ワインを買いに、スーパー「肉のハナマサ」へ
先日、2020年から2021年にかけて飲んだワインのベストを出したところ、そのすべてがテイスティングで味わった1万円以上のワインになってしまった。
私は1000円台、2000円台のワインを自宅で食事と一緒に楽しむことを趣味としているワイン好き。1万円以上のワインなんていうものは本来幻であり、いわば芸能人・モデル、ルーニー・マーラ、みたいな存在。現実には存在しないものと思うべきものであり、飲むとしても盆と正月の年2回と己を戒めるべき類のものだ。
というわけでスーパー・肉のハナマサに向かった。業務用の食材を多く取り扱う肉のハナマサには独自なラインナップが魅力のワインの棚があり、しかもそこに並んでいるワインの多くが1000円を切る価格。高級ワインの思い出に浸ってたるみきった我が駄脳にハナマサワインで喝を入れ、感覚を平常に戻そうというのが趣旨である。
482円の「ミルーナ ロッソ」を買ってみた
さて、1000円以下のワインは下記のような価格帯に大別されると思われる。
1000円弱レンジ >ほぼ1000円みたいなワイン。「エヴォディア」とか。
750円前後レンジ >「ベンド カベルネ・ソーヴィニヨン」「FYI」などの名品あり。
500円以下レンジ >????????
ここでわかったことがある。私は税込500円以下のワインをほぼ飲んだことがない! え、マジか。そんなことないと思うけど。でもそうか。一時期よく飲んでた「カクヤス500円泡」シリーズはあれは税込550円か。少なくとも本ブログに500円を切る価格のワインは登場していない。
これは不覚だ。ローエンドを知らずしてハイエンドを語れるわけがないハイエンドを飲む予定はないけど。ともかく今回買うのはせっかくだから500円以下に決定である。
ワイン評価アプリ「vivino」を用いて500円以下のワインのラベルをスキャンし、もっとも高評価のものを探す。情緒ゼロ%の方法だが、価格帯的に外した場合のリスクが高すぎる以上仕方ない。
というわけで最終的に選んだのが「ミルーナ ロッソ」お値段438円。税込482円。実際の会計で500円玉をころんと出してお釣りがくるのすごい。これでおいしかったら最高だ。かわいいは正義、といったCMが昔あったが安くておいしいも正義だ。vivinoの点数は3.6。決して悪い数字ではないですよこれ。
ミルーナ ロッソはどんなワインか?
生産者はイタリアはプーリア州のテレ・ディ・サーヴァ。お、デタ、プーリア州。イタリア最南端のブーツのかかと。南の産地は果実がたくさん実ってよく熟す。暖かさは安ワイン最大のレシピ。
生産者のテレ・ディ・サーヴァを検索すると、公式サイト的なものはヒットしないのだが、どうやらサン・マルツァーノが造ってるようだ。過去に「コレッツィオーネ チンクアンタ+3」「タロー プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア」の2本を飲んだことがあり、前者はめちゃくちゃおいしく、後者も悪くなかった。安うまイタリア赤ワインあるところにサン・マルツォーネあり。
輸入元の日本酒類販売によれば、ミルーナ ロッソに使われているのはサン・マルツァーノが得意なプリミティーヴォ、ネグロアマーロに加えてマルヴァジーア・ネーラ。面白いのはアルコール度数が12%しかないところで、南イタリア、太陽、プリミティーヴォッ(巻き舌)の割に軽め。熟してない果実を使ってるとかだったりするのかなとか飲む前からネガティブなことを考えるのはやめていざ抜栓しちゃおう。
ミルーナ ロッソを飲んでみた
さて、グラスに注いでみると色も思ったほどは濃くない。色が濃くないけれどもルビー色というわけではなくてこれなんつーんですかね。透明度の高い紫色、みたいな感じ。で、香りの第一印象は良い意味でも悪い意味でもなくツナサラダ。だからなんでブドウを収穫、破砕して発酵させた液体からツナサラダの香りがするんだよ、アドリア海の恵みかっ、とツッコミを入れつつ飲んでみると……うーんなるほど。そうか。こういう感じか。これは……これはまさに……居酒屋チェーンのグラスワイン(赤)! でも大丈夫、イケる。ギリ愛せる。これはおいしいタイプのグラスワイン(赤)。自分、楽しめてる。多少己を鼓舞してるところなきにしもあらずだけれども。
抜栓直後は酸味が強く、いやーちょっとこれ厳しいかなと思わないでもなかったが、時間の経過とともに少しずつ丸みを帯びてきて、うん。飲める。ええっ、これが税込482円!? 信じられない! 1000円台、いや2000円台と言われても納得! みたいなことはごめん正直ないが、500円でお釣りがくるワインでこれなら全然OK。
なにかの赤ワイン煮、みたいなのを作る際にこれを買い、料理の鍋にドボドボ注ぎつつ、残りをグラスに入れてゴクゴク飲む、みたいな使い方にパーフェクトなワインだ。なにしろ482円だし。
1万円以上するワインはそりゃまあうまい。でも、482円のワインもどっこいワインだ。どちらもワインという飲み物である以上、両方ともにリスペクト。そして引き続き1000円以下のおいしいワインも探して行こう。「ミルーナ ロッソ」を飲みながら、改めてそう誓ったのであった。
いやでもごめん、料理用でないのなら同じ生産者のこちらを買うべきだ。
1000円以下ならこれを買うべき。836円。482円ベースだと1.73倍の価格になるのか……!