ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

タケダワイナリー「サン・スフル 白(発泡)」と「タケダワイナリー ルージュ」を飲んでみた。

タケダワイナリーのワインを2本飲んだ

タケダワイナリーのワインを立て続けに2本飲んだ。飲んだのは、「新 タケダワイナリー サン・スフル 白(発泡) 山形県デラウェア種100%」と、「タケダワイナリー ルージュ 赤(辛口)」の2本。

ワインショップで、「日本ワインに興味があるのですがなにひとつ知識がないので、マスカット・ベーリーAのワインと、泡を1本ずつオススメしてもらえないでしょうか」とオーダーしたところ、店員さんがいくつかのワインをチョイスしてくれ、協議ののち、「じゃあ、タケダワイナリーさんで揃えてみましょうか」という流れから自宅にお連れした2本だ。

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「タケダワイナリー ルージュ 赤(辛口)」。

なぜ唐突に日本ワインを買おうと思ったのか、それを説明するためには「ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…」という社会現象にもなった名作ゲームから語り起こす必要がある。

そのゲームのワールドマップは現実の地球を元に作られていて、プレーしていた当時はまったく気がつかなかったが、たとえば序盤に出てくる中ボス一味のアジトは「シャンパーニの塔」であり、これは言わずもがなシャンパーニュに由来してたりする。さっき知った。

ゲームを進め、中盤に差し掛かると、主人公たちはジパングという島国にたどり着く。言うまでもなく日本がモチーフで、そこには「やまたのおろち」というモンスターが棲んでいる(強い)。当時、私はこの設定をすごく魅力的に感じた。ファンタジー世界の旅路の果てに自分が住んでいる国にたどりついたことで、現実と虚構の境界が崩れたような感覚があったんですね。

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本文では与太話が進んでいますが、こちらが「新 タケダワイナリー サン・スフル 白(発泡) 山形県デラウェア種100%」です。

 

多くのフィクション作品が旅路の果てにたどり着く場所として設定する場所は、天国でも地獄でもなく「自宅」だ。チルチルミチルが青い鳥を探す旅の末に目覚めるのは自宅のベッドだし、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で主人公のマックスはイモータン・ジョーの砦から旅を始め、同じ砦に戻ることで物語を閉じる。

同様に、ワインを飲むことで世界中を旅した気分になれることに気がついたこの1年半を経て、原点回帰で日本ワインに興味を覚えたっていう話を書こうとしたら1000ワードくらいを空費してしまったがともかくそんなわけで今私はジパングのワインに興味がある。奇しくもスサノオノミコトヤマタノオロチを酔っ払わせて退治したっていうし。ともかく以上のような心の旅路を経て、私はワインショップで、なんならあの当時ドラクエⅢを手にしたとき級のワクワク感を持って、今日紹介する2本のワインを手にしたのだった。そして伝説へ…となるかどうか、乞うご期待だ。

タケダワイナリーはどんなワイナリーか

さっそくタケダワイナリーについて調べるべく公式サイトを見ると「山形県蔵王連邦のふもとに15ヘクタールの自家農園を持つ」とある。文中「蔵王連邦」とあるのは「蔵王連峰」の変換ミスだと思われるけれども「蔵王連邦っていう連邦制の独立国がかつて山形にあった……!?」みたいな駄妄想を間髪入れずに楽しみつつ読み進めると、1920年に武田家三代目当主・重三郎がこの地にブドウ園を開いたところからその歴史ははじまったことがわかる。それから実に100年、重三郎・重信・そして当代と3世代に渡ってこの地で数多の苦難を乗り越えて葡萄畑を守り続けてきたというのがタケダワイナリーのファミリーヒストリーのようだ。

亜硫酸無添加の「新 タケダワイナリー サン・スフル 白(発泡)」

さて、今回買ったうちの「新 タケダワイナリー サン・スフル 白(発泡)山形県デラウェア種100%」(2000円)は、無添加・無濾過のワイン。「サン・スフル」っていうのは亜硫酸を使用しないという意味合いだそうで、「酸化防止剤を使用せず、ろ過も行わない素直な味わいと、1本1本それぞれの瓶の中で育まれた、生き生きとした味わいをどうぞお楽しみください。」と公式サイトにはある。

製法はアンセストラル法とあり、これも初耳だったのだが、発酵中のワインを瓶詰めし、瓶の中で発酵を継続させることで発泡ワインにする製法とのこと。糖を分解してアルコールと二酸化炭素を生成するっていうタンクとか樽のなかで行われるアルコール発酵の工程が瓶のなかで行われるってことでしょうか。宇宙規模の余談ですがアンセストラル高輪、っていうマンションが港区にあるそうです。住みたいぜ。

タケダワイナリー ルージュはボトムレンジのデイリーワイン

もう1本の1600円と手頃な価格の「タケダワイナリー ルージュ 赤(辛口)」はマスカット・ベリーA100%で、「ボトムレンジだからこそ、ワイナリーの真価が問われるものとし、力を注いでいる」というワインとのこと。マスカット・ベリーAは初めて飲む品種なので、こちらも大変楽しみである。

ちなみにどちらも自社農園のブドウではなく、地元・上山市の協力農家からの買いブドウのよう。さっそく(まったくさっそくじゃない)飲んでみよう。

タケダワイナリーの2本のワイン。その味は……?

まずは「サン・スフル」を飲んでみるといいですねこれは。ブドウの果実感と、トロピカルフルーツみたいなエキゾチックな香りと、甘酒とか日本酒の濁り酒みたいな旨みの三拍子を楽しめた感じ。白身の刺身と合わせた場合のそれなら私におまかせくださいという安心感ったらなかった。唐突に野球たとえをねじ込むと谷繁感があった。

なんでしょうか。日本酒が好きでワインをあまり飲まないっていう酒飲みに飲ませてみたい、っていう気がする不思議なワインだった。

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vivinoの点数は3.6点となかなかの高評価。とてもおいしいです。

さて、一方のタケダワイナリー ルージュはどうかとグラスに注ぐと、おお、これが甘いとウワサのマスカット・ベーリーA(タケダワイナリーの表記はマスカット・ベリーA)の香りか! という香りがなるほど漂う。綿あめみたいな。ただ、飲んでみると甘さは感じず、酸味と渋みをわりと強めに感じる。なんでしょうかこれは。思い出すのは校庭のソメイヨシノが散ったあと、今くらいの季節に生るその渋くてすっぱい小さなサクランボの味。甘みが少なくてどこか物足りなさがあるんだけど、その物足りなさも魅力の一部になっているような感じ。でも好きだったんだよな。しかし今思うとあれがオヤツって。昭和かよ。(昭和でした)

それにしても、どちらのワインもかなり個性的。これはたまたまなのか、どうなのか。引き続き、あれこれ試してみたい。あと、なんだか無性にドラクエⅢを再プレーしたい。勇者・武闘家・武闘家・僧侶っていうアグレッシブなパーティで。それだとやまたのおろち戦でバイキルトがなくてキツいのか。悩む。なんの話なんだよ。