ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

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ソーヴィニヨン・ブランで学ぶニュージーランドワイン史。【ティンポット・ハット ソーヴィニヨン・ブラン】

ニュージーランドワインの歴史について調べてみた

ニュージーランドソーヴィニヨン・ブランが好きで白ワインを買うときはいつも有力な選択肢となる。さわやかでおいしいんですよねニュージーランドソーヴィニヨン・ブラン

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ティンポット・ハット ソーヴィニヨン・ブランを飲みました。

好きでよく飲むわりに、ニュージーランドのワインの歴史とかって全然知らないな、と思い、せっかくの機会だしと調べてみることとした。

まずニュージーランドワインのwikipediaを見ると、2019年の時点でニュージーランドには3万8680ヘクタールのブドウ畑があり、そのうち3/4がソーヴィニヨンブラン専用。輸出用ワインのおよそ90%がこの品種なのだという。

ニュージーランドでワイン産業が発展した理由

すごく面白いと思ったのはニュージーランドでワイン産業が発展した理由で、1973年にイギリスから食肉と乳製品の貿易条件の終了を要求されたからなんだとか。乳製品、食肉、羊毛のような“一次産品”だと儲けが少なくなることから、高い経済的リターンの期待される製品の開発が求められたわけですね。なんだけど、目の前には広大な牧草地があるばかり。

しかし、チャンスはまさにその牧草地にあり、水分が少なく、土壌の肥沃度が低くてもよく育つブドウの木が牧草地で育てるのにピッタリだと考えた人がいたようだ。そして、それがブレークスルーとなった。

ニュージーランドソーヴィニヨン・ブランは世界的に高い評価を得て、オークランド、セントラル・オタゴ、ホークスベイといった名産地が次々に開拓され、ニュージーランドワインドットコムによれば2019年の輸出額は18億6000万ドルに達しているというからすごい。

同じ土地に牧草を植えるか、ブドウの木を植えるかの違いが、国の産業の構造的変化を起こしたっていうことに私は果てしない歴史ロマンみたいなのを感じるんだけど伝わっておりますでしょうか。

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ニュージーランドソーヴィニヨン・ブラン

沖積谷で水はけが良いこと、海の影響で夏は涼しく、冬は穏やかで、またどんな暑い夏でも夜が涼しく、その一貫して冷涼な夜は酸味の強い果実を生み出すことになるのだそうだ。そして、この国にあった乳業の伝統から、ステンレスタンクを使う文化があったことが、ワインのスタイルに影響を与えたのだそうだ。

乳製品作りには当然だったステンレスタンクが、樽の味に慣れた人々に、酸味が強いのに果実味があり、それでいて甘くない! みたいに評価されたみたい。なるほどな〜。すべての要素がソーヴィニヨン・ブランに向いている感じする。畜産とか酪農の文化と土壌があればこそ、ワイン産業が育ったわけですね。すごく面白い話だと思いました(おわり)。なぜか大泉洋あたりが主演で映画化されそう。

ティンポット・ハット ソーヴィニヨン・ブランはどんなワインか

今回飲んだティンポット・ハット ソーヴィニヨンブランは、2016年ヴィンテージがデキャンター誌でソーヴィニヨン・ブラン史上最高得点の98点を獲得したというワイン。とかいうと「でもお高いんでしょう?」となるかと思うけどご安心ください奥様。税込2178円でのご案内! というわけでコスパがいいとはちょっと言いにくいニュージーランドワインのなかで、コスパも良さそうなのを魅力に感じて買ってみた。

ティンポッド・ハットは、ニュージーランドの女性醸造家、フィオナ・ターナーが2006年に立ち上げたワイナリー。「環境を保護しながら、効率的かつ経済的にプレミアムなブドウとワインを生産するための実践である、サステイナブルなワイン生産」を行っていると公式サイトには書いてある。いまどき感あるなあ。

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自社畑の3区画から収穫されたブドウを使い、培養酵母を用いて冷温発酵。ブレンド後、すぐにスクリューキャップで瓶詰めするとある。熟成とかはこれ一切しないわけですかね。さぞかしフレッシュに違いない。

ティンポット・ハット ソーヴィニヨン・ブランを飲んでみた

というわけで冷やしたそれをグラスに注いで飲んでみたところ、まず感じたのはなんなんですかねこれは。「広さ」の感覚だった。だだっ広い草原とか、行ったことないけど飛行機の格納庫とか、そういうとにかく広い場所が脳裏に浮かぶというバグが起こった。

これはなんでなんだろうか。たぶん飲み口が異常にさわやかだからで、私の貧脳で処理できるさわやか信号をこのワインのさわやかさが凌駕、「なんて広いのだろう!」という珍感想としてアウトプットしたのだと思う。

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vivinoの口コミ点数も4.0点と高い。そりゃそうだ。

ソーヴィニヨン・ブランはネギとか青草とかグレープフルーツとか言うけれど、このワインに関しては果てしなくおいしい水、みたいな印象だ。もしくは飲む海風。さわやかなんだけど、どこか塩っけもあるみたいな。

というわけで、なるほど高評価を得るだけあって大変おいしいワインだったのだった。これが超ギリギリとはいえ1000円台はかなりいい(ただ、2日目にあの感動をもう一度、と飲んだらなんだか味が抜けてた感があった)。

本格的にワインが造られ始めてわずか50年にして、ソーヴィニヨン・ブランという絶対的な武器で世界と勝負しているニュージーランドワイン。引き続き、飲んでいきたい。