ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

これは白か、オレンジか!? ジョージアの「クヴェブリ発酵白ワイン」を飲んでみた。【Giuaani Rkatsiteli Qvevri】

ジョージアの白ワインを買ってみた

ジョージアのワインは赤を飲んだことがあったけど白は飲んだことがなかったな、とふと思ったので買ってみた。その名も「ルカツィテリ クヴェヴリ 2018 ギウアーニ」、と購入したカーブ・ド ・エル・ナオタカの商品ページには書いてある。

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ルカツィテリ クヴェヴリ 2018 ギウアーニを飲みました。

クヴェブリは前回ジョージアの赤ワインを飲んだときに調べたから知ってる。ワインを発酵・熟成させるために地面に埋めて使う卵形のつぼみたいなやつ。あとのルカツィテリ、と、ギウアーニはわからない。片方が生産者の名前で、片方が商標的なことだろうか。

himawine.hatenablog.com

 

さて、調べてみるとこのワイン、品種はრქაწითელიであることがわかった。読めないけど。カタカナにするとრქაწითელიはルカツィテリと読み、ブドウ品種のこと。つまり商品名のルカツィテリはブドウ品種のことだった。ルカツィテリをクヴェブリを使って発酵・熟成させてる感じなんですかね。

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ジョージア語で「勉学の基礎は辛いが、その結果は甘い」って書いてあるそうです。いいこと言うなあ。

 

ジョージアの人からみると、日本語もこんな感じでエキゾチックな印象になるんだろうなあ。文化の違いって面白い。リタイアしたら言語学でも学ぼうかしら。

 

ルカツィテリはどんなブドウ? ギウアーニはどんな生産者?

さておきではこのルカツィテリ、いったいどんなブドウなんじゃろうかと調べてみると英語のwikiページがあった。それによると、この「古代ヴィニフェラ」はジョージア原産のもっとも古いブドウ品種のひとつで「紀元前3000年にさかのぼるルカツィテリのブドウの種子が粘土製の容器から発見されている」とある。すご。

紀元前3000年っつったら5000年前ですよ2021年の今からすると。中国4000年の歴史のさらに1000年前にこのブドウを栽培していた人がこの地球上のどこかにいた。どこかっていうかジョージアにいたんだなあ、すごい。

さて、となるとギウアーニは生産者ということになる。調べると綴りはgiuaaniのようだ。「ローマ字読み」的な感じなのが面白い。ともかく綴りがわかったので名前で検索すると、まずはგიუაანი მეღვინეობაのインスタが出てきた。გიუაანი მეღვინეობა=giuaaniwineryみたい。
インスタは主に「ワイナリーの四季」みたいな内容。雑誌BRUTUSとかでもし「死ぬまでに行きたい世界の奇妙な庭」特集とかがあったら載りそうな庭がいい感じで行きたい。クヴェブリと思しきつぼも確認できるし。

www.instagram.com

そんなギウアーニがあるのはジョージアはカヘティ地方のマナヴィ村。ワイン発祥の地、みたいに言われるそうですねカヘティ地方。で、その地に1894年に設立されたのがギウアーニだそう。

ギウアーニ ルカツィテリ クヴェブリを飲んでみた

でもって今回飲んだルカツィテリ クヴェブリは「伝統的な製法」で造られた白ワインであり、クヴェブリで6カ月発酵させるとある。樽で熟成させたシャルドネを俗に樽ドネというけれどもこれはクヴェブリで発酵させたルカツィテリなのでさしずめクヴェルカ。その味わいやいかに。

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地面に埋められたクヴェブリのご様子(Levan Gokadze from Tbilisi, Georgia - Flickr.com)

ということでグラスに注いでみると限りなくオレンジに近いゴールド。ピンクゴールド、くらいの色なのかなこれ。白かオレンジかって言われたらかなり微妙な色だ。

なにをどうすればこんな色になるのか。公式サイトに詳しい造り方は紹介されていないが、クヴェブリのwikiを見るとクヴェブリを使ったワイン造りは大きく3つに分かれるそうだ。

1:クヴェヴリ内でブドウの皮、種子や茎(チャチャ)とともに数ヶ月間醸す(カヘティアンスタイル)
2:ブドウのチャチャ(搾りかす)を1/10ほど、茎は除いて入れて醸す(イメレティアン方式)
3:ブドウのチャチャの茎を含む1/3を入れて醸す(両者の中間)

今回のワインはカヘティのワインなのでカヘティアンスタイルだったりするのだろうか。わからないのでまあ飲んじゃいましょう、もう。

で、飲んでみるとかなりこれ特徴的な味わいですね。香りはふんわり薬草系。マテ茶とかのエキゾチック茶っぽい味わいと香りだ。さわやか! 果実味! 柑橘! みたいなご様子はなく、ひたすら滋味深い系の薬草系のお酒を1、2滴垂らしたましたかみたいなお味。

お刺身と、とか、鶏肉と、とかじゃなくてなんかこう、スパイシーなエスニック系の煮込みと合わせて寝業に持ち込んだ場合に真価を発揮しそう(ただ、2日目は一転かなりサッパリ系に変化し、ボトルの最後は濁り気味だった)。

ちなみにギウアーニにはクヴェブリ熟成をしていないルカツィテリもラインナップにあり、そちらの商品紹介には「白い花とシトラスの組み合わせ」って書いてあって、今回飲んだワインの印象とは完全にかけ離れている。ベースとなるワインが同じかどうかはわからないけど、クヴェブリのワインへの影響が小さくないことを予感させて面白い。たしかに、冒頭に引用したルカツィテリのwikiを見ると「アロマの中にスパイシーさと花の香りを持つ、酸味が際立ってバランスの取れた白ワイン」になるって書いてあったもんなあ。

というわけで、「樽の風味」ならぬ「クヴェブリの(あるいは“チャチャ”の)風味」を感じられる、興味深い1本だったのだった。ジョージアワインは2打数2安打で個性的。まだまだ奥が深そうなので、また飲みます。

 

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