ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ドメーヌ・モン「モンペ2021」ファイナルヴィンテージを迎えたワインを飲んでみた。

ドメーヌ・モン「モンペ」と私

2021年の大晦日にドメーヌ・モンの「モンペ」を飲んだ。

モンペは私がワインにハマった大きなきっかけのひとつ。ワインという素晴らしい世界への扉を開いてくれた大空翼に対するロベルト本郷的ワインだ。なにを言ってるかわからない人はお近くのアラフォー男性に聞いてみてください。

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ドメーヌ・モン モンペ2021を飲みました。

そんなモンペを年末に飲むことでワインそのものへ感謝し新しい年もおいしいワインが飲めるよう祈りを捧げるという独自の風習・因習が今まさに生まれようとしていたのだが、残念ながらモンペは2021ヴィンテージを持って生産終了となることが発表された。2021年でもっとも悲しかったニュースがこれ。

 

ドメーヌ・モン「モンペ」は2021がファイナルヴィンテージ

この件に関しては、長野県にある横川商店のブログが詳しい。なんでも、「契約栽培農家さんの一軒がやめられることが一番大きな理由」なのだそうだ。

 

himawine.hatenablog.com

「モンペ」はドメーヌ・モンの山中敦生さんが自園のピノ・グリが十分に生育するまでの間、買いブドウで仕込んでいたというワイン。調達先もドメーヌがある余市町登地区の契約農家にこだわっていたはずなので、2016年の独立から2022年で6年、ピノ・グリが育ってきた今、つまり役割を終えたということだと思う。

私は恥ずかしながらピノ・グリで造られたドメーヌ・モンのフラッグシップ、「ドングリ」を未飲なのだが、生産者がピノ・グリ1本で行きたいと考えている以上、そうするのがなによりだ。好きなバンドが最近ライブで昔の曲をやらないのがちょっと寂しい、みたいな思いを抱きつつ。でも昔の曲ばっかりだとバンドとして進化していけないんだというメンバーの気持ちもわかるしファンとしては見守っていくしかないのだワインの話だった。

 

ドメーヌ・モン「モンペ2021」はどんなワインか

さて、前出の横川商店のブログによれば、2021ヴィンテージは好天に恵まれて例年よりも主品種であるナイアガラの糖度が高いそう。そして、ビオロジックで栽培されたナイアガラに加え、慣行農法のケルナーを25%ブレンドして造られているそうだ。ケルナー、調べてみたら黒ブドウのトロリンガーとリースリングの交配種なんだそうで、トロリンガーは知らない品種だったが「適度な酸味を持ち、フルーティーなイチゴとほのかなスモーキーさを持つライトボディのワインを生み出す傾向がある」とwikiにある。

私がモンペを飲むのは3ヴィンテージ目。2020ヴィンテージはナイアガラ100%だったが、モンペ2021、ファイナルヴィンテージの味わいはさてどうか。早速飲んでみよう。

 

ドメーヌ・モン「モンペ2021」を飲んでみた

晦日の夜、北海道産の巨大なホタテ、北海道産北海縞海老といった北海道つまみ軍団を準備し、万端の準備を整えてグラスに注いで驚いた。めっちゃオレンジ。昨年ヴィンテージはみかんを絞ったような色、という感じの薄めのオレンジ色だったが2021ヴィンテージは100%オレンジジュースみたいな明確なオレンジ色をしている。

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かなりオレンジ。

発泡はかなり弱めで、グラスの底から泡が立ち上がる感じはほとんどない。ただ、飲んでみると過去3ヴィンテージのなかでもっとも果実味が強いような感じがする。アルコール度数が10.5%と例年より高いこともあって、甘みとかコクみたいなものが強い一方で、北海道のワインらしい酸味も豊かにあってやっぱりうまいなこれ!

色の印象そのものの、デコポンみたいな甘味と苦味と酸味が混じった複雑な味だ。初めて飲んだとき私の脳裏に浮かんだのはアンリ・ルソーの「夢」だったが、2021ヴィンテージの印象はゴッホの「ひまわり」。そこはかとない寂しさのなかに色彩の奔流があってこれは正しく飲む絵画。ファイナルヴィンテージ、これは完成形だと思う。

無濾過・無清澄なのでボトルの底にいくほど濁りが強くなっていき、ボトルの底のほうはかなりドロドロになっていくのだが、底にいくほど香りが強くなっていき、旨みもぐんぐん増していく飲む3日目のカレー状態

モンペ……もう飲めないのか。 酒を飲みながらやけ酒を飲みたくなる別れ話切り出された直後状態。やっぱり悲しいなああと2本買ってあるけど……。

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ボトルの底はドロドロだが舌触りも悪くなくふつうに飲めるしめちゃくちゃうまい。

ナイアガラは世界のワインの主流であるヴィニフェラ種ではなく、ラブルスカ種。世界基準ではないラブルスカ種でのワイン造りは日本ワインのガラパゴス化につながる、みたいな意見を私は目にしたことがあるが、この個性はほかで味わえるものではなく、むしろワイン文化の豊かさの証明だと私は思う。「モンペ」、色も香りも味わいもめちゃくちゃ個性的だけど、それでいてどこからどうみてもワインなのだ。決して変化球ではないと思うんです。

いずれにせよ、ワイン沼に沈めてくれたこの味を私は一生忘れない。ありがとう、モンペ。さようなら、モンペ。あとの2本、どなたかどこかで飲みましょう、一緒に。

ネットで買えるのはドメーヌ・モンのシードル「モンシー」だけでした。ご興味ある方はぜひ。

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