2021年4月、5月、6月と3カ月続けて「うきうきワインの玉手箱」の毎月1日限定の福袋を買った。どれも非常に満足度が高く買って良かったのだが、3カ月続けて買ったのでいったんお休みし、7月はカーブ・ド・エル・ナオタカが同じように1日限定で発売している福袋を買ってみることとした。ちなみに選んだのは白セットだ。夏だし。
今回の記事では、福袋になにが入っていたかの検証をまず行い、次いで福袋の仕掛け人であるカーブ・ド・エル・ナオタカの戸塚尚孝氏に福袋の秘密について聞いたインタビューを掲載したいと思う。さっそく行ってみよう。
【1本目】ローラン・コニャール「モンタニー プルミエ クリュ レ・バセ 2018」
さて、ではさっそく段ボールを開けてワインを取り出してみよう。まず1本目、出たのはローラン・コニャールの「モンタニー プルミエ クリュ レ・バセ 2018」だった。おお、いきなりの一級畑。ネットでは5940円で売られている商品で、ブルゴーニュのマイナー村のいい畑はおいしいという説を信じるならば大いに期待できそう。モンタニーって白に特化したアペラシオンだっていうし。幸先の良いスタートだ。
【2本目】ベルトー・ジェルべの「フィサン ブラン シャン デ シャルム 2018 」
続いて2本目も行ってみよう。いでよ!
と、出たのがベルトー・ジェルべの「フィサン ブラン シャン デ シャルム 2018 」。モンタニーに続いてフィサンとアライバの二遊間を思わせる渋い産地が続いた。
モンタニーが白特化なのとは逆にフィサンでは白が希少で、フィサンのスターだというベルトー・ジェルべも生産量の90%が赤ワインなのだとか。対比が面白いじゃないの。こちらも価格は5940円で、この時点で余裕の2本合計1万2000円弱ですありがとうございます。(ちなみにこのワイン、実はすでに飲んでいるのだがめちゃくちゃおいしかった。普段1000円台とかのワインばっかり飲んでるから当然かもしれないが年間ベスト白レベル)
フィリップ・ブズロー「ムルソー レ グラン シャロン 2018」
とはいえまだ福袋には1本が残っている。ラスト3本目も召喚してみよう。えいっ!
最後の1本はフィリップ ブズロー「ムルソー レ グラン シャロン 2018 」だった。価格は7480円。価格的にはこれがメインだろうか。私はワインブロガーなどと浮かれて自称しているがムルソーのワインを飲んだことがないので大変楽しみだ。
以上3本、すべてブルゴーニュの2018年ヴィンテージで単品合計価格は19360円。購入価格1万円のほぼ2倍ということになった。
額面的には無茶苦茶お得だが、一体なんでまたこのような価格で福袋は出すことができるのだろうか? その疑問に答えを出すべく、ここからの後半部分では仕掛け人の戸塚尚孝氏にインタビューしてみたいと思う。いってみよう!
戸塚尚孝氏インタビュー
ヒマ:「福袋」と「通常のセット」との違いはどのような点でしょうか?
ナオタカ: 福袋はそれ用に特別価格で仕入しているので常時はできません。そのためセットという名称ではなく福袋という名称にしています。
ヒマ:セットと福袋ではそもそも選ぶ商品が異なるということですか。では、福袋に入れる商品はどのように選定されているのでしょうか? 「福袋会議」みたいなものがあったりするのですか?
ナオタカ:最近ではコロナの影響で動きが鈍くなっているインポーター在庫をすべて買い取るなどして仕入額を抑える交渉をしています。そのため、モノによっては500本仕入れたり、少ないものは60本など仕入数はバラバラになります。選定は会議はせず(インポーターから)条件が出たらすぐに私自身が判断し買います。いいものが仕入れできたら福袋はできますが、そうではないときはできないんです。
ヒマ:福袋が「数量限定」なのはなぜなのか……? と考えていましたが、仕入数とも関連しているわけですね。
ナオタカ:仕入数に限りがありますからね。
ヒマ:そして在庫をすべて買い取るなどでそもそも安く仕入れられないと福袋そのものがつくれないわけですね。
ナオタカ:とくに有名ワインは価格競争が激しく利益はかなり薄いです。通常仕入では絶対に福袋には使えません。なので際限なく作れないのです。
ヒマ:ここで急に下世話な質問なのですが、7月の福袋の赤・白・泡ではどれがお得だったでしょうか? そして8月の福袋のヒントもこっそりいただけたりしませんか……?
ナオタカ:個人的な意見ですが、割引率は低かったですが白が良かったと思います。8月は仕入数が少なかったのでお早めにお買い求めを。そのうち1種は初めてのイタリア縛りなのでイタリア好きの方はぜひ!
ヒマ:最後に、福袋を買う際の注意点などありますか?
ナオタカ:損するものは絶対に入れていないので購入して間違いはないと思います。定価からの割引率はあまり気にしないほうがいいと思います。有名銘柄は価格競争で市場価格が下がっているので。
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以上、個人的には「福袋」という商品の特殊性がよくわかって大変興味深いインタビューだったのだった。なんでもワインの福袋は福袋用に仕入れを行うなど手間がかかるわりに薄利なのだそうで、戸塚氏いわく「日頃の感謝の商品です(笑)」とのこと。いいオファーがないとそもそも福袋自体を組めないわけだから、中身が“選べない”のも当然といえば当然だ。
なにが入っているかのドキドキ感が味わえて、お得感も味わえる。そして実際のところおいしいワインが入ってる確率も高い。今回の福袋にはなにが入っているのか、引き続きチェックしたい。
2021年10月の福袋はこちら↓