ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ルーシー・マルゴーにヤウマはどんな味? 自然派ワインの試飲会に参加してみた。

神宮前のウィルトスワインで自然派ワインの試飲会があり、有名なルーシー・マルゴーも飲める、という情報をツイッター上で目にし、目にした5秒後くらいに予約した。自然派ワインに関する知見が私はなく、ここで一発、大いに知識を深めようという目論見である。

ちなみに私は自然派ワイン最高! 添加物なんて絶対NG! というタイプではまったくない。化学調味料を使ったものも、保存料、防腐剤、着色料が入ったものも、等しくおいしく食べる・飲む、が私の基本的生活信条であり、ましてワインの酸化を防ぐ亜硫酸添加は必要なんじゃないすかね普通に、というスタンスだ。

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さて、副都心線北参道駅からちょっぴり迷いつつ10分弱歩いて金曜の18時にウィルトスワインに入店し、参加費2900円を支払う。並べられているのは10種類の自然派ワイン。10種類もあるのすごいな。私のほかに参加者は3名。やや早めのスタートであることもあり、ゆったりと参加できたのはラッキーだった。

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ウィルトスワインで自然派ワイン10種を試飲してきました。

生産者名、国、飲んだワインの種別は飲んだ順に以下。

1 ラ・グランジュ・デ・ロンクル・シャルル(フランス・アルザス) オレンジ泡
2 ヤウマ(オーストラリア)ロゼ泡
3 クレタパッリャ(イタリア・カンパーニャ)オレンジ
4 ヴェガ・アイシャーラ(スペイン)オレンジ
5 スケルリ(イタリア・フリウリ)オレンジ
6 ルーシー・マルゴー(オーストラリア)ロゼ
7 ラ・ソルガ(フランス・ラングドック)ロゼ
8 ル・クロ・デ・グリヨン(フランス・ローヌ)赤
9 レミ・プジョル(フランス・ラングドック)赤
10 クレタバッリャ(イアタリアカンパーニャ)赤

さて、定刻となり、お店のスタッフの方の丁寧な説明を聞きながら、どれくらいですかね。1杯20mlくらいの試飲スタートである。

さて、自然派とはなんぞやということだが、農法においてビオロジックまたはビオディナミ醸造においては清澄、濾過を行わなかったり最小限しか行わず、亜硫酸の添加をしなかったり最小限にしたり、という感じ、厳密な定義はない、というのが一般論でしょうか。間違いがあれば訂正するスタイルで深く考えずにレッツゴーである。私はおいしければそれでいいリーグに属する者です。

1杯目はオレンジ泡なのだが、色味的には白泡といった感じ。色は薄いけどプレスはしっかりしているんだそうで、なるほどちょっと苦味を感じる。しかし酸味もしっかりあり、フレッシュで大変おいしい。

そしてビビったのは2杯目のヤウマ(キュヴェ名はピーク・ア・ブー)。これがめちゃくちゃおいしかった。色は「みかん色」といった感じなのだが飲むとまるでイチゴのような甘酸っぱさ。この味が嫌いな人類っているのかなっていうくらい人懐っこい味がする。お店から配布された説明書きにも「凄まじく美味しいスタイルに仕上がりました」と書いてあったが激しく同意だ。「凄まじく美味しいスタイル」ってすごいなしかし。というわけで2杯目にしてこれが個人的には今日イチであった。

3杯目「FORSE SONO FIORI」はイタリアはカンパーニャの造り手のオレンジ。品種はグアルダヴァッレで、アロマ系の品種らしく酸がしっかりあってすいすい行けちゃう系。

4杯目は亜硫酸添加でワインを造る生産者の共通キュヴェ「ブリュタル」。鎌を振るう死神のラベルが目印なんだそうだ。香りはお線香っぽい感じ。しかも、デイリーに使うやつじゃなくてお盆とかに登場する紫色とかの勝負お線香の香り。かなり特徴的な香りと味で「これは好き嫌いが分かれそうですね」とスタッフの方。御意です。

と、10杯すべての感想を述べていくとキリがないので以下は印象的なもの以外省略するが、明らかに味が違いますよね自然派と非・自然派って。スピードスケートとフィギュアスケートが同じ氷上で刃の付いたシューズを履いて行う競技でありながらその中身は異なるような別物感。

たとえば私は2杯目に飲んだヤウマのピークアブーがめっちゃおいしかったのだがじゃあたとえばシャンパーニュのボランジェとどっちがおいしいの? と聞かれたら「えっ……」てなる。仕事と私、どっちが大事なのよっ! 的な質問に感じてしまう気がする。答えはもちろん「両方」である答えになってないけど。女性に言ったらぶん殴られそうだけど。

ともかく「それあたりまえだから」と思われるかもしれないが、この自然派と非・自然派ではなにが違うって「味が違う」ということが今回の試飲会の最大の気づきであり学びだったのだった。そして私はこの日飲んだワインたちのフレッシュで総じて甘酸っぱく感じられるような味わいが好きだった。いやほんとおいしかった。

ともかく気になったワインに話を戻すと、次はやはりルーシー・マルゴーになるだろう。ピノ・グリで造ったロゼ。ピノ
・グリって白ワインのイメージしかなかったけど、ピノ・ノワールの変異種で果皮の色は黒ブドウっぽいからロゼにできるとのこと。これがまあ一口ごとに味が変化するような複雑味がなんとも楽しい。

そして8番目に飲んだローヌの赤、プリモ・センソ・ルージュはチェリーみたいな香りが実にかわいらしいチャーミングなワイン。飲んでみると酸がくっきりで、今回飲んだ10種のワインの最大公約数的な味わいがして、これも大変おいしかった。

こうしてうまいうまいと飲んでいるうちに、スタッフの方がプレゼンしてくれながらの10杯の試飲が終了。ああうまかった大満足だなあと思ったのだが早計で、そこから先は気になったワインを自由におかわりしていいというパチンコでいう確率変動状態に突入していったのだった。はい神イベ。

オーストラリアとタスマニアで修行し、ルーシー・マルゴーの醸造家、アントン・フォン・クロッパーらとも面識があるというスタッフの方に詳しく説明しながら飲むワインは本当においしく、ヤウマのピーク・ア・ブーに至っては確認と称して2、3回おかわりするという御行儀の悪さを前面に出し、結局これを購入して帰宅したのだった。楽しみすぎるなこれは。価格は4200円税別でした。

というわけで、なんのつながりもない初参加の私を実に温かく迎えていただけて、初めての自然派ワインの試飲会は大満足という結果となったのだった。ウィルトスワインの試飲会、また参加しようと思います。