チャコリはどんなワイン?
昨夜はスペインはバスク地方のワイン、チャコリを飲んだ。銘柄はチャコリ専門の造り手だというイカ チャコリーナの「ゲタリアコ チャコリーナ ホワイト イカ」だ。HIKAと書いてイカと読む。
チャコリを飲むのは初めてなので調べてみると、食前酒として出される早飲みタイプのアルコール度数低め(9.5〜11.5度)のワインで、一般的には白ワインだが赤やロゼの品種も使用されるとある。
いっときは消滅の危機に瀕し、20世紀半ばには自家製ワインしか存在しなかったのが、1989年に3種のチャコリが原産地呼称認定を受けたことをきっかけに広く飲まれるようになったようだ。
イカ チャコリーナ を訪問してみた。
今日飲むワインの造り手の本拠地はDOゲタリアコ・チャコリーナのビリャボナ村というところらしい。どんなところだろう。気になる。というわけで、行ってみることにした(グーグルマップで)。
住所で検索して近くまで行って、ストリートビューに切り替えるとドドンと出てきたのがこのワイナリーの建物。
なにこれ超カッコいいじゃない。金融業で財を成した現代アートマニアの実業家が建てた美術館って言われても納得の外観。しかもこれ、どういうわけだか中に入れてしまうのだ。
見てくださいこの美しいステンレスタンクの数々。工場萌えの友人と深夜の京葉工業地帯を工場のオレンジ色の光とステンレススチールの輝きを求めてクルマを走らせた、今考えてもなんだったんだろうあの夜はという夜の記憶が蘇る、己のなかに眠る機械萌え心を呼び覚ますメタリックな設備。カッコいいなあ。見学に行きたい。
チャコリは、伝統的にはオークの大樽で造られてたのが、現在ではステンレスタンクで発酵が行われるのがほとんどだそうで、この設備を見るとなるほど納得がいく。ワイナリーの建物を含めた設備投資の規模からは、チャコリ人気も伺えるというものである。キテるな、チャコリ。
「ゲタリアコ チャコリーナ ホワイト イカ」はどんなワインか?
では昨夜飲んだ「ゲタリアコ チャコリーナ ホワイト イカ」はどんなワインかといえば、主に使われているのはオンダラビ・スリというブドウなんだとか。オンダラビ・スリは薀提羅美・透理と書く般若心経にも登場するインド原産のブドウでというのはもちろん嘘でバスク土着の品種であり、チャコリに主に使われるブドウなのだとか。それを80%、シャルドネが20%使われていると公式サイトの「VINOS」の項にある。発酵後、檻とともに6カ月熟成ののち、リリースされるようだ。
さて、ここで告白しなければならないのは、私はこのワインをごく普通にグラスに注ぎ、ごく普通に飲んだのだが、どうやらそれじゃダメだったっぽいということだ。
というのも、あとから調べたところによれば、チャコリは「エスカンシアール」と呼ばれる独特な注ぎ方をするものだそうなのだ。エスカンシアールってなに? と思われる方も多かろう、刮目せよ、これだっ。
なんでもこれはバスクの林檎酒「シードラ」を飲む際の注ぎ方の作法なんだそうで、これをチャコリにも使用するのだとか。これによりよく泡立ったものを飲むとおいしいようだ。
そしてさらに痛恨事。バスク料理に関して調べると、バスク名物のひとつにイカの墨煮があった……! そりゃ合うでしょ絶対。イカをつまみにHIKA(イカ)を飲む、この絶好の機会をスルーするとは……。
「ゲタリアコ チャコリーナ ホワイト イカ」を飲んでみた。
と、2大ミステイクを犯してしまったのでいつにも増して参考にならないことになってしまったが、私が感じた味わいは「日本酒っぽい」というものであった。「HIKA 純米無濾過生原酒 微発泡」とか書いてある和紙のラベルが貼られた水色の涼しげなボトルにこのチャコリが詰められていたとしたら「こんなにワインっぽい日本酒初めて飲んだ……!」とか言って赤っ恥を十分にかけるレベル。
もちろんおいしい白ワインの味がするのだが、微発泡であるからか、かすかな麹の甘みのような、なんていうんでしょうか、山田錦み、みたいなものがどこか感じられたのだった。
公式サイトによれば、「白い果実と柑橘系のアロマ、塩のハーブとミネラルの小さな香り」とのこと。これ、言い換えれば日本酒っぽいってことですよねちがいますかすみませんでした。
とにもかくにも、次回はしっかりエスカンシアールして飲んでみたいと思う、チャコリとのファーストコンタクトでした。今度は違うのも試してみよう。