イタリア・ラツィオの白ワイン「ドンナルーチェ」
なぜこのワインを買ったのかの経緯をまったく覚えていないのだが我が家に「ドンナルーチェ ポッジョ レ ヴォルピ」というワインがあったので飲むことにした。絶対過去にあったことがあるんだけど名前とかプロフィールがまったく思い出せない人と飲み会で同じテーブルになった、みたいな感じである。つまりもう飲むしかない。
一体なんで買ったのか、ボトルを眺めて思い出そうと手に持つと、なんだこりゃこのボトルめっちゃくちゃ重い! お値段は購入ショップのトスカニーで2552円と高くないのだが、なんですかこの重さは。グラスに注ぐことが軽めのワークアウトになりそうなほどの重量感。
ためしに自宅のキッチンスケールに乗せてみると出ました驚異の1939グラム。ちなみにドンペリの重さが1671グラムだ。
ドンナルーチェ、それはドンペリよりも重いワイン。ちなみにドンナは女性、ルーチェは光で、ラベルには女性の顔と太陽がデザインされている。1939グラム、それは情念の重さ。
ドンナルーチェはどんなワインか
さて、ポッジョ・レ・ヴォルピの公式サイトを訪ねると、おお、日本語対応してる。なんでも創始者がローマ郊外で約1世紀前にワインの量り売りをはじめ、今はその息子と孫が事業を受け継いでいるそうだ。
で、ドンナルーチェはIGPラツィオの白ワイン。使用ブドウはマルヴァジア・デル・ラツィオ、グレコ、シャルドネ。マルヴァジア・デル・ラツィオはワイナリーの本拠地周辺が名産のブドウなんだとか。ムスクやアプリコットの香りがあり、残糖が高いことから甘口ワインやスパークリングにも使われるみたい。え、てことはアロマティックな感じなんですかねこのワイン。
グレコはジャンシス・ロビンソンが「ヴィオニエに似た香り」と評した品種なんだそうでこれまたアロマ系。モモや若葉の香りだそうだ。さらにシャルドネは遅摘み。
Vivinoでの評価も確認してみると、4.1点と非常に高い。なんかこう、ボトルの太陽のイメージから濃厚なシャルドネ的味わいを勝手にイメージしていたのだが、ピーチ、メロン、アプリコット、ライチ、パイナップル、レモン……みたいな感想が多いようだ。アロマ系だなこりゃ。2キロ近い激重ボトルからのアロマ系っていうギャップがいい。
ドンナルーチェを飲んでみた
というわけでドンペリ超えの重さなのでセルフお酌の体で両手で注いで飲んでみると、薄めの黄金色のキレイな液体から香ってくるのはこれピーチですね。そして飲んでみるとなるほどマスカット。別荘のテラスで日光浴中の貴族が飲んでる氷で冷やした湧き水に桃とマスカットを浮かべた贅沢なチェイサー、みたいな印象だ。
レシピは水、氷、桃、マスカット。トッピングにレモンスライスとミント。あとなんかその辺に自生してるベリー。その世界観をワインで表現したらきっとこんな味になる。夏、木漏れ日の下でキリリと冷やしたこれを飲んだらさぞかしうまかろうという味だ。さぞかしうまかろうなあマジで。以上の要素のなかで私が持っていないのは別荘だけなのでどなたか私をこの夏別荘に誘ってください。ワイン持っていきます。
2000円台のオススメアロマティックな白ワイン、というカテゴリはここまで私のなかで空位だったけど、これはピッタリそこにハマるワインと言えそう。1000円台アロマ系ベストのヴィリエラジャスミン的な飲みやすさがありつつ、2000円台半ばならではの存在感を伴う重さ、みたいなものも備わっている。いいな。
結局この原稿を書き終えてなおなぜこのワインを手に取ったかを思い出せないのだが、ワインの世界の入り口に置いておきたい飲みやすさ抜群のワインで、とにかく買って正解だったのだった。にしてもなんで買ったんだろう本当に。
おいしいけど環境のことを考えると軽いボトルにしてくれたらもっといいな。
おいしい白ワインといえば南アフリカのウェホフがセットで安い。