ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ベー フランソワ ブリュット。成城石井のワインくじで当たったスパークリングワインについて調べてみた。【B.Francois brut】

ベー フランソワ ブリュットはどんなワインか?

先日、成城石井で開催されていたワインくじ「お楽しみスパークリングワインBOX」を2189円税込で購入したところ、定価2590円のB. Francois Brut Blanc de Blancs(ベー フランソワ ブリュット ブラン・ド・ブラン)が当たったので、早速飲んでみた。

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このワイン、成城石井の関連会社である東京ヨーロッパ貿易が輸入元なのだが、カタログ落ち商品なのか、成城石井オンラインショップには記載がない。名前で検索すると出てくるのはほとんどが、このブログがそうであるように、個人ブログだ。というわけで、がっつり調べてみる。

ベー・フランソワとソミュールの街と石灰岩の関係

さて、このベー・フランソワの造り手はカーヴス・エリザベスだと裏ラベルに書いてある。なのだが、カーヴス・エリザベスの公式サイトすら出てこないんですよこのインターネットの時代にあって。入手可能な情報はラベル裏に記載された住所のみ。そこには「49400 saumur」と書いてある。ロワール地方にあるソミュールという都市だ。ココ・シャネルの出身地だそうです。そうですか。

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成城石井のワインくじで当たった「ベー・フランソワ ブリュット ブラン・ド・ブラン」を飲みました。

ちょっとだけ手掛かりが見つかったので調べると、ソミュールの街の家はほとんどが壊れやすいチョーク質の石灰岩で作られているのだそうで、石灰岩を採掘するために掘られたトンネルが、ワインの保管場所として利用されているという。おっ、いい情報じゃない。チョーク質の土壌とそれを掘った後のトンネルをワインの貯蔵に利用している地方といえばシャンパーニュで、まさかの共通点が見つかった。

いいぞいいぞと調べると、瓶内二次発酵によるスパークリングワイン造りも盛んなんだそうで、シャンパーニュとの共通点その2も出てきた。悪くなさそう感が出てきたぞベー・フランソワ。そして、ソミュールはシュナン・ブランの名産地であることもわかった。

ベー・フランソワはどんなブドウから造られているのか問題

信頼できるかどうかまったくわからない海外サイトによれば、ベー・フランソワはシュナン・ブランから造られているのだそうだ。ただ、他のサイトによれば「シャルドネブレンド」とも記載されているので、可能性は3つ。

・シュナン・ブランで造られた瓶内二次発酵のスパークリングワイン
・シュナン・ブランとシャルドネで造られた瓶内二次発酵のスパークリングワイン
・それ以外

である。他のソミュールのスパークリングワインの使用ブドウを無作為に調べると、シュナン・ブランだけというのはあまりないようで、シャルドネカベルネ・フランカベルネ・ソーヴィニヨンとのブレンドというのもあるようだ。使うブドウはシャンパーニュと全然違う。勉強になるなあ。

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いずれにしても、ラベルにブラン・ド・ブランとあるので白ブドウしか使われていないはず。わざわざその土地の特産のシュナン・ブランを使わない理由もない気がするので、おそらくシュナン・ブランがメイン、そこにシャルドネなりソーヴィニヨン・ブランなりを足してる、みたいなところではないだろうか……と思っていたら、驚くべきことがわかった。

自分で調べるのと並行して品種に関する問い合わせメールを送っていた成城石井のお客様相談室から丁寧な返信があり、使用ブドウが判明。シャルドネ、トレッビアーノ、チャレッロ、パレリャーダ、マカベオのブレンドなんだそうだ。シャルドネはいいとしてトレッビアーノはイタリアでよく使用される品種というイメージ、チャレッロ、パレリャーダ、マカベオに至ってはアンタらカバの主要品種じゃないの! つーか誰だよシュナン・ブラン主体に違いないみたいに言ったのは。おれだよ。うーん恥ずかしい。でも徳川家康が三方ヶ原で武田信玄に惨敗後、しかめっ面で憔悴しきった自分自身の絵を描かせ、慢心の自戒として生涯座右を離さなかったという故事にあやかって削除せずにそのまま残すこととします。

いずれにせよ、上記3つの選択肢のうち、正解は3つ目の「その他」であった。フランスのワインでもカバに使うブドウとかを使うんだなー。ベー・フランソワ ブリュットは学びに満ちている。丁寧にご回答いただいた成城石井お客様相談室の方、並びに輸入担当者の方に感謝である。瓶内二次発酵かどうかを質問するのを失念していたため、そこだけ不明だ。

【追記】

記事公開後、ツイッターで「ラベルにmethode traditionelleと書いてありますよ」とご指摘いただいた。完全に見落としていた。「まさに木を見て森を見ずでした!」と返信したが、考えてみると森を見て木を見ず、って書けば良かったなあと今思っている次第。ともかくこのワインは瓶内二次発酵であることがわかった。

ベー・フランソワ ブリュットを飲んでみた

さて、品種もわかったところで飲んでみると、これが全然悪くない。一言でいうならば、シャンパーニュっぽい繊細な泡立ちにカバっぽいフルーティな味わい、といった感じ。カバ品種をブレンドしたフランスのスパークリングワインです、という感じがたしかにする。うーん、飲みやすいとしか言いようがない。リンゴみたいな風味で。

そして、あまり期待せずに抜栓したため、手元につまみの類がなにもなく、仕方なしに無塩クラッカーを単品で合わせたのだが、恐ろしいことにこれによりトースト感がプラス、さらにジェネリックシャンパーニュ感が出てきた。

瓶内二次発酵由来っぽい細かい泡、トレッビアーノやカバ品種を加えたことによる(かもしれない)さわやかさ、そして酸味料(クエン酸)由来なのかどうなのか、すっきりした酸味で、普通に楽しめてしまった。なんだおいしいじゃないのベー フランソワ。さすがは定価2590円。英国のvirginwines.co.ukによれば、このワインは誕生日や記念日、または金曜日の夜をお祝いするのにピッタリ! とのことだ。

ことのほか楽しめたので、ソミュールのほかのワインを試してみようかな、という気にもなってくる。そして、次回成城石井のワインくじを購入した際にまた出てきたら、ニッコリ笑ってこう言おう。「またお前か」と。

問題はもっと安い値段でシャンパーニュが買えてしまうことだなー↓

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