「ハナマサバローロ」の実力は?
スーパー「肉のハナマサ」で売られているバローロがおいしいらしい的なウワサをツイッターで目にした瞬間、私は肉のハナマサ某店の目の前にいた。肉のハナマサに関するウワサを肉のハナマサの目の前で目にする機会もそうそうないと思うのでこれは運命・天命の類。90度の角度で方向を変えると肉のハナマサに入店、当該バローロを1本つかんでレジへと持ち込んだ。
購入価格は2088円。肉のハナマサのワインコーナーではシャンパーニュに次いでおそらく2番目に高い価格で売られているのがこのバローロだ(ちなみにバルバレスコもあります)。
余談だが肉のハナマサはイタリア食材が非常に充実しており、私のイタリア人の友人夫妻は長期滞在中スーパーは肉のハナマサしかほぼいかない。パスタとかイタリアで買うより下手すりゃ安いみたいですよ。
ハナマサバローロ「ファリエロ」はどんなワインか
さて、そんなハナマサバローロはどのようなものなのか。ボトルにはファリエロ バローロという文字があり、調べるとデッツァーニという生産者が造っているようだ。
デッツァーニは1934年創業。ピエモンテで3代にわたりワインを造るイタリアらしい家族経営の生産者のようで、1000ヘクタール超のブドウ畑を所有してるっていうからなかなかの規模ですねこれは。1000ヘクタールは東京ディズニーランド19.6078個分だ。うん、全然イメージできない。
公式サイトには今回飲んだバローロは記載なし。輸入元のノルレェイクインターナショナルのサイトにも載ってない。裏ラベルからわかるのは2017年ヴィンテージで、バローロDOCGでアルコール度数が14度で添加物として安定剤(アラビアガム)が入っているということくらい。バローロについては記事を改めていずれどガッツリ調べる予定なので省略。
いずれにせよ、バローロなので品種はネッビオーロ100%、熟成期間は3年以上でそのうち2年以上は木樽熟成を経ているのだろうきっと。それが2088円ってすごいよなあくらいの理解でひとまず今回はもう飲んじゃいましょう。
ハナマサバローロ「ファリエロ」飲んでみた
というわけで買ったその日に抜栓すると、柘榴の実のような濃いけど明るい輝くような色がする。いい色。
ただ、飲んでみるとうーんこれはあれですね、渋すっぱ。渋みと酸味が寺の山門を守る阿形像・吽形像のごとく「ここから先は通さんぞ」みたいなノリで立ちはだかってくる。ただ、渋すっぱは合わせる料理や温度、時間経過で大きく変化する可能性がある。無理に金剛力士像と張り合うのはやめ、とりあえず初日は1杯飲んでやめといた。
迎えた2日目。完全に室温に戻った状態で飲んでみた。うん、渋すっぱ。まだ金剛力士像。渋すっぱが安定している。そこは安定しなくていいんだ……! というわけでこの日も1杯飲んで撤退。
3日目は外で飲んだので手をつけず4日目。ハナマサバローロは3月も終わりが近づいたこの日、東京の桜とともについに開花のときを迎えた。ギシギシしていた渋みの角がとれて酸味川に合流、果実味の海へとなだれ込むおいしさの三角州状態。渋み、酸味に果実味が加わったことで一気に味わいがパシッとまとまって、これは普通においしい。金剛力士たちも急に笑顔。な〜んだ、キミ、笑うと可愛いとこあるじゃん☆。
お友だちのワイン醸造家・Nagiさんによれば、安定剤はワインの味わいを安定させるわけではないそうだ(詳しくはこちら)。つまり、開くまでに時間がかかることとは基本無関係。ただ、コスト削減には役に立つのだという。なので、味わいよりはむしろ「税込2088円で買える」というところに作用しているのかもしれない。
開くのに時間がかかったのは、2017年という若いヴィンテージの影響だったんですかね。でも2088円のワインをセラーで寝かせるのも現実的じゃないしなあ。
ともかく、4日目の味わいは十分に満足のいくものだった。開けてすぐおいしいというワインでは現時点で正直なかったかもしれないが、同時に複数本抜栓してチビチビ飲む勢には意外といい買い物になる可能性がある。ハナマサで買うべきはパスタ、そしてワイン。なのかも。