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クロ・マルサレット ルージュ。ボルドーでナイペルグ伯爵がつくるお値打ちワインの味わいは? 【Clos Marsalette Rouge】

 クロ・マルサレット ルージュとナイペルグ伯爵

2020年に飲んで印象的だったワインのひとつにブルガリアワインの「エニーラ」がある。購入価格が2046円だったのだがあと47円仮に安く買えていたら2020年のベスト1000円台ワインはこれだったってレベル。

果実味しっかりなんだけどなぜかエレガントさもあるんですよこれが。ワイルドなんだけど上品でゲット・ワイルド・アンド・タフみたいな味がとてもおいしかったのだったので、エニーラのオーナーであるステファン・ナイペルグ伯爵がボルドーで手掛ける別のワインのなかから、比較的手頃な価格で手に入るクロ・マルサレット ルージュを試してみることにした。

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クロ・マルサレット ルージュを飲みました。

ナイペルグ伯爵に関して、詳しくは前の記事をご参照いただきたいのだが要するに貴族。父からワイン事業を継承し、ただ継いだだけでなくド発展させたという人物で、いわば貴族の息子がスタートアップ経営者みたいな才覚の持ち主だったっていうなにそれ無敵じゃんみたいな感じ。

ご本人の写真を見るとドイツ貴族らしい気品を備えた紳士で、そこはかとなくスーパーマリオ感があって見た目の段階で親しみがわくのも良い。わざわざ足で踏まなくても素手クッパを殴れるマリオみたいなイメージだ。強い。

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 クロ・マルサレット ルージュとナイペルグ伯爵のワイン造り哲学

さて、ナイペルグ伯爵は、本拠地のサンテミリオンに4つ、コート・ド ・ボルドー、ペサック・レオニャン、ソーテルヌ、南アフリカブルガリアにそれぞれひとつずつワイナリーを所有。今回はそのうちのペサック・レオニャンの「クロ・マルサレット ルージュ」を飲むことにした。ヴィンテージは2014。ヴィンテージチャートを見ると、「まあ、悪くないんじゃない?」くらいっぽい点数の年だ(WS、WAともに93)。

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ボルドー地図。ペールオレンジで示されてるのがペサック・レオニャン。(画像はwikipediあより。CC BY-SA 4.0)

その名もズバリのナイペルグドットコムには、このワインのヴィンテージごとのデータシートがしっかりあって、それによれば2014ヴィンテージはブレンドメルロー60%、カベルネ・ソーヴィニヨン38%、カベルネ・フラン2%。新樽率40%のオーク樽で18カ月澱とともに熟成させたとある。良さそうじゃないの。

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ナイペルグドットコムの「ワインメーキング」カテゴリによれば、ナイペルグのワインはブドウを破砕せず、重力で直接タンクに入れるって書いてある。また、各区画のブドウは分けて発酵を行い、樽熟成後にブレンドをするんだそうだ。醸造のテクニックのことは全然わからんが、なんだか手がこんでるっぽいことはわかった。ピジャージュは空気圧で行うそうです。それでどうなるかは知らん。

購入価格は3590円。私が普段飲むワインのほとんどは2000円台なのでちょい高いのだがきっと伯爵ならば価格相応のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。頼むぜ、伯爵! ピンポーン!(伯爵家の呼び鈴を鳴らす音)

 

 クロ・マルサレット ルージュを飲んでみた(初日)

というわけで抜栓して飲んでみる。グラスに注ぐとかなり濃い紫色。うーん、濃厚そう。で、香りをくんくん嗅いでみると衝撃が走るわけですよ。……ツナ? ワインからツナの匂いがすることってある? でもこれツナですね。他に似てる匂いはなにかと考えたけど、強いていえばツナサンド。つまりツナ。 マジでトンノ(イタリア語)。

で、不思議なもんで「ツナだから嫌だ」というわけでも全然ない。「ツナかよお前笑」みたいに楽しい気持ちになるだけなのワインならではだよなあと思うわけだがそろそろ「ツナ」という文字の形状がゲシュタルト崩壊してきたので話を先に進めてみよう。そしてもちろんマトモな嗅覚・味覚の持ち主が味わえばもっと正統で奥深い表現になると思われることを付言しておきたい(私は以前耳鼻科の医師に『君は鼻の穴がダメだね』と言われたことがある人間です)。

飲んでみるとおお、樽。酸味、渋み、果実味の要素が「樽」の支配下にある感じ。おいしいんだけど、どことなくワインのポテンシャルに蓋がされてるみたいな感じがする樽だけに。ごめん、いま寝てた? かけ直したほうがいい? みたいな感じ。「こち亀」の日暮巡査のように、眠りから覚めてワインがまだ寝ぼけてる感じがしたので、1/3ほど飲んで寝た。

 

クロ・マルサレット ルージュを飲んでみた(2日目)

目が覚めて1日働き終えて再戦して驚いた。昨日のツナはなんだったんだ。っていう濃厚なブドウな香り。昨日寝ぼけてムニャムニャだった伯爵が、今日はオーダーメイドの一分の隙もないスーツに身を固め、どうだい私の造ったワインはおいしいだろうとウインクしてくる映像が脳裏に浮かぶ。これあれ。サラリーマンものの漫画とかでよくある掃除のおじさんが実は社長だったってパターン。ワイン単独で飲むと酸味と渋みが強く感じられるけど赤身の牛肉と合わせたところ肉の脂で酸味と渋みが調和して、奥から果実味がかつての東映映画のオープニングの磯に打ち寄せる荒波のごとくにやってきてすぐに去っていく。うーん、おいしいわこれは。3590円税込の価値があるかと問われれば余裕でありますと即答できる。

ナイペルグ伯爵、やっぱりいいな。エニーラは開けた瞬間からおいしかったが、さすが値段が倍近くするだけに、ポテンシャルを発揮したあとはこちらのほうが味わいのスケールが大きい感じがする。どっちもおいしいけど。

というわけで、ナイペルグ伯爵のつくるワインはやっぱりおいしい、ということが確認できたのだった。さくっと買えて飲める銘柄はあとシャトー・デギーユを残すのみ。4000円くらいするそれにいくか、2000円台で買えるそのセカンド、ムッシュー・デギーユ(名前が素晴らしい)に行くか、それが問題だ!