「グラスで1杯飲んだだけ」も含めたおいしさベスト
先日、2021年に飲んでおいしかった3000円以下ワインのBEST10をまとめた。
そのときのレギュレーションは「単品価格3000円以下で購入し、自宅で1本飲み切ったものが対象」というものだったが、本記事は制約なし。
ワイン会や試飲会でグラスで一杯だけ飲んだものも含めた印象度から、今年度の赤・白・泡、それぞれのBEST3を選んでみた。さっそく行ってみよう。
【赤BEST3】シャトー・ローザン セグラ2017
マルゴー村のスーパーセカンド、シャトー・ローザン セグラ。エノテカのグラステイスティングで飲んだこれが今年の香りの良かったワインBEST1。マジでVR薔薇園あるいはメタバース薔薇園。
シャトー・ローザン セグラのオーナーはシャネル。マリリン・モンローは就寝時になにを着るのかと問われてシャネルの5番と答えたというが、同じ質問を私がされたら「シャトー・ローザン・セグラです」と真顔で嘘をつきたいレベルの香りの良さ。2017とヴィンテージが比較的若いこともあってまだまだ本領発揮してないんだろうけど、香りはすでに素晴らしかった。
【赤BEST2】キスラー ピノ・ノワール ソノマコースト ボテガ ヘッドランズ キュヴェ エリザベス2004
カリフォルニアのピノ・ノワール、その2004VTを飲み比べるという素晴らしいワイン会でいただいた1杯。カリフォルニアワイン観が覆されるすさまじいワインを多数いただいたのだが、いずれ劣らぬ素晴らしいピノ・ノワールたちのなかでも私が一番好みだと感じたのがこれ。
ブルゴーニュのピノ・ノワールのようなエレガントさがありながら、カリフォルニアでイメージされるような果実味もあってちょっと異常においしかったのだった。「おいしさ」という意味ではこれが2021年もっともおいしかった赤ワインだった気がする。
【赤BEST1】ラファエル・ギュイヨ レ・ザット 2019
今年のベスト赤ワインがこれ。数年ぶりに会う友人と、友人母の手料理とともに昔話に花を咲かせながら飲む、という至高のシチュエーションだったことが下駄を履いてるのは間違いないが、それを抜きにしても素晴らしいピノ・ノワールだったと思う。
30歳前後とまだ若い女性醸造家がつくる自然派ワイン。格付けはヴァン・ド・ペイながらその味わいは繊細。それでいて親しみやすさもあって、忘れ難い1本となったのだった。次のヴィンテージが楽しみだなあと月イチペースで検索してる。2022年が楽しみな理由のひとつがこのワインの存在だ。
【泡BEST3】パルメ ヴィンテージ 2012
グラスで1杯飲んだだけながら深く印象に残った1杯。後述するシャトー・ジンコ会の乾杯用のシャンパーニュで、その日の主役ではまったくない完全なる前座的立ち位置だったのだが「えっちょっと待ってヤバくないすかこれ」みたいになる味がした。写真すらないのだが、素晴らしかったという一瞬の記憶が鮮明に残る。
長らく「ふさわしいパートナーが見つからなかった」みたいなことで日本に入ってきていなかったというパルメ。来年もっと人気になりそうな気がする。
【泡BEST2】ドン・ペリニヨン 2008
夏に参加させていただいた2008シャンパーニュを飲む会でいただいた1杯。お前は語彙力をどこに置き忘れてしまったのだと問い詰められそうだがうまいの一言だったんですよこれがまた。ドン・ペリニヨンを飲んだのはこれが2回目なのだが、私には果実と酸味の印象が強くあり、なんかこう、高嶺の花的な印象とは裏腹にすごくとっつきやすさを感じている。
ちなみに私は2021年もカルディ、成城石井などでドンペリが当たるワインくじを買い続けたが、いまだドンペリ先輩にはお目にかかっていない。当たったら飲みましょうねみなさん。
【泡BEST1】シャルル・エドシックNV
泡部門のBESTはシャルル・エドシックのスタンダード、ブリュット レゼルヴ。それも亀戸の名店・デゴルジュマンで飲ませていただいた秘蔵の「旧ラベル」だ。やばかったなぁこれ……。
飲んでいるのはよく冷えた液体なのに香りはあつあつのクリームブリュレ。今年はほかにも良い、プレステージな感じのシャンパーニュもいくつかいただいたのだがこれがベストだった。調達、保管、サーヴまで含めて素人では真似ができない専門店でしか飲めない味だと感じられたのも最高。2022年はデゴルジュマンにもっと行きたい……!
【白BEST3】ジー・バイ・ユリグサ ブラン2020
私が事務方でお手伝いした、醸造家・百合草梨紗さんをお迎えしてのシャトー・ジンコ会。そこで供された白ワイン、ジー・バイ・ユリグサ ブランが強烈においしかったのだった。
価格は2000円台ながら、のちにプロ球団のエースになる投手が高校時代に投げていたストレート、みたいなのびのびいきいき、そしてポテンシャルを感じる味わい。1本飲んでたら確実に今年の3000円以下ワインBESTに名を連ねていたであろうワインだった。
ワイン会といえば2021年は主催ワイン会「ヒマワイン会」も実施したのだった。こちらでみなさんに持ち込んでいただいたワインもどれも素晴らしく、割と1本1本すべて明確に記憶しているのだが、いかんせん給仕をしながら飲んだこともあって甲乙をつけがたく、今回は対象外とした。あのワインとかこのワインとかすごかったんだよな……。
【白BEST2】ラディコン リボッラ
気を取り直して白のBEST2は恵比寿の居酒屋でグラスワインをおまかせで頼んだら出てきた1杯。うまかったなぁこれ……。
見た目は完全にオレンジですらないロゼの風情なのだが使っているのは白品種のリボッラジャッラということで白ワインのランキングに入れてみたのだが、なんといっても特徴的なのはその酸味。非常に強い酸味がありながら、すっぱみよりも強い旨みだけが余韻として残る「うまずっぱい」としか言えない唯一無二の個性があった。
【白BEST1】オーベール シャルドネ ソノマカウンティ リッチーヴィンヤード2004
ラスト、赤、泡、白を通じて今年飲んでもっともおいしかったワインがこちら。
赤部門2位のキスラーのキュヴェ エリザベスを飲ませていただいたのと同じワイン会で「前座」として登場したワインだったのだが前座どころではなく、ナウシカが蒼き衣をまといて降り立った金色の野、みたいな味がした。ワインには腐海を浄化する作用があった……?
どんなブドウをどのように醸造していかに熟成させればこのような液体ができあがるのか私にはわかる術もないが、ただただこの地球に存在してくれてありがとう、むしろ地球にありがとう、という存在感。こういうワインを2022年も飲みたい。普段は1000円のワインを飲んで、たまにドカンと偉大なワインを飲む人になりたい。
というわけで以上9本、どれもおいしかったのだった。2022年もおいしいワインがたくさん飲めますように。
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【番外編・甘部門】