シャトー・ローザン・ガシーとは?
たまにはちょっといいワインを飲もうと思ってボルドーの格付け2級・シャトー・ローザン・ガシーのセカンド「ガシー・マルゴー」を買った。購入価格は5280円。うーん、高級ワイン。
2級シャトーのワインとなれば情報もてんこ盛りだろうと調べてみて驚いた。情報全然ない。もちろん日本のショップやインポーターなどのウェブサイトに情報はたくさんあるが、一次情報っていうか、公式のウェブサイトが見つからないし日本語の検索結果にはガシーならぬガーシー前議員の情報まで紛れ込む始末。
昨日はボルドーの格付け1級シャトー・マルゴーと3級最強クラスのパルメに隣接する立地ながら妙に知名度が低い印象で名前で検索すると上位にガーシーCHまで出てくる始末の格付け2級、シャトー・ローザン・ガシーのセカンド「ガシー マルゴー」2015を飲みました。若々うま。 pic.twitter.com/WySgewWaZ3
— ヒマワイン|ワインブロガー (@hima_wine) 2023年3月14日
シャンパーニュのRM、ブルゴーニュの小規模生産者などはウェブサイトを持っていない場合があるが、ボルドーの格付けでオフィシャルサイトがないとかあるのか……。
と、あれこれ調べてようやく辿り着いたのが、シャトーを所有するキエ家のサイト。このサイト内の1カテゴリとしてローザン・ガシーのウェブサイトは存在する。Googleには絶対に見つからないぞ! という気合の逆SEO対策でもしてるのかという隠密っぷりだ。Googleに追われてる…?
ともあれ、公式サイトっていうか公式ページには詳細な情報があった。
シャトー・ローザン・ガシーの歴史
その情報によると、現シャトーの全身にあたるドメーヌ・ローザンができたのは17世紀のことで、シャトー・ラトゥールでワイン造りの経験を積んだ騎士ローザンが作り上げたとある。シャトー・ラトゥールで経験を積んだ騎士なんていたんだ。ワインナイトですよ中二病風に言えば。味方を支援しながら戦うタイプっぽい。
このドメーヌ・ド・ローザンは1763年に相続の関係でふたつに分割されることになる。ともに1855年にセカンド・グラン・クリュ・クラッセ(2級)に格付けされるシャトー・ローザン・セグラとシャトー・ローザン・ガシーだ。
シャトー・ローザン・ガシーは1946年にワイン商ポール・キエが取得。現在は彼の孫にあたるアンヌ=フランソワーズとジャン=フィリップが指揮をとっている……のだそうだ。
シャトー・ローザン・ガシーの価格
なんでも1ヘクタールあたり40ヘクトリットルと2級の割に収量が高く、それもあって価格が低いのがローザン・ガシーの特徴のひとつなのだそう。ガシー・マルゴーはネット上なら3000円台で買うことができるし、ファーストラベルのシャトー・ローザン・ガシーも8000円台で買えて、これはざっくり調べた限り2級最安値。
それもあってなのかどうなのか一時期は評価が低く、ロバート・パーカーから散々にこき下ろされた時期もあったそうで、その品質が改善されたのは1990年代以降のようだ。人生いろいろ、2級もいろいろである。
シャトー・ローザン・ガシーの立地
さて、そんなシャトー・ローザン・ガシーだが、Googleマップで調べるとその立地のすさまじさがよくわかる。ローザン・セグラはもともと一体だったというだけにお隣。シャトーを背にした正面にはブドウ畑が広がり、その向かい側、目測300メートル先にはシャトー・パルメが見える。格付け1級のシャトー・マルゴーもすぐそばだ。
パルメもマルゴーも同じ村ってレベルではなくこれはもう完全に同じ町内。盆踊りの会場で間違いなく出くわすレベル、子どもの小学校は間違いなく同じってレベルのご近所さんだ。マルゴー二丁目町内会。二丁目があるかどうかは知らないけど。
ガシー・マルゴーはどんなワインか
与太話はさておいて、今回飲んだガシー・マルゴーはどんなワインなのだろうか。公式の情報を見ると、樹齢を重ねるとファーストラベルに使われるようになる若い区画のブドウを使って作られるそう。
もちろん年ごとにセパージュは微調整されるようだが品種として挙げられているのはカベルネ・ソーヴィニヨン58%、メルロー40%、プティ・ヴェルド2%。ステンレスタンクで発酵させ、フレンチオーク樽で12か月熟成させる。
ガシー・マルゴーを飲んでみた
飲んだヴィンテージは2015。開けたてから非常に華やかな香りがあり、飲んでみてもやや若い印象ながら十分においしい。メジャーリーグでも日本のプロ野球でもない、甲子園で躍動する高校球児的ハツラツとした良さがある。これはこれで今しか味わえない味だ。
「マルゴーらしからぬ重厚なスタイル」がシャトー・ローザン・ガシーの特徴であるみたいなことが書いてあるので身構えていたのだが、セカンドラベルであることもあってかそのような印象は受けない。
スミレやバラ、イチゴがなんかこう、いい感じに自生しているような、3月から5月にかけての野原のような味わい。ちなみに飲んだときのメモには「春というよりプランタン」とあるのだがその言葉の意味は書いた私でも謎だ。
5000円という価格に見合うかどうか、というのが最後に残った最大の問題だが、やはり2000円、3000円のワインにはないものがこのワインにはある。
言葉の選び方が非常に難しいのだが、新世界には3000円台でこれよりおいしいワインがある。一方、5000円台のボルドーには5000円台のボルドーの良さがあり、その良さはコスパで代替できない。そして、その土地に固有の良さみたいなものは満足感に直結するため、個人的にはいいお金の使い方したな感がある。満足。
私は普段1000円台とか、なんなら1000円でお釣りがくるワインばっかり飲んでるので、たまにこういうワインを自宅で飲むとおお、すげえ、となって非常に楽しい。今後も月イチくらいでこんな感じのプチ贅沢をしていきたい所存だ。
ガシー マルゴーは3000円台で買えます