ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワイン歴2年のワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

サイゼリヤでワイン会やってみた! ワインと料理、おいしかったのは!?

サイゼリヤワイン会を実施した背景

ワインにハマってすぐの頃、ひとりでどこに飲みに行けばいいのかわからなかった私がワインと食事を楽しむためによく行ったレストランがある。サイゼリヤだ。

ひとりでワインバーに行くことにハードルの高さを感じていた当時、サイゼリヤは私にとってベストソリューションだった。今度サイゼリヤで店内を見回してください。私みたいなオジサンお一人様勢が店内に一人はいることがわかるはずだ。サイゼリヤの片隅でデキャンタから手酌でワインを注いでサラミかなんかかじってる中年男性がいたらそれがサイゼお一人様勢である。妖怪か。

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サイゼリヤワイン会を企画してみました。

なんの話だっけ。そうだ、サイゼリヤでワイン会をした話をしようとしていたのだった。サイゼお一人様勢だった私だが、以前からサイゼでワイン会をしたらさぞ楽しかろうと思っていたのだった。最近はワイン友だちも増えたし、今がそのとき……! とサイゼリヤでワイン会をしませんかとtwitterで告知したところ8名の方にご賛同いただけた。私を入れて9名は、1本のボトルをシェアするのにちょうどいい人数だ。

 

サイゼリヤの料理とワインでペアリングコースをつくろう!

ただ集まって飲むだけでも楽しいに違いないが、少し趣向を凝らし、参加者1人ずつが料理とワインを指定し、それを人数分集めてペアリングコースを作ろう! というテーマを設定した。ワインと料理のペアリングコースってめちゃくちゃワクワクするじゃないですか。あれをサイゼリヤでやろうということだ。楽しそう。

というわけで参加者のみなさんとの連絡網を作成、当日までかけて9品の料理と9品のワインを組み合わせたペアリングコースリストが完成した。以下だ。

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仕事は遊びのように。遊びは仕事のように。

前菜3品の後でパスタにピザを挟み、怒涛の肉料理3連発。そしてデザート。それに合わせて泡3連発からの白2、赤3、甘口ワインになぜか途中生ビールまで飲むという秩序とカオスが神田川沿いのアパートの四畳半に同居してますみたいなリストで、なんというか闇鍋感があって非常に良い。ワイン会自体も楽しみだが、私はこの「リストを作る遊び」がすごく楽しかったのではじまる前からもう楽しい。なにこれ楽しい。

 

サイゼリヤワイン会と「スペシャルワイン店舗」

会場に選んだのはサイゼリヤ日本橋浜町店。サイゼリヤ本部併設のいわば本丸的な店舗。国内に1089あるサイゼリヤの店舗のうち121店しかない「ワインの種類が多い店舗」のひとつで、グランドメニューに加えてワインメニューが存在する。ワイン会を実施するならば「ワインの種類が多い店舗」であることはほぼ必須条件だ。

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スペシャルワインの図。

さらに、この日本橋浜町店は「予約可能」なんですよ。予約の可否は店舗によるようで、日本橋浜町店の日曜日の場合「ピーク時でなければ予約可」とのことだった。(ちなみにグラスの持ち込みも打診したが不可との返答だった)

さて、これにて準備は整った。4人と5人で隣接する2つのテーブルに分かれ、いざ乾杯だ。参加者など会の詳細な内容は参加していただいた安ワイン道場師範の日記をぜひご覧いただくとして、私はとくに印象に残ったところを中心にレポートしていこうと思う。

 

サイゼリヤペアリングワイン会スタート!

乾杯は「ドン・ラファエロ」。ボトルで1100円という狂った価格のスパークリングワインだ。かねてサイゼリヤにはグラススパークリングがないことだけが泣きどころだと私は感じていたので待望のサイゼ泡であると表明したところ、参加者の元ソムリエ・キジトラさんが「でも1100円ってグラスワインの値段ですよね(笑)」とおっしゃっていたそれな。1100円でボトルワインが飲める。そう、サイゼリヤならね。

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注がれるドン・ラファエロ

色薄め、香り薄め、泡立ち弱めでなんというかお冷や感覚で飲めるワインだったが、これは2皿目の「柔らか青豆とペコリーノチーズの温サラダ」(200円)とよく合った。

そして2杯目にオーダーした「ランブルスコ・ロゼ」(1100円)はやや甘めでアルコール度数も低い泡だったが、こちらは「辛味チキン」(300円)と非常によく合った。「1皿目と2杯目、2皿目と1杯目がペアリングしてますね」なんて言いながら飲むワインがうまい。

 

【好ペアリング】エスカルゴのオーブン焼き×ブリュ セッテ ノーテ

さて、3品目は「エスカルゴのオーブン焼き」(400円)と「ブリュ セッテ ノーテ」の組み合わせ。ブリュ セッテ ノーテはお値段1650円というサイゼリヤ最高級泡だけに、これは香りも味わいも前ふたつの泡とは格が違う味わい。

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ブリュ セッテ ノーテ。ラベルにあるメトド・マルティノッティはシャルマ方式(タンク内二次発酵)のイタリアでの呼び名。

ではなにがその違いをもたらしているのか。亀戸の名店・デゴジュルマン店主の泡大将が参加してくれていたので質問すると、「今までの2本と比べて、はっきりとした酸があります」と教えてくれた。なるほどたしかにこのワインは酸味が豊かで、それがワインに一本芯を通している。

セッテ・ノーテは7つの音符という意味。トレビアーノとマルヴァジア、イタリアを代表する白品種50%ずつのブレンドで大変おいしいワインだった。スペシャルワイン店舗で泡を頼むなら、これをオススメします。

 

【好ペアリング】オリーブアンチョビのマルゲリータピザ×????

4皿目として私が選んだのは「イカの墨入りスパゲッティ」(500円)。合わせたっていうかなにが合うか全然わかんないから適当に選んだのが「サイゼリヤプレミアム(白)」(2200円)だったのだがこれはもうなんていうか非常に可もなく不可もないペアリングであった。主催者として大成功か大失敗を狙いたかったのだが、無念である。思い切って赤と合わせるとかの博打を打てばよかったなー。

続いてはこの日もっとも会場をザワつかせたペアリング。泡大将の助手として活躍されるソムリエたまごさんによる「オリーブアンチョビのマルゲリータピザ」(500円)と「グラスビール(キリン一番搾り)」(300円)のペアリングだ。まさかのビール…!

結論を書くならば、これはこの日の主役級のペアリングとなった。つーかこのピザがめっちゃくちゃおいしいわけなんですよ。このピザが、というより後乗せ式で別添されるオリーブアンチョビがめっちゃくちゃうまい。うまじょっぱい、としかいいようがない味わいで、強い塩味と旨みが味わい豊かな一番搾り生にめちゃくちゃ合う。あとなんていうかふつうにビールうまい。地下に送られたカイジペリカで買ったアサヒスーパードライばりにうまかったので伝わる人にだけ伝わってください。

 

【好ペアリング】エビクリームグラタン×オーリ

続いてオーダーしたのは安ワイン道場師範が選んだ「若鶏のディアボラ風」(500円)とドンナリーザブランコ(2600円)なのだが、若鶏の提供に20分ほど時間がかかるとのことで、つなぎの1本をオーダー。それが「オーリ」(2600円)だったのだがこれがこの日の白ワインベストだった。

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オーリ・ヴェルデッキオ スペリオーレ。マルケ州のワインです。

オーリは黄金の意。品種はヴェルデッキオ95%にマルヴァジア5%。樽熟成を経たその味わいはまさに黄金系。ブラインドだったら樽の効いたシャルドネのけっこういいやつとか言いそうな味わいで、お店でボトル2600円で売られているワインとは到底思えないのだがネットでも2600円で売っているので、お店で飲む分のプレミアムはほぼっていうかまったくついてない模様。サイゼ、儲ける気ある……?

このオーリに合わせてソムたまさんが追加オーダーしたのが「エビクリームグラタン」(400円)と「たっぷりコーンのピザ」(400円)。「ぜったいクリームが合う!」とのことだったがたしかにそうで、エビクリームグラタンとの相性は素晴らしかった。

そうこうする間にやってきたのが若鶏のディアボラ風で、樽の効いたしっかり系白(品種はマルヴァジア)のドンナリーザ・ビアンコと非常によく合った。若鶏のディアボラ風はディアボラソースなる謎の玉ねぎソースがかかった料理だが、このディアボラソースとワインの相性がむちゃくちゃ良かった。師範、こういうの外さないんだよなあ。

 

【好ペアリング】アロスティチーニ×サリーチェサレンティーノレゼルバ

そして会は最終盤、メイン2連発となる。オーダーしたのは羊の串焼きである「アロスティチーニ」(400円)と「ラムのランプステーキ」(1000円)。それに合わせては「サリーチェサレンティーノレゼルバ」(2200円)と「ドンナリーザ ロッソ」(3900円)がチョイスされたのだが、この2種類の赤ワインはどちらも非常に素晴らしかった。

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テーブル上のコルクがどんどん増えていきます。

サリーチェサレンティーノはプーリアのプリミティーヴォっぽいなと感じたがニアピンで、正解はプーリアのネグロアマーロ。そもそもサリーチェサレンティーノがプーリア州のDOCなんだそうです(無知)。

ネグロアマーロは私のなかで根黒甘露、と脳内変換されている品種で要するに濃くて甘いという印象があるがこのワインもまさにそう。濃くて甘くてパワフルな味わいがクミン系のスパイスをかけた羊串と正面衝突してめちゃくちゃうまい。「うますぎる! 爆笑!」みたいな超陽性のマリアージュとなった。

エチケット違うけど同じ生産者の同名ワイン↓

a.r10.toラムのランプステーキは、言ってしまえばアロスティチーニと味わいはほぼ同じなのだが、串よりも脂が多くて噛みごたえがあって、おそらくサイゼイリヤでオーダーできるもっともパワフルなメニューだと思う。それに対したドンナリーザロッソは前のワインと同じくサリーチェサレンティーノ産で、生産者も同じレオーネ・デ・カストリスという1665年設立のプーリアでもっとも歴史があるという造り手。

ワインはネグロアマ-ロとマルヴァジーアネラのブレンドで、新樽率100%(!)のフランス製バリックで18カ月熟成という贅沢な造り。サイゼリヤワイン最高額、3900円は伊達じゃない……!

このワインとラムステーキがどれほど合ったかを説明するには、ソムリエたまごさんが発した名言を引用するのがいいだろう。すなわち、「サイゼはたいがいのものがビールのほうが合うが、これとワインはめっちゃ合う」である。

なんとなく会のコンセプトが根底から覆された気がしなくもないが至言だ。ワインも料理も破壊力が高く、いい意味でサイゼリヤ感のないペアリングとなった。そこだけラム料理専門店感があったっていうか。

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泡3本+こちらの6本。計9本のペアリングコースを堪能。

そしてシメは「ジェラート&シナモンプチフォッカ」(450円)と陰干しヴェルデッキオで作られているという甘口ワインのラ・コンブリッコラ(2400円)の合わないわけがない組み合わせ。

味が合うのは想像通りなのだが、面白かったのは温度。プチフォッカ温、ワイン冷、アイス凍という温度のグラデーションが実にいい感じっていうかこの感じは初体験だった。飲み会の最後に甘口ワインがあると会が締まって大変良い。

 

サイゼリヤワイン会まとめ

というわけで以上がサイゼリヤペアリングワイン会の全貌だ。駆け足で振り返ってみたが率直に言ってちょっとビックリするほど楽しかった。なんていうか、失敗しても大丈夫なんですよ。たとえば400円の料理を注文しても9人で割れば一人当たりの負担額は44円となり、またもソムたまさんの言葉を借りれば「実質無料」となる。2000円のボトルも9人で割れば222円だ。そうして深く考えずに飲みかつ食べてるうちに「これは…!」みたいなマリアージュが生まれてくる。それをみんなで探して共有するのがすごく楽しいのだ。

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完成版リスト。

さて、会計だ。飲んだワインは人数と同じ9本。グラスビールもいただいた。料理は何皿だっけ。11皿ですね。それを基本ふた皿ずつオーダーしているからみんなよく食べ、よく飲んだ。そして気になる金額は……完全割り勘制で1人あたりなんと4000円(うち1人は3000円なので実質4000円弱)。大学生の飲み会かよ。

泡大将は「ウチだと下手するとグラス1杯の値段ですね……」と戦慄しておられた(注:デゴルジュマンにはもっと安いグラスもあって気楽に飲める良いお店です)。グラス1杯4000円のワイン体験も素晴らしいが、ボトル9本で割り勘4000円のワイン体験も素晴らしい。みんな違って、みんな酒。

スタートから締めまで、ダラダラする時間ほぼゼロでノンストップの3時間半は最高のメンバーにも恵まれて楽しすぎた結果体感時間としては30分くらいに感じられた。みなさん、またサイゼ飲みしましょう!