ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

【ギィ・サジェ ロゼ・ダンジュ】不遇? ロゼ・ダンジュとその主要品種グロロについて調べてみた。 【Guy Saget Rose d'Anjou】

フレンチのランチで飲んだロゼ・ダンジュがおいしかったので調べてみた

週末にフレンチレストランで昼食を食べた。フレンチレストランでランチだってのに水を飲んでる場合ではないのだがあんまりガッツリ飲むわけにもいかない状況だったので、熟考の末グラスワインのロゼを375mlデキャンタでシェアすることとした。前菜はキッシュ、メインは若鶏のクリーム煮を選択。ここに冷やしたロゼは幸せへの特急券で間違いないでしょうどう考えても。

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ギィ・サジェ ロゼ・ダンジュを飲みました。

で、結果的にこれが大変おいしかった。キッシュにも濃厚な若鶏にもよく合った。なんならバゲットにも合った。残念な点は1点だけでそれは「もっと飲みたかった」という点なのでワインに落ち度はない。いやーおいしかった。幸せをありがとう、とボトルを見せてもらうと「ロゼ・ダンジュ」と書いてある。ロワールかどこかのやつだよねという曖昧な記憶しかなかったので、帰宅後に調べてみたら驚いた。ロゼ・ダンジュって……なんか評価、低くない!? (私の給料……安すぎ!? みたいなノリで)

ロゼ・ダンジュと主要品種グロロの評価が低い件

まずwinesearcher.comによる説明はこうだ。

「ロゼ・ダンジューは、フランス西部のロワール渓谷のワイン産地、アンジュー地区のロゼワインのアペラシオンです。一般的には、主にグロロー・ノワールから造られるより甘口のロゼワインのイメージが強いですが、現在ではその重要性は低下しています。特に、カベルネ・ダンジューのタイトルで造られるより複雑で真面目なロゼワインと比較すると、その傾向は顕著です」

なんだこりゃ。名指しで「重要性が低下している」と書かれているワインなんて初めて見たレベルですよこれは。「複雑で真面目なロゼワインと比較すると」ってひどくないですか。「優秀で真面目なお兄ちゃんと比較すると」ってそういう言葉に子どもは傷つくんだよ(次男)! さらに、メイン品種である「グロロ」について調べてみると、そのwikiにはこんなことが書いてある。

「本来は赤ワイン用の品種であるが、これで作った赤ワインはえぐみや酸味が強く、いわゆる刺激性強い香味で、その割にはこくのあるワインにならないため、現在はもっぱらロゼワインに作られている。大量生産され、フランスのロゼワインとしては最もポピュラーで、かつ安価なロゼ・ダンジュは、この品種を中心に作られている。」

ひどくないですかこれまた。先発では使い物にならないから仕方なく敗戦処理で投げさせてます。年俸も安いし。みたいな言い方ですよプロ野球の投手でいえば。グロロはカラスの羽に果皮の色が似ているからフランス語のカラスにちなんで名付けられっていうし、なんですかね、醜いアヒルの子感がすごいよカラスだけど。ただ一方、エノテカはこう説明してもいる。

「ロゼ・ダンジュは、ロワール地方の中のアンジュー地区で造られている、グロロ種を主体としたロゼワインプロヴァンスロゼ、タヴェルと並び、フランスの三大ロゼワインの1つとして知られています。淡いサーモンピンクの色合いで、チャーミングなアロマが特徴。特に女性に人気の高いロゼワインです」

さすがエノテカ。これから売ろうとするワインを実に簡潔に、美しく表現することに成功しているが、「赤ワインに使うとえぐみや酸味が強くてこくもない品種を用いた、複雑で真面目なロゼワインと比較すると重要性が顕著に低下しているワイン」ですって書いたら売れるはずがなかった冷静に考えると。 

himawine.hatenablog.com

ロゼ・ダンジュはその飲みやすさから1980年代半ばころまで大人気だったんだそうだ。しかし、その後のワインブームでは“複雑で真面目な”赤ワインなどに押されて需要は急降下、今に至る、みたいな感じのようだ。そういえばワイン初心者のころ(今もだが)、「ロゼは甘口というイメージから、敬遠する人も多い」みたいな文章を幾度か目にしたことがある。あれは、ロゼ・ダンジュのことだったのかもなあ……。

ギィ・サジェ ロゼ・ダンジュを飲んでみた

さて、ロゼ・ダンジュはAOC名で、ワインの名前はギィ・サジェ ロゼ・ダンジュ。AOCはもちろんロゼ・ダンジュ。生産者はサジェ・ラ ・ペリエールで、輸入元のサッポロビールによれば、ロワール河上流のプイィ・シュール・ロワールで8代続く家族経営のワイナリーで、当代に代替わりしてから急激な成長を遂げたとのこと。Googleマップで所在地も確認してみたが、なるほど発展した感がみなぎる外観をしていた。

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ロジェ・ラ・ペリエール(画像右)の急激に成長した感すごい。(画像はGoogleストリートビューの画面キャプチャ)

で、とにかく冒頭に挙げたように私はこのワインを大変おいしく飲んだのだった。コノスル レゼルヴァ ゲヴュルツトラミネールが終売となったいま、ワインを普段飲まない友だちとの飲み会枠に2番バッターとして採用すべしはこれなんじゃないかと思っているレベルだ。

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vivinoの点数も3.9点と高いんですよこれがまた

カラスの羽に似た果皮の色を持つグロロで造ったこのワイン、とにかくわかりやすく甘酸っぱい。そして飲みやすい。わかりやすい・のみやすい・そして端的に安いのやすい三拍子。トリプルやすい。ドライではなく、超ほんのりスウィートながら甘すぎず食事を邪魔しない。梅とかアンズのような酸味と甘味で。

私は日本酒は辛口が好きで、ビールもドライなやつとか水っぽいスッキリしたものが好み。コーヒーに砂糖は入れないし、清涼飲料水も基本的には飲まないが、なんでかワインだけは甘口に抵抗感がまったくない。むしろ好き。そこに適度な酸味が加わるともうたまらん、となる。

ただ、ここで大きく懸念されるのはこのワインをおいしいと感じたのはプロが作る卓越した料理と合わせたからこそのおいしさだったのではないかという点だ。そのあたりを検証するため、ボトルでも購入してみたいと思う次第。安いし。

それにしても、夏ごろまで私はロゼに苦手意識を持っていたのだった。今ではすっかりロゼ大好き。フランスではロゼは夏の風物詩だとなにかに書いてあったが、窓の外の紅葉を眺めながら日本の秋に飲むロゼも、どうしてなかなかいいものである。