1000円ちょっとワインばかり飲んでいたらおいしいワインがいくつか見つかった
旅行のためにお金を節約しつつお誘いに応じて飲み歩くというブレーキとアクセルを同時に踏み込むみたいなことをしていたら財布がドリフト走行かなんかしたのかなんなのか、手持ちのお金がまったくなくなったので安ワインばかり飲んでる。
安ワインばかり飲んでいると負の安ワインスパイラルとでも言おうか、すでに十分に安いワインを飲んでいるにも関わらず「もっと安くても大丈夫なんじゃないか」みたいな心理に陥ることになり、上は2000円くらいからボトムは500円アンダーに至るまで探りをいれていくと、最終的に1000円ちょっとのところで価格と内容と満足度がバランスする。
そんなこんなで1000円前後のワインばかり飲んでいるおかげで1000円ちょっとで買えるおいしいワインをいくつか発見することもできた。それらをまとめて記録しておきたいと思うというのが本稿の趣旨だ。
ペーター・メルテス ガウメンシュピール ゲヴュルツトラミネール 【1067円】
まず挙げたいのがドイツはモーゼルの造り手、ペーター・メルテスのガウメンシュピール ゲヴュルツトラミネールだ。これ素晴らしかった。購入ショップは楽天のトスカニーで、価格は1067円。
夏が来るとムラムラとやってくるゲヴュルツでしか満たされないゲヴュルツ欲を満たすのに最適なワインで、スクリューキャップで気軽に飲めるのがいいし、ちょっぴり甘口なのも熱を伴った湿気がうっとうしいこの季節にはいい。
味わいは品種ならではのライチの香りにレモンとハチミツの味わいといったシンプルな構成。甘口すぎないので食事と合わせても大丈夫だが、本領は夏の夕涼みにキリッと冷やしてアペタイザー代わりに飲む感じだと思われる。炭酸水で割ってレモンを浮かべたりしてもよかったかもしれないし、ハーブを効かせたイカのレモンマリネかなんかと合わせたら爆笑しながら飲めると思う。最高すぎて。
ワイン初心者の方にも全力で勧められるワインで、1067円はすごい。
ウィリアム・フェーヴル エスピノ ピノ・ノワール【1353円】
シャブリの造り手ウィリアム・フェーヴルがチリで造るエスピノ ピノ・ノワールも良かった。1353円とは思えないクオリティ。
詳細は個別に記事にしてあるので、ぜひそちらをご参照いただきたい。当たり前だけどやっぱりチリワインは安くておいしいワインの宝庫だなあと再認識する味だった。「安いなりにうまい」じゃなくて「値段がバグってる」が起こるのがチリだ。
ぺパン・デスキュラック 【1305円】
赤を続けると、Amazonで1305円で購入したぺパン・デスキュラックも良かった。クリュ・ブルジョワ級に格付けされるメドックの生産者シャトー・デスキュラックのセカンドワインで、メルロー53%、カベルネ・ソーヴィニヨン36%、プティ・ヴェルド10%、カベルネ・フラン1%で造られるワイン。
しっかりと芯のある香りがあり、香り豊かで果実味もしっかりと感じられる。強い個性がない分だけ焼き鳥でもステーキでも雑に合わせて問題なさそうな気配があって、1000円台前半で買えるボルドーワインとしては十分合格点というワインだった。しかもAmazonだから翌日に届くわけなんですよ送料込みで。
Amazon限定ブランドのワインは安ワイン愛好家にとって見えてる沼。みんなで肩まで浸かりに行きましょう。
マン ファミリーワインズ シラー【1078円】
続いては「やまや」で買った南アフリカワイン「マン ファミリーワインズ シラー」。M.A.Nは男性ワインメーカー3人組の奥様のイニシャルなんだそうだ。ワインの名前に妻の名前を冠するよりも上、妻の名前の刺青を入れるレベルのなんていうか不退転の覚悟みたいなものを感じる生産者名ですね…!
味わいは非常にわかりやすく親しみやすいもので、超くっきりとした果実味に、それを支える酸味があって渋みおだやかのガブガブ系。安シラーとして記憶しておきたい1本だった。シラーは1000円台前半がおいしくて、次においしくなるのは3000円くらいな気がするの私だけでしょうか。
テヌータ・ネイラーノ テルツェット ガヴィ 【1188円】
まだまだいこう。続いては「うきうきワインの玉手箱」の10本1.1万円福袋に入っていた1本でテヌータ・ネイラーノ テルツェット ガヴィ 1188円。10本1.1万円の福袋に入っていた1188円のワイン、正直期待しちゃダメなやつでしょこれはと同福袋の1番バッターとして抜栓したのだがこれがぜんぜんまったく悪くなかった。
イタリアの安い白ワインって酸が先行しすぎることがままあるよなあましてガヴィをや、という先入観を抱いていたのだが、このワインに関しては清涼感のある液体に白桃みたいなニュアンスが加わり、仕上げにレモンの酸味を足したようなグッドバランス。暑い季節にガブガブ飲むのにむしろ最適というワインだったのだった。1188円なら単品で買うのも全然アリ。
1000円前後でもおいしいワインはきっちりおいしい
というわけで、高いワインが飲めなければ安いワインを飲めばいいじゃないという逆マリー・アントワネット的発想でワインを選んでみた。普段安ワインばっかり飲んでると、たまに高いワインを飲んだときに「なんだこれ異常にうまい死ぬ」みたいに感じやすいというメリットもあるし、1000円台前半の安ワインだけを集中的に飲むのもいいものだ。
本記事で誤解していただきたくないのは、最近飲んだ1000円ちょっとのワインを羅列しているだけではない点だ。「最近」と言える範囲でおそらくここに挙げた5本の10倍くらいのワインを飲んでいて、なかにはまったく印象に残らないものあれば、タッパーに「白ワイン」という付箋を貼られて詰められ、料理用として冷蔵庫に幽閉されたものもある。いくつかの地雷も踏み抜いて特定の産地の特定のヴィンテージがヤバいっていうのは安ワインの場合ガチだなみたいな教訓も得た。なんの味もしないのすごい……。
ただ一方で、1000円前後でも探せばおいしいワインはある。地雷を踏み、沼に落ち、ボロボロになった状態で支払った1000円札で得られたワインがおいしかったときが最高にうれしかったりしますよね安ワイン探しって。3000円払えば済む話なんだけれども。
セラー専科のシャンパンくじすごく良さそう。ドンペリP2飲みたい。↓