ブルゴーニュワインとマコン
全然飲んでないのでちょっとおこがましいのだが私はブルゴーニュワインが好きだ。
赤も白も両方好きだがなぜか今の気分は白。アリゴテにも注目だがブルゴーニュのシャルドネが好きだ。豊かな果実味、樽の厚みとシャープな酸と、白ワインに求めるもののすべてがある。ドイツのリースリングとブルゴーニュのシャルドネはおいしい白ワインの双璧だと思う。
というわけでバーガンディーホワイトっておいしいよね、と思うのだが問題もある。高いことだ。コート・ド・ボーヌのいい村、あるいは高名な生産者のワインであれば、広域名のワインでも5000円から1万円、なんならそれ以上の値札がつけられてしまう。無理。
なんとかブルゴーニュを安く飲む方法はないものか……と考えた私がたどりついた場所がある。マコンだ。コート・ド・ボーヌのさらに南のコート・シャロネーズのそのまたさらに南のマコネ地区で造られるマコンワインのみなさんは安い。しかし味わいはあなどれない。
プイィ・フュイッセとかサン・ヴェランとかそれなりに名前の通ったAOCはあるものの、いかんせん一級畑も特級畑もなく(追記:プイィ・フュイッセには一級があるよとご指摘いただきました。訂正します)、つまりはブランド力や高級ワインに欠かせないある種の神秘性みたいなものがない。結果、マコンワインの価格は抑制され、安くておいしいワインを求めようと思えば有力な選択肢となるのだ。
そもそもフランスはワインが余ってるわけですからね。需給のバランスによって価格が高騰するなんておかしな話なのだ。(フランス政府はワイン業界救済のため2億ユーロをかけて余ったワインを買い取っている)
ヴィレ・クレッセとは?
そんななか、注目したい産地のひとつがヴィレ・クレッセ。1999年に誕生したマコンのAOCのひとつで、「独立したマコネのクリュ」としてちょっぴり格上。白ワインのみのAOCで、品種はシャルドネに限定される。
恥ずかしながら告白すると、主にヴィレ・クレッセという語感から「マコンにおける村名格とかそいう意味?」みたいに私は勘違いしていた。ヴィレ=村、クレッセ=格付け、みたいな。完全に間違いだ。ヴィレクレッセはViré-Clessé であり、ヴィレ村とクレッセ村を結んだ地域のこと。
ちなみにヴィレ村の北にはシャルドネの発祥地、シャルドネ村があるそうだ。へー。シャルドネ村行きたい。
ヴィレ・クレッセに話を戻すと、有名生産者でいえばコント・ラフォンがこの地に進出しており、「レ・ゼリティエ・ドゥ・コント・ラフォン 」というワインをリリースしている。これも必ず飲みたい。
ヴィレ・クレッセのワインを飲んでみた
さて、そんななか私が試しに購入してみたのは、ドメーヌ ・デュ・モン・テパンのヴィレ・クレッセ ブリュイロン2020。お値段なんと2380円だ。安い。素晴らしい。
ドメーヌ・デュ・モン・テパンは2015年にワイン造りの経験を持つマルタン兄弟が取得、有機栽培に転換を進め、私が飲んだ2020以降はビオロジック栽培のブドウでワインを造っているそう。
これでおいしかったら儲けものだなーと飲んでみるとおいしいんですよこれが。
かなり濃いめのゴールドの外観、マーマーレードみたいな香り、そして飲むとうーん、リッチ。果実たっぷり。強いていえば酸がもう一声あれば最高だが、ヴィンテージは2020とめちゃくちゃ暑い年だしこの価格だし、多少酸がゆるいのは仕方ない。しかし十分においしい。
2380円はこのクオリティの味わいのワインに対してまことに適価といえ、転倒した言い方になってしまうが同じ価格帯の南アフリカワインと比較して味わいにおいて負けていない。つまりコスパが非常に良いと感じることができる。
ヴィレ・クレッセ以外のコート・ドールじゃないブルゴーニュワイン
というわけでヴィレ・クレッセは大変おいしい産地であることがよくわかった。考えてみると、ヴィレ・クレッセに限らず冒頭で名前を挙げたサン・ヴェランもプイィ・フュイッセも同様においしいし、なんならマコン・ヴィラージュで十分うまい。
マコンから北に目をやれば、コート・シャロネーズはあり。ジヴリ村には一級畑で2000円台みたいなワインがまだ存在する。南に目をやって、マコンとボジョレーの境界線上ボジョレー寄りで造られるボジョレー・ブランもおいしい。
言わずもがな、シャブリ・プルミエクリュもおいしい。すべて3000円前後から入手可能でおいしい。おいしいブルゴーニュワイン、根性で探せばまだまだあるんじゃないかという仮説を胸に、今後もジャングルの奥地へと分け入っていきたい次第だ。
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