コノスル ビシクレタぜんぶ飲む。WEEK2はカルメネール、シラー、ソーヴィニヨン・ブラン
安くておいしいで知られるコノスルの「ビシクレタ レゼルバ」シリーズ。その全13種類+αをぜんぶ飲み、ランキングをつけようという企画、今回はその第二回となる。
前回はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、リースリングという旧世界代表みたいな品種を飲んだので、今回のWEEK2はカルメネール、シラー、ソーヴィニヨン・ブランとなんとな〜く新世界っぽい品種3つを飲んだ。前回1位のカベルネ・ソーヴィニヨンを超えるワインは登場するのか、さっそく行ってみよう。
コノスル ビシクレタ レゼルバ カルメネールはどんなワインか
まずはカルメネール(2019)から飲んでいこう。カルメネールといえば長らくチリでメルローだと勘違いされていたという品種。
19世紀半ばにフィロキセラ禍で絶滅したと思われていたが、チリにメルローとして運ばれた苗木のなかに一定数のカルメネールが混ざっていて、運んでみたらチリが栽培好適地だった結果、チリでメルローとして生きながらえたのだそうだ。映画『バケモノの子』とほぼ同じストーリーですねこれ。
ちなみにカルメネール、ローマ時代から栄えたボルドー最古の品種のひとつで、名前の由来はクリムゾン(深紅)から来ているのだそうだ。なにそれカッコいい……!
飲んだのは2019ヴィンテージ。テックシートを見ると、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー同様に使われているブドウはカルメネールが85%、その他が15%とある。収穫は50%が手摘み。樽熟成はせず、ステンレスタンクで9カ月熟成させたというワインだ。2020ヴィンテージの情報となるが、アルコール度数は13.0%、残糖3.6g/l、PH3.57、総酸5.2g/lとなっている。
飲んでみると、カベルネ・ソーヴィニヨンよりも果実味が穏やかで、メルローよりも酸味・渋みがまろやか。甘・酸・渋の三角形のバランスが良い優等生的な味わいだった。意外だな。意外っていうかうまいなこれ。あれカルメネールってもしかして過小評価されてる……?
チリで長らくメルローだと思われていたというカルメネールと間違われ主のメルロー飲み比べ。広瀬すずと広瀬アリスあるいは上白石萌音と上白石萌歌的似ているようで全然違う個性の違いが面白い。 pic.twitter.com/pMzqYrabBE
— ヒマワイン|ワインブロガー (@hima_wine) 2021年9月25日
こうツイートしておいてなんだがやっぱりどこかメルローっぽさはある。つーか「others15%」のなかにメルローが入ってるんじゃないか説である。上白石萌音(メルロー)も素晴らしいが、上白石萌歌(カルメネール)も素晴らしい。広瀬すず(カベルネ・ソーヴィニヨン)と上白石萌音が共演した『ちはやふる』はまさにボルドーブレンド的名作なんだけどコノスルの話だった。
コノスル ビシクレタ レゼルバ シラーはどんなワインか
というわけでいきなりカルメネールがスマッシュヒットだったわけだが続いてはシラー(2019)だ。シラーは私の大好きな品種のひとつ。たっぷりした果実味とキリッとした酸味、それでもってスパイシーさがあってスパイスを効かせた肉料理に合うんですよねシラーちゃんは。
シラーは、シラー85%、その他15%からつくられるワイン。80%が機械で、20%が手で収穫され、10カ月間ステンレスタンクで熟成されている。度数13.0%はカルメネールと同じ。残糖3.6g/l、PH3.56、総酸5.27g/lと、その他の数字も非常によく似てる。
さて、飲んでみるとこれわりとあれですね。新世界のシラーは「Syrah」表記か「Shiraz」表記かで味の方向性がわかるなんていうけどほんとそれ。まさにシラーという味だ。ギガルのコート・デュ・ローヌ(おいしい)をもうワンサイズ小さくまとめたような味わい。果実味ボヨヨンでは意外となく、酸味も渋みもしっかりと感じる。
ここ最近の我が家はコノスルだけが常時4〜5本空いているというコノスルの直営ワインバーかよみたいな状態で、1本のワインが開くのに3日くらいかかるのだが、このシラーは時間が経つほど酸味渋みの角がとれてとてもおいしくなった。買い値750円とかなのに後からポテンシャル出してくるんだよなコノスル先輩は。
コノスル ビシクレタ レゼルバ ソーヴィニヨン・ブランはどんなワインか
さて、今回のラストはソーヴィニヨン・ブラン(2020)だ。私はニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランがもたらすVR草原みたいな飲む拡張現実的味わいが好きなので楽しみ。
50%が機械、50%が手で収穫され、3〜12カ月ステンレスタンクで熟成。アルコール度数は12.5%。残糖は3.60g/l、PH3.40、総酸は6.0g/l。品種は100%ソーヴィニヨン・ブランだ。収穫は2020年の2月24日から3月20日にかけてと、他の品種よりも一月くらい早い。
飲んでみると思ったより草っぽくない。むしろリースリングのようなキリリとしたミネラルウォーター的スッキリさがあって、蜜感もあってなんならちょっとボルドー・ブランっぽい。カベルネ・ソーヴィニヨンもそうだったし、メルローにもサンテ味(サン・テミリオン的ニュアンス)があったしシラーにはローヌ感があった。ひょっとしてコノスルってひょっとして造りはフランスっぽかったりしますかね。
コノスル=新世界のわかりやすい味わい代表! みたいに思い込んでいたけれど、実のところそんなことないんじゃないか。もっとすごくオーソドックスな味わいの良さを追求しているのでは……? みたいになってきた。これは、今後すべての「ビシクレタ」を飲み干すと答えが見えてくるかもしれない。
発表! コノスルランキング【WEEK2】
さて、そんなこんなでコノスルランキングの中間発表をしよう。果たして1位は入れ替わるのか。前回3本、今回3本を飲んだ現時点のランキングがこれだっ。
【コノスルランキング WEEK2】
1 カベルネソーヴィニヨン(→)
2 カルメネール(New!)
3 リースリング(↓)
4 ソーヴィニヨン・ブラン(New!)
5 シラー(New!)
6 メルロー(↓)
というわけで1位は変わらずカベルネ・ソーヴィニヨンだった。カルメネールが事前の予想を覆して上位に進出。4位以下は順不同に近いが、強いて順位をつけるなら以上のようになる。
赤ワインのテックシートを見直すと、
カベルネ Alc13.5%。残糖は4.5g/l、PH3.75、総酸は5.1g/l。
メルロー Alc13.0%。残糖は4.5g/l、PH3.77、総酸は4.8g/l
カルメネール Alc13.0%、残糖3.6g/l、PH3.57、総酸5.2g/l
シラー Alc13.0%、残糖3.6g/l、PH3.56、総酸5.27g/l
このようになり、カベルネ・ソーヴィニヨンがもっとも残糖が多く、アルコールも高いことがわかる。実際飲んだ印象はカベルネがもっとも派手で、それが数字にもそこはかとなく表れている気がして面白い。
もっといえば、ここまで飲んだ6種類のなかで唯一オーク樽で熟成されているのがカベルネなわけです。これは仮説というかただの妄想だけど、もっとも数量が売れそうなカベルネにはそれなりにコストをかけることで、コノスルブランド全体のイメージを高める戦略みたいなのがあるのかもしれないみたいな気がする。ちょっとひとつだけ味のステージが違う感じがするんですよ99%気のせいだとは思うけれども。
WEEK3のテーマはブルゴーニュ。シャルドネと、ピノ・ノワール3種を飲んでいく。
WEEK4のテーマはアロマティック&マルベック。ヴィオニエ、ゲヴュルツトラミネール、そしてマルベック2種を飲み比べする予定だ。
コノスルランキングの行方は果たしてどうなるのか、あと残すは8本だ。まだ8本もあるのかよ!