ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ドメーヌオヤマダ、アズッカ エ アズッコ……日本ワイン11種類を試飲。おいしかったのはどれ?

ウィルトスワイン神宮前の日本ワイン試飲会に参加した

オリンピックを間近に控えた2021年の東京。そのメインスタジアムである新国立競技場のすぐそばにあるワインショップ、ウィルトスワイン神宮前で開催された日本ワイン試飲会に行ってきた。

参加費は2900円。それで11種類のワインを試飲することができ、かつそのほとんどを10%オフの割引価格で購入できるというイベントだ。

まず、どんなワインがラインナップされているかを見てみよう。こんな感じだ。

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11種類のワイン(1本はビール)を飲みました。

甲州微行 NO BUBBLE/反射炉ビヤ
バウ BOW 白/ドメーヌオヤマダ
PUMP UPオレンヂ/イエローマジックワイナリー
コトリンゴ/ドメーヌショオ
ぴのぐり こことある/ココファーム
真夜中のラブレッテラ 白/アズッカ エ アズッコ
アルバリーニョ/カーブドッチワイナリー
ジョリジョリホリデー/ドメーヌショオ
NECO HANA/ファットリアアルフィオーレ
ぴのろぜ こことある/ココ・ファーム・ワイナリー
ピノノワール 野生酵母/多田農園

ウィルトスは自然派とかナチュールとか、そのように呼ばれるワインに強いショップだと思われるので、ラインナップもそのようなワイン中心だ。これらのワインを1時間かけて、まずはお店の方の説明を聞きながら一通り試飲し、その後に将棋における感想戦のごとく客側から再度飲みたいワインをリクエストしていく。

ちなみにドメーヌオヤマダの「BOW 白」と、アズッカ エ アズッコの「真夜中のラブレッテラ」は本数が少なく、購入の可否は客同士のジャンケンで決まる。

でもって結論を先に述べると今回の試飲会のワインはどれも素晴らしかった。これはちょっと微妙ですねってワインはひとつもなかった。というわけで、全ワインをまるっと振り返っていきたい。

 

甲州微行 NO BUBBLE/反射炉ビヤ/ビール

まず「甲州微行 NO BUBBLE」だがこれはビールだ。試飲会の先頭バッターとして用意されていたが、予想よりも濃い味のため5番目くらいに回されたという一本で、ドメーヌオヤマダのデラウェアに付着した自然酵母を使用したビール。

なにがすごいって泡がないんですよこれビールだってのに。で、飲んでみると味はたしかにビールなのだがワインのような香りや風合いがあってとてもおいしい。完全に飲んだことのない飲料だったので飲めて良かった。

 

PUMP UPオレンヂ/イエローマジックワイナリー/オレンジ微発泡

さて、本来先頭のはずのビールが5番に回ったので急遽先頭バッターとなったのがイエローマジックワイナリーのPump Upオレンヂ。山形県産のナイアガラとロザリオビアンコ甲州で作ったオレンジ微発泡ワインなのだがこれとってもおいしかった。

デラウェア、というブドウがおそらく私はとても好きだと思うのだが、旨味があってトロピカル感があって爽やかさもある。2400円という価格もあって毎回すぐ売れちゃうそうな。

 

バウ BOW 白/ドメーヌオヤマダ/白

続いてがドメーヌオヤマダのBOW 白。デラウェアを主体に、プティマンサン、シュナンブラン、そしてカベルネ・フランが少量ブレンドされているのだそうな。飲むのは初めてだけどこれはなるほど人気になるのも当然だという味わいだった。

デラウェア、生食用ブドウ(非醸造用ブドウ、非ヴィティス・ヴィニフェラ)ということで敬遠される方も中にはおられると思うのだが、日本の気候風土によく合っていて、病害にも強いのもまた事実。なので「世界基準」とかはさておいて、日本の風土にあった地酒的ワインをつくるのにはすごく適してるんじゃないかと小声で言いたい。この味の奥行きで1800円はちょっと驚きで、そりゃ売れちゃいますよすぐに。ジャンケン勝負にはもちろん参戦である。

 

Some People Talk To Animals Not Many Listen Through/ドメーヌショオ/白

次に飲んだのは新潟の造り手ドメーヌ・ショオのシャルドネの樽熟白ワイン。超長い名称は「動物に話しかける人はいるけど、聞こうとする人はほとんどいない」の意だそうだ。たしかに……!

栽培においても醸造においても可能な限り自然に行うことを目指し、ダシ感のある瑞々しい旨味を追求していると公式サイトにあるけれども、透明な液体のなかに旨味とか苦味がつまっていて、山菜の天ぷらとかにすごく合いそうな気配。

公式のオンラインショップの商品紹介に「うちにしては珍しく、整ってる」って書いてあるのがなんかいいなと思った次第だ。

 

ぴのぐり こことある/ココファーム/白

続いてはココ・ファーム・ワイナリーの「こことある」シリーズからピノ・グリ2019。「こことある」は、北海道岩見沢の「10R(トアール)ワイナリー」で醸造家、ブルース・ガットラヴさんがつくるシリーズ。

使われているブドウは私の推し自治体である北海道余市産。やわらかさや旨味が非常に強く感じられ、その中に一本スッと酸味の筋が通って非常においしいワインだった。

 

真夜中のラブレッテラ/アズッカ エ アズッコ/白

で、次が愛知県の人気生産者、アズアズことアズッカ エ アズッコの真夜中のラブレッテラ 白っていうちょっと変わった名前のワイン。面白いのは使用品種で、シャルドネと「軽く陰干ししたマルヴァジーア・ビアンカ」となっている。

マルヴァジーアというとイタリア品種。イタリアで修行したという生産者だけにイタリア品種使いが上手いのか、たしかにイタリアのさわやか白みたいな雰囲気がありつつ、そこに日本的なしっとりした“隠”のニュアンスが加わっていて大変面白いワインだった。

 

アルバリーニョ/カーブドッチワイナリー/白

その次に飲んだカーブドッチワイナリーのアルバリーニョ2020が今日のベスト級のおいしさ。試飲したすべてのワインのなかで、味のスケール感はNO.1だったと思う。(ただしその分価格も5000円超えと立派)

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ゆずのような鼻に抜ける香りがあって、雑味のないすごくクリアな味。新潟だけにわずかに海のニュアンスもあるような気が言われればするような味わいで、熟成させたらさらに緻密な味わいになるのだそうだ。大変おいしいワインだった。財布とセラーに余裕がある方はぜひ。

 

ジョリジョリホリデー/ドメーヌショオ/オレンジ

続いては再びドメーヌ・ショオのジョリジョリホリデー。ジョリジョリってなんのことかなとラベルを見ると、無駄毛をカミソリで処理している(?)全裸の女性がデザインされていた。なるほど。

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これ。

品種はこれもデラウェア。色がかなり濃い目のオレンジであることもあり、ともすればトマトジュースみたいな印象まで受けるくらいの旨味を感じて、このワインもとてもおいしかった。

デラウェア、どこかのタイミングで集中的に飲みたいなー。

 

NECO HANA/ファットリア アル フィオーレ/ロゼ

次が宮城県の生産者、ファットリア アル フィオーネのNECO HANA。食用ブドウのスチューベン94%とメルロー6%のブレンド。ウィルトスのスタッフの方の「食用ブドウは香りは強いが味の濃さは出にくい。それをメルローで補っているこのワインは、実に日本的、日本の地酒と言えると思う」という説明が納得の味。

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ラベルかわいい。

ベリー感が楽しく、かつ芯もあり、複雑でおいしいワインだった。こういった、飲んだことのなかった生産者のワインを飲めるのが試飲会の魅力であります。

 

ぴのろぜ こことある/ココ・ファーム・ワイナリー/ロゼ

さて、いよいよ終盤戦になってきたのだが次は再びココ・ファーム・ワイナリーの「ぴのろぜ こことある」。私はピノ・ノワールが好きで北海道余市好き。というわけでやっぱりこの余市の木村農園で採れたピノ・ノワールを野生酵母で発酵させたワインが私は抜群に好きだった。遅摘みのブドウをマセラシオンカルボニックで発酵させたという味はドライながらかなり甘やかで、素晴らしいと思った。

恥ずかしながら知らなかったのだが、木村農園は余市におけるピノ・ノワール栽培の第一人者的な栽培者なのだそうだ。それも納得の味である。

 

ピノノワール 野生酵母/多田農園/赤

最後は北海道は富良野の生産者・多田農園の「ピノ・ノワール野生酵母」。これも、派手さはないが沁み渡るようなおいしさがあった。ラベルも素朴で良い。

というわけで以上11本を飲んだ。

とくにおいしいと感じたのは3本。

BOW 白/ドメーヌ・オヤマダ
アルバリーニョ/カーブドッチ・ワイナリー
ぴのろぜ こことある/ココ・ファーム・ワイナリー

BOW 白は1000円台とは思えない味わいの強さがあり、カーブドッチのアルバリーニョは世界に通じる的な風格があり、ぴのろぜ こことあるは逆に国際品種ながら日本ならではの旨み、滋味深さや甘やかさがあった。どれも最高。なんだけどカーブドッチのアルバリーニョは値段が比較的高い(5300円)ため断念し、「BOW 白」と「ぴのろぜ こことある」を購入することとした。

BOW 白は2本が用意されており、購入希望者は3名。つまり1名が買えない。最初のジャンケンでまず一人の方が勝ち抜き、サドンデスの様相を呈した2回戦、最初は「グーでアイコ」。この状況では「グーに勝てる手」を出したくなるもの……ここはリスクをとって勝負手のチョキだっ! と元気にチョキをリリース。この策略が功を奏して辛くも勝利を収め、無事に手に入れることができたのだった。良かった。

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この2本をお迎え。飲むの楽しみだなー!

 

ル ・レーブワイナリー/MUSUBI2020

さて、もうひとつ、あまりにも入荷数が少ないため、500円キャッシュオンでの有料試飲となった北海道は余市のお隣、仁木町にあるル・レーブワイナリーの「MUSUBI2020」も飲んだのだがこれも素晴らしいワインだった。

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自社栽培の7品種を混醸したワインだそうで、似たつくりで以前に飲んだことがあるマルセル・ダイスのアルザスコンプランタシオンとかモンガク谷ワイナリー的な酸&コクが両立した味わい。これを書きながらこれも買っときゃ良かったなとちょっと思ってる次第だ。それを言ったらやっぱりカーブドッチのアルバリーニョもイエローマジックワイナリーもだなとキリがなくなるわけですけれども。

ともかく以上、12種類のワインは本当にどれもおいしく、他の参加者の方と「これ全部欲しいですね、うはははは(ほろ酔い)」みたいなことを言いながらの試飲会は大満足のものとなったのだった。あー楽しかった!

 

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