ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ワインのおまつりやってみた! 「真夏夜のワイン&酒祭り@101」レポート

「真夏夜のワイン&酒祭り」をやってみた

お友だちのとりゅふさんと「なんかこう、たくさん人が集まれるワイン祭りみたいなのしたいっすよね」みたいな話を酔っ払いながらしていたらなんと「真夏屋のワイン&酒祭り」として実現してしまった。

ときは2023年8月26日、場所は地下鉄銀座線田原町駅すぐの101(ichi maru ichi)。とりゅふさんがおいしいフードを各所からお取り寄せし、盛大に告知をしてくれたこともあって予約数はなんと60名。大盛況と言って良かったと思う。

とりゅふさんフォロワーの方からは「あのオッサンはなんだ」と思われていたと思われるが、みなさんはじめまして。界隈の片隅でワインブロガーをしております、ヒマワインと申します…!

 

「真夏夜のワイン&酒祭り」ゲストの声

さて、16時から中締めの21時まで、私は基本バーカウンターでひたすらワインを注いでいたのだが、その間にいろいろ初対面のゲストの方々とお話しすることもできた。

なかでも、「一人参加だったけど同じ一人参加の方と仲良くなって、今度一緒に飲みに行くことになりました!」といった声が各所から聞かれたのはほんとによかった。

カウンターで一人で飲んでいる女性に会場で仲良くなった女性たちが声をかけ、「お一人ですか? よかったら一緒に飲みましょう!」と自分たちのテーブルに拉致・連行したりしていた。大学の新歓コンパレベルの友だちできやすさ。おやおや、どうやら最高だな?

「悪酔いする人もいないし、変に口説いてくるみたいな人もいなくてよかった」という意見もいただけたが、なるほど男性ゲストはワイン好きの方が中心で、その多くは私のお知り合い。つまりはおじさんたち(分別レベル:MAX)だ。とりゅふさん側男性ゲストも言わずもがな紳士的な方ばかり。つくづくゲストに恵まれた会だった。

パーティとしては(そう、これは祭りでありパーティだ)、リスト外に載っていたシャンパーニュ・ドゥラモットを安ワイン道場師範を中心としたワイン好きチームが注文し(みんなのドリチケを師範が集約、多額の追加投資をおこなって購入しておられた)、師範がドゥラモットくばりおじさんと化していたのがなにしろゴキゲンだった。

注文後即座にシャンパーニュグラスを10脚用意してくれるお店側のホスピタリティも素晴らしい。

 

「真夏夜のワイン&酒祭り」とワイン

そして、私が深く感銘を受けたのは用意した(私が持参したものととりゅふさんに手配していただいたもの)ワインが一滴残らず空になったことだ。

もちろんおいしいワインを選んだ自負はあるが、20本近くを用意してあったのが飲み干されたのは驚いた。追加で開けたお店のワインもどんどん空になっていって、最終的に参加者全員がボトル半分くらいずつワイン飲んでるみたいな状態になったすげえ。

というわけで以上を長い前置きとしてこの日提供したワインについて記録を残しておきたい。暑いさなかの開催なので白ワインを中心に、普段ワインを飲まない人に楽しんでもらうことを念頭に飲みやすくてわかりやすくおいしいものを中心に選んだ。

ちなみに各ワインの画像は当日ワインの特徴を示すために作成したPOP。お祭り用にノリで造ってますのであんまり真剣に内容精査しないでください。

himawine.hatenablog.com

 

「真夏夜のワイン&酒祭り」のワインたち

【ロゼ】トスティモスカートピンク withスイカ

さて、乾杯用に用意したのはいきなりの変化球。イタリアの甘口ロゼスプマンテにくり抜いたスイカを入れたもの。広義のワインカクテルだ。

甘栗むいちゃいました的な。

前出の安ワイン道場師範がカウンターで提供後テーブルに戻り、その後ふたたびカウンターに舞い戻ってきて「ヒマさん、これスイカの香りしかしないよ!」クレームをつけてきた鋭い指摘をしてくれたワイン。そんな馬鹿なと師範の差し出すグラスを嗅いでみたが、うん、スイカの香りしかしないな…!

ただ、これは意外と好評だった。まず元の甘口ロゼ泡が良かった。暑い中を歩いてきて冷房の効いた店内で飲む一杯目の甘口泡は誰が飲んでもおいしい。そしてスイカが入ることで「夏っぽい〜♡」みたいなコメントも頂戴することができた。それ欲しかったやつですね…!

 

【白】ミトサヤ×紫藝醸造 146KOSHU

ミトサヤは千葉県大多喜市にある公式サイトがすさまじくオシャレな蒸留所。スピリッツやリキュールなどが本業らしく、そこがはじめて造ったワインがこの甲州だ。

醸造を担当する紫藝醸造はドメーヌ・オヤマダで修行した方が開業した新しい生産者で、これはワイン好き(ワインオタ)の方向け兼さっぱり枠で採用した1本。自然派的な軽めの濁りがあって酸に旨みが乗った仕上がり。

甲州って味がしないと思ってましたけど、これは味がします!」という素晴らしいコメントを一人参加の方から頂戴した。

どちらかといえばワイン好き向けに用意した1杯だったが、日本ワインの注目度の高さもあって即売り切れていた。甲州は味がするとうまい…!

 

【白】ヴィリエラ ジャスミン

今回のイベントにおいて私が設定した雑ペルソナは、「30歳・女性、一人暮らしの会社員。知的好奇心が強く食べることが好き。ワインは自分でわざわざ1本買いはしないがレストランでは時折飲むし、趣味や教養としての意味も含めて興味がないわけではまったくない」みたいな感じ。

本日のMVP候補。

となるとなにをリストから外しても絶対に入れなくてはならないのがヴィリエラ ジャスミンになる。私が作成したPOPの文言は「宇宙一飲みやすいワイン」。ヴィリエラ ジャスミンは宇宙一飲みやすいので飲みやすいワインを探している人にはこの宇宙で一等賞のワインだ。

モスカート、ゲヴュルツトラミネール、リースリングブレンド。「南アフリカってワイン造ってるんですね!」みたいな新鮮なコメントがいただけるのもこのイベントならではだ。なんとめっちゃくちゃ造ってるんですよ、南アフリカは、ワインを!(倒置法)

 

【白】サワーヴァイン チ リースリング

「チ」は南アフリカの雨の神様の名前だそうで、これは株式会社マスダの試飲会で飲んで感動したワイン。単価は高く、利益率が低くてお店には申し訳ないがぜひみなさんに味わっていただきたいとオンリストした1本だ。

「漫画と同じだ」と言っている方がいた。漫画「チ。」読んでみたい。

「レモン味のかき氷みたいなワイン」という雑な説明を付したのが功を奏したのかなんなのか、1杯目に選んだいただくことも多く、ガチ勢の方々からもそうでない方からも好評だった。

「『ち』って名前なんだ〜おもしれ〜」みたいに言っていただけてよかった。「言われる〜」って言ってそう(雨の神が)。

 
【白】サン・マルツァーノ エッダ

ここまでサッパリ系のラインナップだったので、1本はガッツリ濃いやつを入れたいと思ったのだけれどもたるたる系シャルドネが調達の関係で用意できず、急遽ラインナップに加えたのがイタリア・プーリア州の絶対外さない生産者、サン・マルツァーノのエッダ。

恋しろ。(命令形)

エッダは「彼女」の意で、30歳独身女性・アケミ(仮)というペルソナをイメージしての採用。シャルドネを中心に、フィアーノ、モスカート他を樽発酵・樽熟成してるんだけれども意外と濃すぎずベタつかない絶妙な味わい。

これもガチ勢・そうでない方、両方に楽しんでもらえたワインだった。エッダはおいしいよな〜。

 

【オレンジ】ボルゴ・サヴァイアン アランサット・オレンジ

意外というか予想以上だったのはオレンジワインの人気。

「オレンジワインはオレンジから造るワインじゃなくてなんとブドウから造るワインなんですけどどういうわけかオレンジ色をしていて味わいもちょっとオレンジっぽいワインなんです!」とわかりにくいものをわかりにくいまま伝える感じでみなさまにはお伝えした。

このワインはイタリアのオレンジワインで、ここだけの話決して高いワインではないのだがコスパが異様に高い1本。

 

【オレンジ】ハミングトゥリー オレンジワイン

上記のアランサットがわりとあっさり空いてしまい、代打として登場したのが「私(ヒマワイン)が飲んでみたいから」という理由でリストに加えた南アフリカのシュナン・ブラン100%で造るオレンジワイン、ハミングトゥリー。

オレンジをハンマーで叩き潰して果肉ごと飲んでるみたいな印象に少しの野菜のニュアンスが加わり、野菜生活(Alc.12%)みたいな仕上がりとなっていておいしい。

オレンジの注目度は本当に高く、これも一瞬で売り切れてしまった。

 

【赤】ブーケンハーツクルーフ ポークパインリッジ シラー

「7つの椅子」が有名なブーケンハーツクルーフだが、限りなくエントリーに近いレンジのポークパインリッジもめちゃくちゃうまい。

この日のラインナップに入るとちょっと個性が埋没した感がなきにしもあらずだったが(『ふつうにうまい』という感じ)、多くの飲食店でグラスワインとして用意されている大手安ワインとの差分を明らかに感じられるワインとして好印象を持っていただけたように思う。

あらためて飲んだらちょっとウェルチまではいかない感じだったゴメン

多くの人の赤ワイン観は、大学生や新卒社会人の頃に居酒屋飲み放題で飲んだ薄くて渋酸っぱい赤い液体から更新されていない。渋酸っぱいのではなく複雑で甘酸っぱく、食事の味を引き立ててくれるもの、それが真の赤ワインの姿だ。毎日でも飲みたい(飲んでる)。

普段は日本酒中心でワインは飲んでも白、という方に気に入ってもらえて、小さくガッツポーズだった。

 

【赤】ヤンメルタル ブルースカイ 2012

ハンガリーボルドーブレンド、ブルースカイも用意した。以前ワインマーケット・パーティで試飲させてもらってこれはヤベえとなった1本で、ネタバレするとこれはドリンクチケット1枚500円で飲めるもっとも高いワインのうちのひとつ。

こちら大好評でうれしい。お買い求めはワインマーケット・パーティで!

黙って飲んだらこれ高級ボルドーですか? となるような味わい。ボルドーの常で単体で飲むより料理と合わせてナンボというワインのため、ちょっと浮いちゃうかなと危惧したが、とりゅふさんが用意してくれたフード類が割とパンチの効いたラインナップだったこともあってしっかりと実力を発揮してくれた。

1本しか用意しなかったのは私の大失敗。多くの方にすんません売り切れですと案内することになってしまった。すみません。

 

【赤】コノスル オシオ

私が大好きな自転車マークでおなじみのチリワイン「コノスル」。コノスルは世界クラスのピノ・ノワールをチリで造ることをミッションに掲げるブランドで、その最上級レンジがオシオだ(金額的な最上級はカベルネ・ソーヴィニヨンの『シレンシオ』)。

おしお。

16時の開始に備えてその日の昼に抜栓してもらったのを16時のタイミングでテイスティングしたのだがうーん、ガッチガチのガチ。みなさんが赤ワインを欲しくなるタイミングまでに開いてくれるだろうかと危惧したのだが、20時くらいのタイミングで再度テイスティングしてみたところなんとかおいしくなっていた。

とてもおいしいワインなのだが、前日抜栓を依頼しておけばさらにおいしく飲めたはず。あるいはデキャンタ用意しておけば…! いつかまた必ず再会したいワインとなったのだった。

 

【白】ドメーヌ・タカヒコ ヨイチ・ブラン トオルシャルドネ

自宅で眠っていたドメーヌ・タカヒコのワインもせっかくの機会だしと2本持参した。1本目はタカヒコで研修中のマスターソムリエ・高松亨さんが調達したブドウで造ったドメーヌ・タカヒコ初のシャルドネ

色はかなりオレンジ寄り。飲んだ安ワイン道場師範が「うん、自然派だな。」とおっしゃっていたが同意だ。注いでいる側の感覚としては、師範に注いだボトル上部よりも底のほうが色が濃く、より蜜感が強まっているように感じられた。

1本をじっくり時間をかけて飲んだらまた違う印象になったと思うが、こういうわりと珍しいワインをお祭り気分でみんなでシェアするのもとても楽しい。手に入れておいて良かった。

 

ドメーヌ・タカヒコ ヨイチノボリ ロゼ・ド・ノワール

シャルドネが飲む人によって感想の異なるワインだったのに対し、総じてみんな好評という感じだったのがもうひとつのロゼ。

これおいしかったなー。

ピノ・ノワール85%、ツヴァイゲルト15%というセパージュで、印象としてはタカヒコのフラグシップ・ナナツモリに近い。

「薄いナナツモリ」というどストレートすぎる感想を述べておられる方もいらしたが、「ナナツモリをロゼにした感じ」というのが穏当かつ伝わりやすい表現ではないかと思う。おいしいワインだったし、みなさんに喜んでもらえてよかった。

 

追加したワインたち

以上合計19本用意したのだが前述の通りまったく足りず、お店のセラーから追加したのがグラハム・ベック ブリュット(泡)、ベンド カベルネ・ソーヴィニヨン(赤)、ベンド・シャルドネ(白)、インヴィーヴォ サラ・ジェシカ・パーカー ソーヴィニヨン・ブラン(白)。そして銘柄を失念してしまったが白のソアヴェを1本、赤のブルゴーニュを1本開栓した。

さらに前述の安ワイン道場師範(を中心としたワイン好きチーム)のようにボトル買いでドゥラモットがもう1本、ドン・ペリニヨン2013も1本出た。だから合計27本が空いたんですねこの日すごい。

 

「真夏夜のワイン&酒祭り」とりゅふさんのお酒とフード

しかも出たのはワインだけではまったくない。とりゅふさんご用意のお酒もよく出た。以下に列挙すると、

・大人気日本酒「新政 産土 -EARTH-」

・ジンジャー割が大人気だった「カルダモン焼酎」

・メロン味のクラフトサケ「LIBROM メロン」

・桃と日本酒のMIX「鳳凰美田 桃」

泡盛×黒糖×ラムリキュールでミルク割りが好評だった「KOKUTO DE LEQUIO」

などなど。全部おいしそうなんですよこれがまた。ほかにも生ビール飲んでる人もいるしイチローモルトハイボール飲んでる人もいるしレモンパイにあたたかい紅茶合わせてる人もいるしほんとにすごいことになってた。

鳳凰美田桃」を烏龍茶で割る「ウーピー」なる造語(?)も生まれていた。ウーピーって。ゴールドバーグかな?

右ページに記載のとりゅふさんご用意のフード・とりゅふーどがまたヤバい。

フードも記録しておかねばなるまい。「金壺食堂の台湾精進ちまき」、「MAPLE PIZZAのアメリカンピザ」「TESIOソーセージ」「ムームーモッツァレラのミニカプレーゼ」「田原町レモンパイ」「とりゅふ塩のフライドポテト」などなどだ。悲しいことに私は全然食べられなかったがどれもおいしそうだった。とりゅふさん、センスもすごいが調達力がやべえ。小規模な物産展みたいになってましたからね。

 

「真夏夜のワイン&酒祭り」を終えて

駆け足で見てきたが、これが「真夏夜のワイン&酒祭り」の全貌だ。
大いに飲み、大いに食べ、大いに笑った5時間は5分に感じるレベルで過ぎ去って行った。言わずもがなむっちゃくちゃ楽しかったが、多くの方とお話しできた一方でお話しできなかった方も多くいて、それが心残りだ。

心残りなのでさっそく第二回を企画したいと思っている。今回のたくさんの反省点を活かして、もっとみんなが楽しめるお祭りに育てていきたい。というわけで次回は今年の秋冬にやりますので、みなさんぜひご参加ください! そして会場の101、とてもいいお店なのでこちらもぜひ!

ワインに興味を覚えたら「コノスル レゼルバ エスペシャル」がエントリーにオススメです。

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