはGINZA SIX地下2階のいまでや銀座一択だ。いまでやの創業地は千葉県千葉市仁戸名。私は中学校時代に野球部で仁戸名中と練習試合をしたことがあるので、いまでやとは縁がある(ない)。
日本酒とワインで埋め尽くされた店内の一角にある角打ちコーナーに陣取り、メニューを開く。日本酒のラインナップもいつもながら魅力的だが、私はワイン好き。「ワイン選べる3種飲み比べ」2000円税込をオーダーするしかないでしょうここは。そう決めた上で、脳内作戦会議スタートである。この3杯をどう構成するかによって、今からはじまる20分くらいの満足度は大きく変わる。
「ワイン選べる3種飲み比べ」まずはドメーヌ・ポンコツ「jaropy」を飲む。
まず、いまでやは日本ワインに力を入れているお店なので、日本ワインを中心に選んでいきたい。泡があれば、泡、白、赤の秋山・清原・デストラーデ的なクリーンナップを構成すれば事足りるのだが、生憎泡が選べない。となると、白・白・赤でいくか、白・赤・赤でいくか、というのがまず常識的な考えと言えるはず。いずれにしても最初は白じゃないですかね、無難に。ということで、まずはドメーヌ・ポンコツ「jaropy」をオーダーした。そりゃまあ気になりますよ名前が。名前! ってなる。どうしったってなる。
でもって注いでもらった「jaropy」を見ると、うーん、オレンジ。白っていうかかなり明確にオレンジワインですねこれは。調べたところドメーヌ・ポンコツは中伊豆ワイナリーで15年間ワイン造りに従事した松岡数人さんが山梨で造るワインなのだそうだ。
「jaropy」はデラウェアを5〜7日マセレーション、自然酵母を使ってステンレスタンクで発酵後、古樽で4カ月熟成させたワインとのこと。価格は1600円。グアバみたいな特徴的な香りがするわりに、味わいはドライで、むしろキリッとしてる。スッキリ飲めて悪くない。「jaropy」は、ポンコツ車、みたいな意味なんだそうだ。徹底的なポンコツへのこだわりである。
山梨ヌーヴォ・勝沼醸造のアルガーノ甲州2020を飲んでみた。
さて、jaropyを飲み干して一息つき、2手目以降の作戦を立てようとメニューに目を落とすと、あれこれ山梨のワインばっかだな。スタッフの方に聞くと、11月3日解禁の山梨ヌーヴォがいくつか開いているようだ。あらいいじゃないの。初物を食べると寿命が伸びるので、それで行ってみることとする。
まず試したのは、勝沼醸造のアルガーノ甲州2020。色は限りなく透明に近いイエローで、これはもう本当にイメージする通りの甲州の新酒、という味がした。ARUGANOってどういう意味だろうか、語幹的にはスペイン語、あるいはポルトガル語とか? と調べてもどうも出てこないのでおかしいなと公式サイトを見ると社長の名前が有賀さんとおっしゃるようだ。「有賀(さん)の(?)」という意味なのだろうか。謎である。
謎だがワイン自体はすっきりしておいしい。香りはグレープフルーツみたいなさわやか系。味も超スッキリで淡麗な感じ。で、ほんのわずかに果実味があっていいバランス。
本日のベストグラス。酒折ワイナリー「にごり甲州 甲府地区」
さて今日のベストグラスは最後に飲んだ酒折ワイナリーの「にごり甲州」だった。これは抜群においしかった。3打席目に飛び出したホームラン感があった。
「甲州にごり」には地区違いで「甲府地区」「穂坂地区」「八幡地区」の3種類があるようで、これは「甲府地区」。公式サイトの商品説明を見ると、「甘味が多く苦味の少ない、バランスの良いフルーティな味わいです。普段ワインを飲み慣れていない方にも楽しんでいただきやすいワインです」とある。
実際、接客してくれた日本酒飲みだという女性スタッフの方も普段はワインを飲まないがこれはおいしくて飲むのだと教えてくれた。おいしいだけに人気で店頭ではもう完売。角打ちでだけの提供なんだとか。そりゃラッキーだわ。さすが甲府地区、武田信玄のお膝元である。それに東海大甲府は野球が強いしワインの話だった。
「甲州にごり 甲府地区」はセミスイートという感じで、かなりハッキリと甘い。甲州はこんなに甘い仕上がりにもなるのかとちょっと驚きだ。ただ酸味もしっかりあるので意外と飲み飽きずにスイスイ飲める。これはワイン苦手な女性とかにはピンポイントで起用していいんじゃないでしょうか。にごり、とあるが、日本酒の濁り酒のような明確な濁りはなく、私のグラスに注がれたものに関してはほぼ透明と言ってよかった。ブドウを中心としたフルーツのアロマオイルを温めました、人肌で。といった印象のやさしい香りもいいし。これは自分を甘やかしてくれる酒。
ワインはそれぞれ70mlとのことだが、とくに軽量するでもなくスタッフの方がどぼどぼ〜と豪快に注いでくれて、3種類楽しめて2000円ポッキリ。うーん、やっぱり楽しい。日本に角打ち文化があって良かった。というわけで楽しい気持ちでいまでや銀座での角打ちワインを終え、木枯し吹く銀座の街を後にしたのでした。また行きます。