2021年のワイン福袋、どれを買えばいんだ問題
さて新年の買い物といえばなんといっても福袋だ。私も2020年末から情報を収集してどれを買おうかいろいろ考えた。しかし、調べるとあれもこれも魅力的に見え、同時に果たしてこれは本当にお得なのかと疑心暗鬼を生じもし、カートに入れては出しを繰り返しているうちにわけがわからなくなったので購入そのものを見送ることにしてワイン飲んで寝た。
さて、目が覚めて改めて考えるとやっぱり年の初めに福袋的なワクワク感は味わいたい。そこで、一定の予算を決めて自分で福袋を作る、クリエイトする、という方向性にシフトすることとした。おやつは300円まで的に予算を決め、その範囲のなかである一定のテーマに基づいてワインを買う。買ったらなにを買ったかを記憶から消去、ワインが届いたならば「なにが入ってるんだろう、ドキドキしちゃうなあ」と脳内茶番を繰り広げた上で福袋気分を味わおうという戦略である。こうすることにより、要するにただ自分の欲しいワインを買うだけの話でありながら、あたかも1万円の福袋をふたつ買う的な気分になれるに違いないという論理が成立する。無限にあるツッコミどころからは目を逸らし、早速いってみようと思う次第だ。
テーマはふたつ。ひとつめはざっくり「おてごろフランスワイン」。もうひとつは「世界のおもしろワイン」。つまり正統派と変化球だ。予算はズバリ総額2万円とした。
「世界のおもしろワイン」福袋をつくってみよう。
まずは「世界のおもしろワイン」福袋から選んでいく。あえて定番でない商品を詰め合わせることで、福袋的ビックリ箱感を自ら演出しようという魂胆だ。新年から冴えてる。
さて、この福袋は楽天の「しあわせワイン倶楽部」で選ぶことにした。というのも、25年熟成のシャルドネ 、という面白いワイン「カリン・セラーズ キュヴェ・W」を目にしたから。ラベル不良で30%オフになっているのが2021年1月8日までの新春セールでさらに10%オフで4774円。なんでもすべてのワインを最低でも10年熟成させてからリリースするというどうかしてる(ほめてる)生産者のワインだそうで、写真を見るともう完全にオレンジっていうかハチミツとか琥珀みたいな色をしている。一体どんな味なんすかねこれ。純粋に知的好奇心を満たすためだけの買い物に4774円払えるのは1年365日あれども正月だけなので、このワインを軸に、予算1万円で「世界のおもしろワイン福袋」デッキを同ショップで構築していく。
続いて福袋にインしたのはドイツの生産者、テッシュのディープ・ブルー2354円。ピノ・ノワール(シュペートブルグンダー)で造る白ワインっていう「世界のおもしろワイン」ポイントでソツなく94点くらいを叩き出してくれそうなワインだ。3000円以下のおいしいピノ・ノワールを探すという本ブログのいくつかある趣旨のうちのひとつとも合致して一石二鳥のアイテムと言える。
さらに、カリフォルニアの樹齢100年を超えるムールヴェードルから造られるロゼ「クライン ロゼ ”エンシェント・ヴァインズ” ムールヴェードル」がワイナリーの在庫一掃で40%オフの1540円と投げ売りされていたのでそれもチョイス。ムールヴェードル単一のワインははじめてだ。
最後に、ワイン誌デカンター史上ソーヴィニヨン・ブランとしては最高点の98点を叩き出したというニュージーランドのワイン「ティンポット・ハット」1958円もピックアップ。「おもしろワイン」っていう趣旨から外れてないか? と思われるかもしれないが、「なんか趣旨から外れてない?」みたいなアイテムがしれっと混じっているのが福袋というものなのですみません大目に見てください。ニュージーランドのソーヴィニヨンブランっておいしいよね☆
以上4アイテムに送料を足して総額1万1296円。1万1000円福袋みたいなイメージで、25年熟成シャルドネ、ピノ・ノワールで造る白、樹齢100年ムール・ヴェードルロゼに史上最高点SB。おお、なんか「世界のおもしろワイン福袋」感ちゃんとあるじゃないの。そして楽しいなこの作業。パンがなければブリオッシュを食べればいいしこれだーっ! っていう福袋が見つけられなかったら自分で作ればいいじゃないのの精神である。マリー・アントワネットが存命だったら間違いなくこの作業やってる(やってない)。
「おてごろフランスワイン」福袋をつくってみる。
さて、続いては「おてごろフランスワイン」福袋をつくっていく。これはヴェリタスでブルゴーニュ2本、ボルドー1本をチョイスした。まずブルゴーニュだが、先日飲んでおいしかったマイナー村、ジヴリからダンジャン・ベルトーのラ・プラント・ルージュを選んだ。一級畑だそうですよマジかよ2590円税込だけど。なんだかすごく安いのはヴェリタス直輸入だからだそうだ。おいしいといいなあ。
もう1本もマイナー村で、フェブレの「メルキュレ ルージュ」2720円を組み込んだ。こちらもプルミエクリュがあったんだけど予算の都合で断念。このあたり、予算が決められている福袋の難しいところである。おいしかったら次回一級畑いこう。
そして最後の1本はボルドーだ。以前、ブルガリアワインの「エニーラ」が大変おいしく、それを手掛けたナイペルグ伯爵のほかのワインをずっと飲みたいと思っていたのでこの機に買おうとクロ マルサレット ルージュを詰め込んだ。
これが3590円とややお高めだったので、3アイテム合計で8900円(3900円以上なので送料無料)。うん、「ブルゴーニュ&ボルドー堪能福袋9000円!」みたいな商品だと思い込もうと思えば思うことが可能だ。イケる。カートに入ってて決済してなかったワインたちを福袋と称して買ってるだけ感なきにしもあらずだがそこは言わぬが花である。残り物には福がある。
ワイン福袋制作を終えて
さて、このようにして「世界のおもしろワイン福袋」と「おてごろフランスワイン福袋」2種の福袋が完成した。総額はしあわせワイン倶楽部の送料込み2万196円で合計7本。1本あたり単価は2885円となった。
それにしても、これ要するにただ自分の気になるワインを酔った勢いで夜中にポチポチしただけなのだが、「これは福袋である」と思い込むことにより決済のハードルが下がり、かつけっこうホンキで魅力的な福袋を2つ購入した気分になれちゃうワケですよ奥様。「想像力が権力を奪う」という言葉は村上龍の小説「69 -sixty nine-」に出てきた言葉で私はその言葉が好きだ。想像力があればなんでもできる。自分で自分に福袋を贈ることだって可能だ。
というわけで、私はこのふたつの「福袋」が各ショップから送られてくるのをいま心待ちにしている。早く来ないかなあ。いったいなにがはいっているのだろう(茶番)。