ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ワインマーケットパーティでエグリ・ウーリエを飲んでみた

ワインマーケットパーティでテタンジェ ブリュット レゼルヴ(バルタザール)を飲む

東京・恵比寿のワインマーケットパーティ(以下、WMP)がリニューアルオープン初日にテタンジェ ブリュット レゼルヴの12リットルボトル(バルタザール)の振る舞い酒をすると聞いたので行った。振る舞いテタンジェをいただきつつ、お買い物もしつつ、リニューアルしたテイスティングバーも偵察しようという魂胆だ。

テタンジェ振る舞い酒の条件はアプリ登録。事前にアプリをインストールし、それを提示することでグラスに注いでもらえる。ありがてえありがてえとそれをいただいて驚いた。これ…めっちゃくちゃうまいな!

バルタザールボトル。右下にちょこんとあるのが通常の750ml入りのブテイユ。

ありがたいことにお友だちの沼田WMP店長が忙しいなか接客してくれたので、なんでこんなにおいしいのか聞いてみた。

「実はこのボトル、普通にお店で売っていたんです。2012年頃のワインかな。ドザージュがしっかりあるからこその熟成感があって、モカのようなパンのような香りがして、ちょっと上位キュヴェのコント(・ド・シャンパーニュ)みたいな雰囲気がありますよね」(沼田店長)

マグナムは熟成がゆっくり進んでおいしいみたいな話をよく聞くが、マグナムより8倍大きいバルタザールはさらにゆっくり熟成が進むのかどうなのか、ともかく大変素晴らしいシャンパーニュだったのだった。

 

ワインマーケットパーティでエグリ・ウーリエを飲む

こんなにいいワインを飲んでしまうと続くテイスティングバーでの試飲で下手なワインは頼めぬ。というわけで、魅力的すぎるメニューのなかから、かねて飲みたいと思いながら未飲だったエグリ・ウーリエのブリュット トラディショナル グラン・クリュ(デゴルジュマン2021)をいただくことにした。価格は60mlで1870円。アンボネイ村のピノ・ノワールを70%使い、残りはシャルドネというセパージュ。

エグリ・ウーリエ初体験でした

エグリ・ウーリエは5200社あるシャンパーニュメゾンのなかで9社しか選ばれないクラスマン(現レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス ※2016時点)3つ星に選ばれているんだってすげえ(ちなみにほかはジャック・セロス、ボランジェ、サロン、クリュッグ、ジャクソン、ポル・ロジェ、ルイ・ロデレール、アグラパール)。

同じ樽発酵・樽熟成が特徴のジャック・セロスのワインを最近立て続けに飲む機会があり、いずれもホームラン級においしかったことからエグリ・ウーリエも飲みたいものだと思っていたのだった。ふたたびありがてえありがてえ、と飲んだ。

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さてそれから数日、私のiPhoneには「戦国時代ならこの酒を巡って一国が滅亡するレベル」というメモが残っている。おいしかったなあこれ……。鼻から入って頭頂部に突き抜けるようなすごくシャープな酸がありながら、果実味、複雑み、旨みが強くあることで酸だけが突出しない三点倒立的バランス。熟成したらさぞかしやべえ液になるんでしょうという期待感がありながら、まだ若い感じのする今こそが良いのだという気もする、のちに名球会入りする偉大な打者の高校時代、みたいな良さがある。

とくにやべえのは香りで、飲んでしまうと液体がなくなってしまって香りを楽しめなくなるから最終的に「飲みたくない」という感情にさえなる。じゃあ飲まなきゃいいじゃんと言われて「飲みますよ!」と顔真っ赤にして逆ギレしたくなるタイプのワインだ。どんなワインなんだよ。

 

エグリ・ウーリエはなんでこんなにおいしいんだ問題

再オープン初日で多忙を極める沼田店長をつかまえ「エグリ・ウーリエってなんでこんなにおいしいんですか?」という知力12くらいの質問をぶつけてみたところ、「樽に耐えうる原酒であることが重要」という答えが返ってきた。

シャンパーニュは1ヘクタールあたりの収量がブルゴーニュなどに比べると多いのですが、エグリ・ウーリエの場合ブルゴーニュグランクリュレベルの1ヘクタールあたり30〜40ヘクトリットルまで収量を落としています。そのため、原酒そのものにワインとしての濃さがあるんです」(沼田店長)

シャンパーニュのベースワインはそれ自体すっぱくて飲めないみたいな話を聞くことがあるが、エグリ・ウーリエの場合、瓶内二次発酵前のヴァン・クレール(ベースワイン=原酒)が強い。そのため長期に渡る樽熟成を経ても樽に負けない味わいが保てるのだそうだ。

たしかに、実際に飲んでみても味わいの濃さと樽に負けない果実のパワーの片鱗は感じられた。1杯じゃなくて1本を時間をかけてゆっくり飲んだら、味わいの変化をすごく楽しめるだろうなあこれ。

樽発酵・樽熟成、長期熟成、そして最低限のドサージュ(2〜4g/L) といったところがエグリ・ウーリエの特徴。最初に飲んだ「ドザージュがしっかりされているからこそおいしい」と沼田店長が言ったテタンジェと好対照を示し、結果的にすごく興味深い比較試飲となったのだった。一杯目は振る舞い酒だけども。

というわけで、振る舞いテタンジェをおいしくいただき、テイスティングバーでエグリ・ウーリエを飲み、ついでにクレマン・ド・ブルゴーニュを1本買って、大満足でWMPを後にしたのだった。買うのはシャンパーニュじゃないのかよ。

宣伝してくれと頼まれたわけでもなんでもないが勝手に宣伝すると、WMPのアプリはテイスティングバーで「今開いてる」ボトルを確認することができる。仕事中の休憩時間にチェックすると、「仕事終わったらこれ飲みにいくぞ…!」みたいにモチベーションを高める効果があるので、オススメだ。

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