フランチャコルタはどんなワインか?
フランチャコルタ? あれだよあれあれ、イタリアの。泡が出るやつ。プロセッコみたいな? スプマンテの一種だったかな? とにかく泡。イタリアの。ははははは、ところで昨日カープ・ジャイアンツ戦観た? と、もしわたしが誰かにフランチャコルタとはなんぞやと問われたならば以上のように適当にごまかした挙句に野球の話に持ち込もうとするだろう。つまりまったくわからない。わからないことをわからないままにしておくと人間は進化しないので今回はフランチャコルタに初トライである。なので本稿はややマジメにお勉強モード。ぜひ、お付き合いください。
「フランチャコルタ公式サイト(www.franciacorta.net/ja/)」を中心に調べたところによれば、フランチャコルタの定義は、ロンバルディア州のフランチャコルタ地域で造られる瓶内二次発酵のスパークリングワイン。16世紀頃からワインが盛んに造られていたこの土地でスパークリングワインが造られるようになったのは意外と最近の1961年のこと。グイド・ベルルッキワイナリーが造ったヴィノ・ディ・フランチャコルタが成功をおさめ、1967年同名の統制原産地呼称・DOCを獲得。さらに1997年には瓶内二次発酵スパークリングワインとしてイタリアで初めて統制保証付原産地呼称DOCGを獲得し、今に至るというヒストリー。スペインのカバも、もともとはスティルワインを造っていた土地で泡を造って大成功っていう歴史があったはずなので、それに近しいストーリーに思える。戦後、プラスティックに需要を喰われた陶器の笠間焼が実用品から工芸品へと舵を切って成功、みたいなストーリーにもちょっと似てる。安土・桃山時代には存在せず、1959年に観光資源として鉄筋コンクリートで造られて今や景観の一部となった熱海城にも一脈通じるものが……ないな。熱海城は関係なかった。
ちなみに、ワインショップ「トスカニー」によれば、スティルワインを造っていたグイド・ベルルッキに泡づくりを提案したのはフランコ・ジリアーニという人物で、彼はシャンパーニュが大好きでシャンパーニュを研究していたのだとか。偉大だなあ、シャンパーニュ。
フランチャコルタとフランチャコルタ・サテンの違いは?
さて、今回飲んだのは、「コルテアウラ サテン」というフランチャコルタで、CAVE DE L NAOTAKAの「よりどり贅沢ワイン3本 カスタマイズセット」6980円のうちの1本。ワインについて調べると「コルテアウラ サテン」の「サテン」はこれてっきりサテンのような柔らかなテクスチャー……みたいな感じではなくてただの区分だった。区分とは、以下のようなものだ。
【フランチャコルタ】
ブドウ……シャルドネ/ピノノワール/ピノビアンコ(50%まで)/エルバマット(10%まで)
熟成……18カ月以上熟成、ボトル内圧5~6気圧、出荷は収穫後25カ月以降
【フランチャコルタ サテン】
熟成……ボトル内圧5気圧以下
ドザージュ……ブリュット
「コルテアウラ サテン」はシャルドネ100%のシャンパーニュでいうブラン・ド・ブラン。二次発酵時の砂糖添加量を抑えることで、泡立ちは弱くなるけれども、その分味わいは繊細で、イキイキとした泡立ちになるんだそうな。40カ月もの間セラーの中でオリとともに熟成され、リリースされるその味わいは、公式サイトによれば「絹のよう」とのこと。サテンだっつってんのに絹かよ、と一人ツッコミを入れるもをかしである。
フランチャコルタ コルテアウラ サテンを飲んでみた。
さて、このコルテアウラという造り手もすごく興味深いのだが長くなるのでまた次の機会にゆずってもう飲むぞと抜栓してみると、5気圧以下とあるけれどもスポンと手に伝わるガス圧は意外と強めな気がする。グラスに注いでもしっかりと泡が立つ。でもって飲むとこれはもうおいしいの一言です。断言できるがこれをシャンパーニュだと言われて出されたら私の知識・経験・感覚器ではそれを疑うことは100%不可能だ。「やっぱりシャンパーニュにはシャンパーニュにしかない味わいがありますよね」かなんか言って赤っ恥をかき、泣きながら地元の焼き鳥屋で焼酎ハイボール飲む、みたいな事態になるのは必定だ。おいしいからいいです僕は。公式サイトによれば、その味わいは「色は麦わら色、味わいは柔らかく、繊細でクリーミー。熟した果実の独特の香りがあり、白い花とナッツ、ローストしたアーモンドとヘーゼルナッツの微妙な香り」とのこと。まさにそんな感じで、すごく好みの味だった。おいしいじゃない、フランチャコルタ。
イタリアの酒販サイトで調べると1本18.5ユーロで売られているから、3本で6900円、実質1本2300円(税込み2559円)はほぼ現地価格レベル。というわけで、なにかと大満足なフランチャコルタとの初顔合わせとなったのでした。